メルマガ登録

ニュースレター登録

ニュースレター登録

メルマガ登録

ニュースレター登録

ニュースレター登録

podcast

ボーダレスのこれから PODCASTを聞く

Language

    ソーシャルビジネスとは?一般企業やボランティア、NPOとの違いを解説します

    貧困、気候変動、差別、教育格差、孤立。こうした社会問題を課題として捉え、企業や行政、個人、地域社会といった主体が公的制度、寄付、ボランティア、地域の支え合いなど多様なアプローチで解決しようと取り組んでいます。これらの社会課題に対して、ビジネスの仕組みを活かして向き合うアプローチが「ソーシャルビジネス」です。

    この記事では、ソーシャルビジネスの基本的な考え方や、NPO・ボランティア・一般企業との違い、そして実際にビジネスの力で社会課題に挑む事例を紹介します。

    ※本記事では、英語で “social enterprise” などの用語で語られる領域も含め、社会課題の解決を目的に事業として取り組む活動を、便宜上「ソーシャルビジネス」と呼びます。

    ソーシャルビジネスの概念

    ソーシャルビジネスは一般に、社会課題の解決を目的にビジネスの手法を用いて継続的に取り組む事業を指します。単に利益を上げたうえで一部を社会貢献に回すのではなく、商品やサービスを届けること、雇用を生み出すこと、仕組みを広げること自体が、課題解決につながるよう設計されているのが特徴です。

    ただし、その定義や呼び名は国や地域によって異なります。「ソーシャルビジネス」という用語自体も、国際的に統一された呼び名ではありません。

    例えば欧州や英国、OECDなどの政策・制度文脈では、近い概念として “social enterprise” (ソーシャルエンタープライズ)という言葉が広く使われています。EUではsocial enterpriseを「所有者や株主の利益獲得よりも、社会的インパクトを主たる目的とする社会経済の事業者​​」と定義しています。一方、“social business” (ソーシャルビジネス)は、バングラデシュのグラミン銀行の創設者であるムハマド・ユヌス氏の講演での発言や著書を通じて広く知られるようになった概念で、出資者は元本を回収できる一方、それを超える利益は配当せず、事業の継続や拡大に再投資するモデルを指して使われることがありますが、論者によってその定義はさまざまです。

    日本ではこうした海外の関連概念の影響も受けつつ、社会課題の解決を目的にビジネスの手法で取り組む事業を広く指す用語として「ソーシャルビジネス」という用語が使われています。

    経済産業省のソーシャルビジネス推進研究会は、ソーシャルビジネスの概念を「社会性」「事業性」「革新性」の3つで整理しています。

    「社会性」:現在、解決が求められる社会的課題に取り組むことを事業活動のミッションとすること。

    「事業性」:ミッションをビジネスの形に表し、継続的に事業活動を進めていくこと。

    「革新性」:新しい社会的商品・サービスや、それを提供するための仕組みを開発したり、活用したりすること。また、その活動が社会に広がることを通して、新しい社会的価値を創出すること。

    ソーシャルビジネスの歴史

    ビジネスを通じて社会に貢献することや、地域や顧客との共存を大切にすること。こうした、現在のソーシャルビジネスにも通じる考え方そのものは、決して新しいものではありません。日本の「三方よし」に代表される江戸時代の近江商人の商いの精神のように、現在のソーシャルビジネスにも通じる実践は、世界各地の商いや相互扶助の歴史の中に見いだすことができます。

    一方で、「ソーシャルビジネス」や「ソーシャルエンタープライズ」などの言葉で捉えられ、社会課題の解決を目的に、事業として継続する組織や仕組みとして政策や制度の中で語られるようになったのは、比較的近年のことです。

    ヨーロッパでの広がり

    欧州では、協同組合やアソシエーション、財団などを含む “social economy” の文脈で、社会的目的を持つ事業体が “social enterprise” として語られてきました。EUでは、社会的企業を、社会的インパクトを主な目的とし、市場で商品やサービスを提供しながら、利益を主に社会的目的のために活用する事業体として説明しています。

    英国でも2000年代に入ると、政府が “social enterprise” を政策的に支援する動きが進みました。2002年には英国政府が “Social Enterprise: a strategy for success” を発表し、2006年には “Social Enterprise Action Plan” が示されています。こうした流れの中で、社会的目的を持つ事業体が政策上も位置づけられていきました。

