こんにちは!
6月上旬から7月下旬まで、約2ヶ月間アルファジリでインターンをしていた芳賀です。

インターンの活動内容のご紹介として、前回は「アルファチャマの標準化」について具体的な取組をお話しました。今回は、その過程で課題として浮き上がってきた、アルファジリのスタッフ(フィールドオフィサー)の業務の標準化についてお話したいと思います。

 

1. フィールドオフィサーとは

フィールドオフィサーとは、アルファジリで働くスタッフのうち、各地域で農家を勧誘してアルファチャマを形成し、その運営の指導・監督を行うほか、各農家の栽培状況を定期的に確認し、必要に応じてアドバイスを提供するスタッフです。フィールドオフィサーは自分の担当地域のアルファチャマのミーティングに参加し、運営が円滑に行われるよう指導・監督を行います。また、彼らはその地域の会員農家が作物をしっかりと育てられるようにサポートする責任を負っており、農作業のトレーニングを行うほか、定期的に農家の畑を訪れ、問題があればアドバイスを与えます。

簡潔にまとめると、フィールドオフィサーは地域の農家をまとめ上げ、アルファジリの各種サービスと結びつけるという、アルファジリの中で大変重要な役割を担っています。

 

2. フィールドオフィサーの現状と課題

アルファチャマの標準化に取り組むために各地域のアルファチャマを訪れる中で浮かび上がってきたのが、業務のやり方がフィールドオフィサーによって大きく異なり、結果として農家に提供しているサービスにも差が生じてしまっている、ということでした。

例えば、前回のブログでご説明したとおり、アルファチャマには運営を担っている役職者が数名いるのですが、役職者をトレーニングし、彼らがその役割を十分に理解し、発揮できるようにするのは、アルファチャマを指導・監督するフィールドオフィサーの大事な仕事です。あるフィールドオフィサーは、毎月1回、役職者だけとのミーティングを開催し、彼らの仕事ぶりについてフィードバックを与えるほか、彼らからの相談にも乗り、彼らが常に改善し続けていけるようにしていました。他方で、別のフィールドオフィサーは、アルファチャマのミーティング中に役職者に何か問題があれば指摘するだけで、十分に彼らをトレーニングしているとは言えませんでした。

これはもちろん、フィールドオフィサーによってこれまでの勤務期間が異なり、経験に差があるということもあります。しかしながら、それとともに、そもそもフィールドオフィサーの業務の範囲は何か、そしてそれらの業務をどう進めるべきなのか、ということが明確化されていなかったことが原因にありました。新たなフィールドオフィサーが採用されたときには、別のスタッフから業務説明を受けるのですが、それは口頭での一般的な説明にとどまり、何度か別のフィールドオフィサーの仕事ぶりを見た後は、それぞれ自分なりのやり方でやっていた、という状況だったのです。

そこで、フィールドオフィサーの様々な業務を標準化するため、インターン生でツール開発に取り組むことにしました。ここでは特に力を入れたフィールドオフィサーの業務マニュアルについてご紹介したいと思います。

 

3.フィールドオフィサーの業務マニュアル

フィールドオフィサーの業務の状況のうち、何より課題に感じたのは彼らの業務の範囲やその進め方が文書化されておらず、統一的な基準がないという点でした。これにより各フィールドオフィサーの仕事のやり方がバラバラになり、仕事の質にも差が生じてしまっていると感じられました。そこで、この問題を解決するため、フィールドオフィサーの業務を網羅的・体系的にまとめた業務マニュアルを作ることにしました。そのマニュアルさえ読めば、新しいフィールドオフィサーでも自分が何をすべきなのかがはっきりと分かるイメージです。

そのために、まずはフィールドオフィサーの業務を全て洗い出すところから始めました。ところが、誰も全業務を体系的には把握していないので、各フィールドオフィサーと一緒に過ごして彼らが何をしているのかを把握するとともに、フィールドオフィーサーのサポートをしているスタッフにも何度かに分けてインタビューを行い、少しずつ業務を洗い出していきました。スタッフによって言っていることが異なったりして混乱することも多々ありましたが、こうしてまずは業務内容を網羅的に洗い出しました。

加えて、各フィールドオフィサーと一緒に過ごす中で、「これは優れたやり方だ!」と思ったものをベストプラクティスとして抽出し、それも記録していきました。例えば、上で紹介したアルファチャマの役職者との定期的なミーティングがこれに当たります。このような優れた仕事のやり方を共有してみんなでやっていけば、フィールドオフィサー全体としてのレベルアップにつながります。

こうして業務内容とそのベストプラクティスを洗い出した後は、それらを体系的に英語のマニュアルとしてまとめました。冗長だったり難しかったりするとフィールドオフィサーが読む気力を失ってしまうため、なるべく簡潔にすることを心がけましたが、それでも23ページに及んでしまいました…!

フィールドオフィサーの業務マニュアル

 

4.フィールドオフィサーのトレーニング

業務マニュアルを作成したのはよいものの、「マニュアルを作ったので各自読んでくれ」と言っても、23ページのマニュアルを読んでくれる可能性は限りなく0に近いです。そこで、全フィールドオフィサーにアルファジリのオフィスに集まってもらい、業務マニュアルの勉強会を開催することにしました。

勉強会の様子

私から業務マニュアルの説明を行ったのですが、一方的な説明で終わることなく、フィールドオフィサーから「それはこういう理由で良くないのではないか。こうしたらもっと良いと思う。」「こういう場合はどうすればよいのか。」といった建設的な提案や質問が出てきて、マニュアル自体をより良いものにする機会にもなりました。一から業務マニュアルの作成に取り組ませていただいて大変勉強になったほか、勉強会で思いもよらなかった質問が出てくるのを聞いていて、同じケニアの南西部でも、地域によって色々な違いがあることを再認識させられ、画一的なマニュアルでは対応できない部分も多々あるということも痛感しました。

さて、標準化についてのインターン活動のご紹介は今回で終わりにし、次回は2ヶ月間のインターンを通じて私が学んだこと、感じたことを最後にお話しさせていただきたいと思います。

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