貧困問題とは?世界と日本の現状・原因、解決のためにできることをわかりやすく解説
持続可能でよりよい世界を目指すための、2030年までの国際目標「SDGs(持続可能な開発目標)」について、メディアで目にする機会も多くなりました。SDGsの17の目標のなかの1つ目に挙げられているのが、「貧困をなくそう」というものです。
「貧困」という言葉を聞いて、何となくイメージが湧く人は多いと思いますが、そもそも貧困が起こる原因は何なのか、なぜ世界の貧困問題はなくならないのか、といったことについては、イメージが付きにくい方もいらっしゃると思います。
そこで、今回は貧困問題の現状や原因、そして解決するために私たちにできることについて書きたいと思います。
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貧困問題とは?|貧困の定義と2つの種類
貧困の定義
「貧困」の定義は、ひとつではありませんが、国際的にもっとも広く用いられている指標のひとつが、世界銀行による「国際貧困ライン」です。
これは、1日あたり3ドル未満で暮らす人の割合をもとに、極度の貧困状態にある人々を示す基準で、2025年6月にそれまでの2.15ドルから改定されました。(※1)
国連開発計画(UNDP)では、貧困を「教育、仕事、食料、保健医療、飲料水、住居、エネルギーなど最も基本的な物・サービスを手に入れられない状態のこと」と定義し、単に資産やお金の問題だけではなく、人として健康な生活を送る上で欠かせないものへのアクセスを得られない状態も貧困状態であるといえます。
※1)国際貧困ライン2025年6月の改定 | WORLD BANK GROUP
絶対的貧困と相対的貧困
命や健康を維持するための最低限の生活水準が満たされていない状態を「絶対的貧困」といいます。一方「相対的貧困」は、世帯収入が国の中央値の50%または60%未満で暮らしている、その社会の大多数と比べて、著しく不利な生活条件に置かれている状態を指します。
世界と日本における貧困問題の現状
では、実際にこうした貧困状態にある人は、どのくらいいるのでしょうか。
現在、世界では8.3億人以上が、1日3ドル未満で生活する極度の経済的貧困の状態にあるとされています。(※2)そのうち約半数にあたる4億1,200万人が子どもです。(※3)また、慢性的な飢餓に苦しむ人たちは、8割がアフリカと南アジアにいるといわれています。(※4)
つまり、世界の人口のおよそ10人に1人、子どもに限れば、5人に1人が、貧困のなかで毎日を迎えていることになります。
実は、日本を含む先進国にも「貧困」は存在します。2021年のこども家庭庁の調査によると、日本の相対的貧困率は15.4%(※5)。さらに、ひとり親世帯では44.5%と、極めて高い水準にのぼっています。
貧困とは、遠い国だけの問題ではなく、私たちが暮らす社会のなかにも存在する、多層的で見えにくい課題なのです。
※2 BY THE NUMBERS: POVERTY | WORLD BANK GROUP
※3 The State of the World’s Children 2025| WORLD BANK GROUP
※4 8割がアフリカと南アジア 慢性的な飢餓をなくす方法とは?| 朝日新聞
※5 こどもの貧困対策について | こども家庭庁
貧困問題が起こる3つの原因|構造的な視点で解説
では、なぜこれほど多くの人が、「貧困」という状況に置かれてしまうのでしょうか。
貧困は、単に個人の問題や、収入が少ないことだけによって生まれるものではありません。国際連合や世界銀行をはじめとする国際機関は一貫して、貧困を「構造的で、多層的な問題」として捉えています。
仕事、教育、医療、安定した政治、社会保障・・・。これらは本来、互いに支え合いながら、人の暮らしを成り立たせています。しかし、そのうちのどれか一つが崩れると、ほかの仕組みも連鎖するようにうまく機能しなくなり、貧困という状態が生まれ、深まっていきます。ここでは、その中でも代表的な要因を紹介します。
1.安定した仕事と十分な収入を得られないこと
多くの人が貧困に陥る背景には、安定した収入につながる仕事を得にくいという現実があります。
働いていても賃金が低い、雇用が不安定で先の見通しが立たない。こうした状況では、貯蓄をする余裕がなく、病気や失業といった出来事が起きた瞬間に、生活は一気に苦しくなります。
「働けば貧困から抜け出せる」という前提が成り立たない社会構造そのものが、貧困を生みやすくしているのです。
2.教育や医療など、基本的なサービスへのアクセス不足
社会保障や公共サービスは、人が困難に直面したときに生活を支えるための仕組みです。また、公教育は、将来の選択肢を広げ、困難に陥りにくくするための基盤として機能します。
しかし、その制度が十分に整っていなかったり、あっても利用しづらかったりすると、人々は支えを得られないまま、困難を個人で背負うことになります。
その結果、医療を受けるのをためらう、教育にかかる費用を負担できず、進学や学びをあきらめる、家賃や光熱費を優先して食費を削る――といった選択を迫られます。
3.不平等が固定化され、危機が追い打ちをかける構造
さらに、貧困は不平等が積み重なることで固定化されます。災害が起こりやすい地理的問題、家庭環境、性別、障害。こうした条件によって、教育や仕事や食糧、支援へのアクセスに差が生まれると、同じ努力をしても、たどり着ける結果は大きく変わってしまいます。