    アメリカやアジア圏での広がり

    米国やアジアでも、社会課題の解決と事業活動を結びつける動きは、それぞれの文脈で広がってきました。米国では、非営利組織による事業活動やCSRなどに加え、2010年にはメリーランド州で全米初のBenefit Corporation法が成立するなど、社会的目的を持つ企業形態の制度化も進みました。

    アジアでも、国ごとに異なる制度や社会課題を背景に、貧困、雇用、教育、地域開発、環境などの課題解決を事業として目指す社会的企業が広がり、2010年代には各国・地域を対象とした調査や政策議論も蓄積していきました。

    日本での広がり

    日本では、1995年の阪神・淡路大震災が、市民活動やボランティアの存在を社会的に広く認識する大きな契機となりました。その後、1998年に特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法が施行され、市民による社会課題解決の活動が法人格を得て継続しやすくなる制度的な基盤が整いました。

    こうした流れの中で、福祉、地域づくり、環境、雇用、まちづくりなどの分野で、社会課題の解決を事業として継続しようとする実践も少しずつ広がっていきます。さらに2007年には、経済産業省にソーシャルビジネス研究会が設置され、日本におけるソーシャルビジネスの現状や課題、推進に向けた方策が整理されていきました。

    阪神淡路大震災
    ※出典:「阪神・淡路大震災の記録」震災記録写真集 神戸市

    言葉としての広がりと、日本での認知

    “social business” という言葉は、前述の通りバングラデシュのグラミン銀行を創設したムハマド・ユヌス氏の実践や著書を通じて、国際的にも知られるようになりました。ユヌス氏とグラミン銀行は、貧困層への小口融資を通じた自立支援などにより、2006年にノーベル平和賞を受賞しています。

    その後、ユヌス氏は2007年の著書『Creating a World without Poverty: Social Business and the Future of Capitalism』などを通じて、社会課題の解決を目的とし、投資元本の回収後の利益を株主配当ではなく、事業の継続や拡大に再投資する “social business” の考え方を改めて整理し、提唱しました。

    一方、日本における「ソーシャルビジネス」の認知度は発展途上であると言えます。日本政策金融公庫が2023年に企業予定者を対象に実施したアンケート[1]では、ソーシャルビジネスという用語も意味も知っているのはわずか25.9%でした。しかし、ソーシャルビジネスをビジネスチャンスと捉えている層も一定数いることがうかがえます。

    このように、ソーシャルビジネスに近い取り組みは、国や地域ごとに異なる言葉や制度のもとで発展してきました。共通しているのは、社会課題の解決を一時的な支援にとどめず、事業として継続できる仕組みにしていこうとする姿勢です。

    出典・参考文献:
    [1]日本政策金融公庫 ニュースリリース(2024年3月6日公開)

    一般企業やボランティア、NPOとの違い

    ソーシャルビジネスは、NPOやボランティア、一般企業の社会貢献活動と重なる部分が多くあります。実際、NPOが事業収益を得ながら活動することもあれば、一般企業が社会課題の解決につながる商品やサービスを提供することもあります。

    そのため、ソーシャルビジネスを理解するときに大切なのは、「どの法人格か」や「営利か非営利か」だけで分けることではありません。何を目的に事業が設計されているのか、どのように収益を生み出し、どのように課題解決を継続しているのかを見ることです。

    ここでは、一般企業、ボランティア、NPOとの違いを整理しながら、ソーシャルビジネスの特徴を見ていきます。

    一般企業との違い

    ■社会課題の解決を中心に事業を設計している
    ソーシャルビジネスと一般企業のビジネスの大きな違いのひとつとして、社会課題の解決を中心にビジネスモデルを設計している点が挙げられます。もちろん、多くの一般企業が社会や人々に役立つ商品やサービスを提供しており、ある側面における社会課題を解決しています。また、従来以上に環境への配慮や地域貢献、働き方の改善などに力を入れる企業も増えています。

    ただし、ソーシャルビジネスの場合は、社会課題の解決が事業の出発点であり、組織の目標の中心にあります。利益を上げたあとに一部を社会貢献へ回すのではなく、商品やサービスを届けること、雇用を生み出すこと、仕組みを広げること自体が、社会的な課題の解決につながるように設計されている点が特徴です。

