
こんにちは!
6月上旬から7月下旬まで、約2ヶ月間アルファジリでインターンをしていた芳賀です。
前回のブログでは、「アルファチャマの標準化」とは何か、なぜそれが必要になったのかということを説明しましたが、今回はそのために私たちインターン生が具体的にどのようなことに取り組んだのかをお話ししたいと思います。
1.理想のアルファチャマを知るために
さて、アルファチャマの標準化を図るためには、まずは、何が理想のアルファチャマなのか=何を目指して標準化するのかという基準を具体的に定める必要がありました。これまで、例えば「みんなが議論に参加しよう」といった漠然とした望ましい方向性は共有されていましたが、「じゃあそのためにミーティングの座席の配置はこうして、運営の仕方はああして…」といったもっと具体的な基準がなかったため、標準化といっても何をどう変えていけばよいのかが不明確だったからです。
一方で、私たちインターン生はアルファチャマやケニアの農村の実態に詳しいわけではないため、自分たちだけで「これが理想のアルファチャマだ!」と考えても、机上の空論となってしまい、アルファチャマの実態との間にズレが生じることが容易に予想されました。そこで、現状で最も優れたアルファチャマを訪問し、彼らがどのようにアルファチャマを運営しているのか、事細かなインタビューを実施しました。優れたアルファチャマが現に行っていることを基に基準を作ることで、地に足のついた基準になると考えたからです。
こうして、私たちは、そのアルファチャマを訪れた上で、
・アルファチャマの運営を担っている議長、書記、会計といった各役職者が実際にどのように仕事をしているのか
・メンバーが欠席や遅刻した場合にどのようなルールを設定しているのか
などを詳しく聞いて、優れたアルファチャマは何をしているのか、ということを分析しました。
いざ分析してみると、自分たちが「これは当然できるだろう」と考えていたことが、様々な事情でケニアの農村では困難だったりして、日本とケニアの違いを思い知らされました。例えば、ケニアでは農村でも大体携帯の電波は飛んでいますが、農村には電気がないため、農家は携帯を持っていても充電が頻繁にはできません。このため、携帯の電源が付いていないことが多く、例えばミーティングの時間に急な変更があって連絡をしないといけない時も、電話ですぐに伝えられない場合も多いです。
2.理想のアルファチャマを可視化する「アルファチャマ評価シート」
その後、聞き取った内容をアルファチャマが実行すべき評価項目として整理し、「アルファチャマの評価シート」を作成しました。
その項目数なんと50以上!いくつかの項目をご紹介すると、
・農家の出席率が80%以上であり、欠席する農家も正当な理由(病気、教会、葬式又は学校)がある」
といったグループ全体の項目や、
・議長がミーティングでの議論のテーマを1〜2つ考えてくるとともに、他のメンバーからも募集した上で、議論のテーマを決定している
・書記が議論の内容を記録している
など、役職者ごとに具体的に果たすべき役割を定めた項目もあります。
こうして目指すべき理想のアルファチャマを具体的な項目に落とし込めたので、あとは各アルファチャマがこれらの項目をどれだけできているかを明らかにして、できていないことはできるようにしていくだけです!
そのために、ケニア人スタッフと協力して、各アルファチャマを順に訪問し、評価シートの項目をそれぞれ実行できているか、3段階で評価していきました。
その上で、評価結果をそのアルファチャマの指導担当のケニア人スタッフに伝え、実行できていなかった項目については、アルファチャマのメンバーとともに改善に取り組んでもらっています。数ヶ月後に再度同じようにアルファチャマの評価を行い、このサイクルを繰り返すことで、少しずつ全アルファチャマを理想のアルファチャマへと近づけていく考えです。
3.役割シート
また、評価結果に基づいてケニア人スタッフがアルファチャマのメンバー、特に役職者を指導していく際も少し工夫をしてみることにしました。単に口頭で彼らに改善点を伝えるだけでは、多くの人は理解できず、あるいは覚えることができず、具体的な改善につながらないと予想されたからです。
このため、評価シートを基に、役職者ごとに具体的な役割を簡潔に整理した「役割シート」というリーフレットを作成しました。そして、地域ごとに役職者に集まってもらい、このリーフレットを配布し、みんなでその内容を勉強する会を設けました。しっかりと内容が頭に入るよう、単にこちらから説明するのではなく、クイズの時間を設けたりするなど工夫をしました。
出席した農家からは、「インタラクティブな勉強会で、よく理解できた」「このリーフレットがあれば今日習ったことを忘れない」といった声をもらい、その後各アルファチャマのミーティングでは、リーフレットを見ながら自分の役割を一生懸命果たそうとする役職者の姿がよく見られました。
このように、インターン生が中心となって評価シートや役割シートなどのツールの開発を行い、ケニア人スタッフを巻き込みながらアルファチャマの標準化に取り組んでいます。一方で、ケニア人スタッフと一緒に仕事をしていく中で、彼らの仕事のやり方についても、アルファチャマと同様に標準化すべき部分が見つかり、これについてもインターン生で改善に取り組むことにしました。
次回は、こうしたスタッフの仕事のやり方の標準化にどう取り組んだかについて詳しくお話ししたいと思います。
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