そこに、経済危機、特に途上国においては紛争や汚職といった出来事が重なると、もともと脆弱な立場にある人ほど、大きな打撃を受けます。こうした危機は、貧困を新たに生み出すだけでなく、すでにある貧困をさらに深く、長期化させる要因になります。
貧困は「連鎖する構造」の中で生まれる
このように、貧困はどれか一つの原因だけで説明できるものではありません。
仕事、教育、社会保障、平等な機会、そして社会の安定。これらが連鎖的に崩れたとき、貧困という状態は生まれ、抜け出しにくくなっていきます。貧困とは、誰かの失敗や一時的な不運ではなく、社会の仕組みが十分に機能していないときに生まれる状態なのです。
貧困状態の結果、起こる問題
貧困が続くと、人は「よりよい選択」をする余地を失っていきます。それは、怠けているからでも、判断力が足りないからでもありません。安全で、合法で、人として尊重される選択肢が、社会の側から取り除かれていくのです。
収入を得る手段が限られ、家族を養うために働かざるを得ない状況に追い込まれると、長時間労働などの危険な仕事を断ることが難しくなります。
極度の貧困や社会的に孤立した状況では、仕事や支援を装った誘いにすがらざるを得なくなり、人身売買や性的搾取の被害に巻き込まれるリスクも高まります。さらに、貧困によって「学ぶという選択肢」を奪われた子どもは、大人になってからも、安定した収入につながる仕事に就く機会を得にくくなります。
こうして貧困は、次の世代へと引き継がれていく――だからこそ、この連鎖は、どこかで断ち切らなければならないのです。
貧困問題の解決のために私たちにできること

寄付
貧困問題を解決するために、世界中では多くの機関や団体が活動を行っています。ユニセフなどの大きな機関からNGOやNPO、個人で活動している方まで様々です。自分が特に支援を行いたいと思った地域や問題に取り組んでいるところへの寄付を行うことで、貧困問題の解決を支援することができます。
ボランティアへの参加
貧困問題を解決するための活動を行っている多くの団体で、ボランティアスタッフを募集しています。実際に、現地で人々と関わることで、現状を肌で感じ、問題について深く考えることができます。長期休暇や休学、転職など長期間時間が取れるときに参加できる数か月単位のプログラムから、連休などを利用した短期のプログラムまで様々です。
貧困問題を根本から解決していくソーシャルビジネス
先述したように、貧困問題の原因は、人々のコントロールできないものが多く、貧困から抜け出せない悪循環に陥ってしまいます。そういった状況を根本的に解決するためには、貧困状態にある人々が働き、家族を養えるだけ賃金をもらい、自立できる環境を作ることが必要です。
ソーシャルビジネスと一般的なビジネスの違い
そういった環境を作る手段の一つが「ソーシャルビジネス」です。ソーシャルビジネスとは、貧困問題をはじめとする、さまざまな社会問題を解決するために立ち上がったビジネスの総称です。
一般的なビジネスでは、市場の中で差別化できるポイントを見出して、「成長市場かどうか」を主な判断軸として据えた上でビジネスモデルを作り上げていきます。それに対して、ソーシャルビジネスは、社会問題が起こっている現状がどうなれば理想の状態なのかを先に明確に描き、それを実現するための手段として、ビジネスモデルを作ります。
例えば、バングラデシュの児童労働の問題を解決するために、雇用を生み出しているサンデーモーニングファクトリー。
シングルマザーなど、収入が少なく不安定な家庭では、子供たちが家計を支えるために働き、教育を受けられないことが多くあります。そういった問題を解決するために、現地にアパレルブランドの自社工場を作り、生活に困らない安定した給与の仕事を創出することで、子供たちが学校に通える環境づくりを行っています。
また、エシカルブランドの LIB も、バングラデシュの都市部の貧困層への雇用創出を行っています。
雇用を生み出すだけではなく、安心して働ける環境をつくる
バングラデシュは、人件費が安いことを理由に、多くのアパレル企業が工場を立てています。基本的に、人を雇うときの基準は、生産効率を上げるために、若くて体力がある人を選びます。そのため、女性や障害のある人は、働きたくてもなかなか採用してもらえなかったり、採用してもらえても不当に解雇されてしまったりすることがあります。
ソーシャルビジネスは、社会問題を解決することを起点としているため、効率性よりも社会的なインパクトを重視します。そのため、ただ雇って給与を支払うのではなく、他の工場では条件的に雇ってもらえないような人を雇用したり、未就学児を預かる託児所を作って働く環境を整備したりして、社会問題を解決することにコミットしながら事業を行います。
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貧困をなくすために大切なこと
貧困問題を解決するための第一歩は、「自分ごと」として考えてみることだと思っています。日本で暮らす私たちの多くは、お腹が空いたら食事をとり、夜も安心して眠ることができます。そういった毎日を送っている私たちにとって、貧困問題は遠い国のことのように思えるかもしれません。
しかし、私たちの祖父母が子供だった頃、日本も同じように戦禍にあり、食料も少なく、安心して眠れない日々を送っていたと思うと、貧困問題は決して遠い国のことではないと感じられます。「もし自分や家族がそういう状況に置かれていたら」と考え、「自分ごと化」することが貧困問題について考える上で、とても大切です。
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