    ■利益最大化を優先しない
    ソーシャルビジネスと一般的なビジネスとのもう一つの違いは、利益の最大化よりも社会課題の解決を優先する点にあります。一般企業では、収益性や企業価値の向上が重要な経営目標となります。しかしソーシャルビジネスでは、収益性を確保しながらも、社会課題の解決を事業上の優先事項として位置づけます。

    例えば、大量生産によって収益を高められる場合でも、それが環境負荷の高い材料の使用を伴うのであれば、生産量を抑えてでも環境負荷の低い材料を選択することがあります。このように、利益を生み出すこと自体を否定するのではなく、利益の最大化よりも社会課題を解決するという目的の達成を優先する点が、ソーシャルビジネスの特徴です。

    ボランティアとのちがい

    ソーシャルビジネスとボランティアは、社会の課題に向き合うという点では共通しています。違いは、活動を継続するための仕組みにあります。ボランティアは、個人の意思や善意、地域のつながりによって成り立つ大切な活動です。災害時の支援や地域の見守りなど、制度や市場だけでは届きにくい場面で、大きな役割を果たしています。

    一方で、ソーシャルビジネスは、商品やサービスの提供を通じて収益を生み出し、その収益をもとに活動を継続していくことを目指します。支援する人の善意だけに依存するのではなく、課題解決に必要な人材や仕組みに継続的に投資できる点が特徴です。

    ボーダレスジャパン ボランティア
    九州北部豪雨(2017年)ボーダレスグループでおこなったボランティア活動の様子

    NPOとのちがい

    NPOとソーシャルビジネスは、社会的な目的を持つ点で大きく重なります。ただし、NPOは法人格を有する主体であり、ソーシャルビジネスは事業のあり方を指す用語です。

    NPOは、寄付、助成金、会費、行政からの委託、事業収益など、さまざまな財源を組み合わせながら活動します。一方で、ソーシャルビジネスは、課題解決につながる商品やサービスを提供し、その事業収益によって活動を継続・拡大していく点に特徴があります。

    そのため、NPOの中にもソーシャルビジネスに近い事業を営む団体もあり、主体が株式会社でなくても社会課題の解決を中心に据えていれば、ソーシャルビジネスと呼ぶことがあります。

    ソーシャルビジネスも、課題解決の手段のひとつ

    ソーシャルビジネスは、社会課題を解決するための有効な方法のひとつです。ただし、すべての課題をビジネスで解決できるわけではありません。制度による支援、寄付、ボランティア、NPO、地域の支え合いなど、それぞれのアプローチに役割があります。

    大切なのは、目の前の課題に対して、どの手段が最もよく届くのかを考えることです。ビジネスの仕組みを活かすことで、課題解決を継続し、広げていける場合に、ソーシャルビジネスという選択肢が力を発揮します。

    社会問題をビジネスで解決する社会起業家になりたい方はこちら

    世界と日本のソーシャルビジネス

    実際に、世界や日本にはどのようなソーシャルビジネスがあるのでしょうか。代表的な事例を見ていきましょう。

    世界のソーシャルビジネス

    BLJ Banladesh Corporation Ltd.(バングラデシュ)

    貧困の連鎖から抜け出し、生まれた環境に関わらず希望が持てる社会を目指すため、シングルマザーや障がい者など、安定した就労の機会を優先的に雇用しているOEM。革小物とバッグ、アパレル製品などの製造を通して未経験から職人へと育て、自立をサポートしている。首都ダッカの工場ではのべ800人を超える職人たちを雇用している(2026年10月現在)。
    https://www.borderless-japan.com/social-business/bangradeshcorporation/

    AFRICA SHEA BUTTER(ブルキナファソ)

    西アフリカ・ブルキナファソで、貧困やテロの影響を受ける女性たちの所得向上を目的に、現地に自社拠点を構え、シアバターの製造・販売を行う。女性たちが代々受け継いできたシアバターづくりを活かし、現地の女性組合からの直接買取や自社製造を通じて、安定した仕事と収入を創出。生産したシアバターを化粧品などの原料として日本企業に販売することで、ブルキナファソの女性たちの継続的な雇用と暮らしを支えている。
    https://www.borderless-japan.com/social-business/africa-sheabutter/

    日本のソーシャルビジネス

    UNROOF

    日本国内(東京・大阪)に革製品の工房を構え、障がいのある人を職人として雇用。障がいによって働く機会や選択肢が限られてしまう課題に対し、一人ひとりの特性に合わせた働き方や、職人として技術を身につけられる環境を整えている。革製品の製造・販売を通じて、障がいの有無に関わらず、それぞれが自分の力を活かして働ける仕事と選択肢を生み出している。
    https://www.borderless-japan.com/social-business/unroof/

    ZERO PC(ピープルポート)

    「環境負荷ゼロ、難民ゼロ」を掲げ、再生パソコン事業「ZERO PC」を展開。企業や個人から不要になったパソコンを回収・整備し、エシカルパソコンとして販売することで、廃棄による環境負荷の削減に取り組んでいる。また、紛争や迫害などを理由に日本へ逃れてきた難民申請者を直接雇用し、仕事を通じて日本社会とのつながりや居場所をつくることで、孤立を防ぐことを目指している。
    →ZERO PCの製品を見る

    LIB

    世界各地のものづくりを取り巻く社会・環境課題の解決を目指し、アパレル、レザー、ジュエリーなどの商品を企画・販売。貧困層への雇用創出をはじめ、環境負荷に配慮した素材の選択や、採掘を伴わない素材の活用など、それぞれの商品が抱える課題に応じたものづくりに取り組む。日々の買い物を通じて社会や環境によりよい選択肢が広がり、つくる人も使う人も豊かになれる社会を目指している。
    →LIB公式サイト

    株式会社ボーダレス・ジャパン

    社会課題をビジネスで解決する「ソーシャルビジネス」しかやらない会社。貧困・環境・教育・ジェンダーなど、さまざまな社会問題の解決を目指し、日本をはじめ世界15ヵ国で48の事業を展開している。社会起業家がそれぞれの課題に向き合いながら事業を立ち上げ、グループ全体で経営ノウハウや資金、人材などを共有し、事業を育てていく独自の仕組みを持つ。2025年度の売上は105億円にのぼり、社会課題を解決する事業を次々と生み出している。

    ソーシャルビジネスがえがく日本と世界の未来

    あらゆる技術が進歩する現代においても、いまだ解決されていない社会問題は数多くあります。むしろ課題は多様化・複雑化し、今この瞬間にも、その影響を受けて困難を抱えている人たちがいます。

    こうした社会課題に向き合う方法のひとつが、ソーシャルビジネスです。日本をはじめ、各国の政府がソーシャルビジネスを支援する施策を進めていることからも、その役割への期待が高まっていることがうかがえます。

    一方で、ソーシャルビジネスは一時的な盛り上がりで終わるものではありません。「何としてでも解決したい」と思う社会課題に対して、社会起業家が強い意志を持って向き合い、ビジネスとして継続しながら、解決に向けた変化を積み重ねていく。その先に社会そのものが変わっていくことこそ、ソーシャルビジネスが担う大切な役割です。

    社会問題を解決するための「はじめの一歩」を踏み出しませんか?

    世界各国でさまざまなソーシャルビジネスを展開するボーダレス・グループでは、さまざまな社会問題の解決に向けた「はじめの一歩」になるようなステップを準備しています。

    ■日々の暮らしの中で、社会や環境にやさしい「ひとりでも始められるアクション」を取り入れる

    ■ボーダレス・ジャパンCEO・田口一成の書籍「9割の社会問題はビジネスで解決できる」を読んで、ソーシャルビジネスのしくみについて知る

    ■「ボーダレス・ラジオ」を聴いて、ソーシャルビジネスに挑むボーダレスの日々の取り組みを知る

    ■「ボーダレス・アライ」になって社会起業家の挑戦を、仲間として支える

    ぜひご自分にあったステップを見つけて、第一歩を踏み出してみてください。

    社会問題をビジネスで解決する仲間を募集しています

    ボーダレス・グループでは、ソーシャルビジネスで社会課題を解決し、共に変革を起こす仲間を待っています。

    ■自分のプロフェッショナル領域を活かして社会問題に取り組みたい方「採用情報」

    ■ソーシャルビジネスで社会問題に取り組みたい新卒・第二新卒の方「事業開発職」

    ■専門領域を活かし、ソーシャルビジネスにプロジェクト単位で参画したい方「BORDERLESS CREW」

    ■ソーシャルビジネスの作り方が一から学べる実践型アカデミー「ボーダレスアカデミー」

    監修:木村麻子(慶應義塾大学 商学部 教授)