
はじめまして、新卒のはた子です。
4月1日から福岡の多の津オフィスに勤めながらプランをブラッシュアップすることになりました!
自分は耳が全く聞こえず、話すことも発音がうまくできなかったりして聞き取ってもらうことも難しい障害を持っています。
そんな私がボーダレスジャパンを就職先に選んだ理由をお話しします!
ビジョンと夢
私は中学1年生のころ、NHKの『中学生日記』に出演しました。女優を志していたときの話です。
当時の自分を取材したドキュメンタリー番組で、自分はこう語っています。
「ろう者の世界を変えたい」(ろう者=聴覚障害者とここでは定義しています)
(出典:『菜々子13歳 中学生日記に出演』 https://youtu.be/t2AUQptto6s )
私は幼いころから習い事を始めたくても断られたり、塾に通うことも難しかったりと、聴覚障害があることで「当たり前のことができない」という現状を肌で感じてきました。そこで、私自身が女優になることでメディアに露出していけば、多くの人の目に触れて、聴覚障害者が当たり前の存在になっていくことを期待していました。
女優という夢はやがて変化していき、CMクリエイターだとかシナリオライターだとか、紆余曲折しながらもいつまでも『自由に将来を選択できる未来をつくる』というビジョンは変わりませんでした。
ところが、大学に入学してアルバイトを探したとき、電話ができない・アラームが聞こえないなどの理由で面接さえも受けられない日々が続きました。同じことが就職活動でも起こりました。エントリーシートさえも受け取ってもらえない、あるいは説明会の参加を断られてしまう。自分の障害を心の底から恨みました。
でも、よく考えてみると企業は聴覚障害者に出会ったこともない方が多いはずだし、「どう接すればいいのかわからない」というのが多数派なのが当然なのではないでしょうか。
企業としても、トラブルになりそうなこと・リスクの高いことを避けなければならないという背景があることに気付きました。これまで、私は物事がうまくいかないときは障害のせいにしがちでしたが、そもそも企業や世間に「知ってもらう」ことが必要だと思うようになりました。
そのことについて、深く考えるようになったのは学生時代、やっとの思いで見つけたアルバイト先のカフェでの出来事でした。
障害のせいにしていた自分を自覚した瞬間
「耳が聞こえません」バッジをつけて働いていると、接客していたお客様が突然涙ぐみ始めました。
慌ててナプキンを渡すと、彼女は筆談でこう言ってくれました。
「(カフェ店名)は素晴らしいね、こうして障害のある人を雇ってくれる。きっと教育をするのも大変だったでしょうに」
彼女は心の底から感動したようで、私に握手を求めて去って行きました。「頑張ってるね」という一言もいただけて嬉しい気持ちになりました。
ただ、帰宅して冷静になってみると彼女は私自身ではなくて「私を雇ったカフェ」自体を絶賛しているようにも見えました。実際に自分自身も、そのカフェがあったからアルバイトができたことに変わりはないので、彼女の言うことに共感しました。
その一方で、自分自身を見てもらうことができなかった(聴覚障害者であることを超えられなかった)ことを悔しく思いました。
「障害があるから電話は任せる」「忙しいときはレジをやらない」といった周囲からの理解によって配慮していただいた部分もありながら、精一杯働いてきたつもりでした。ところが、実際はお客様とのコミュニケーションや新人教育などの「工夫すればできるはず」の領域までも耳が聞こえないことを理由に避けていた自分がいました。
お客様からのこの一言は私にとって、強い衝撃でした。この瞬間から、このままではいけないという焦燥感が生まれます。
ボーダレスでやりたいこと
アルバイト中の出来事によって、私は『聴覚障害者が一人前として認められる』ことを目標にしたいと思うようになりました。そうすれば、『自由に将来を選択できる未来』というビジョンにもつながると考えたからです。
そんなとき、方法として浮かんだのが「会社をつくる」ことでした。どこかの会社に所属してその会社の障害者雇用を見直すことなら今すぐできるかもしれませんが、私の場合、ひとつの会社だけではなくて、できる限り多くの会社(採用経験のない会社も含め)が聴覚障害者を「欲しい!」と思っていただけるような環境づくりをしたいと思ったので、この方法を選びました。
こうして、ボーダレスジャパンのメンバーに加わらせていただくことになりました。
でも「こんなに偉そうに言っているのだから、お前は十分に一人前なのか」と言われると、正直にいってまだまだです。
会話内容がわからないとき話を遮ることに勇気は必要だし、まだ自分自身が100%相手の話を理解できるツールを見つけられてもいません。
コミュニケーションの課題はかなり壁が高いように思います。ボーダレスでは、何かを起こすより以前に学ぶことの方が多いでしょう。
ただ、ビジョンだけは揺るがない自信があるので、常に自分自身の問題と向き合いながらプランをブラッシュアップしていきたいと思います。
長くなりましたが、ここまで読んでくださってありがとうございます。
ビジョンに向かって全力で駆け抜けたいと思います!みなさん、よろしくお願い致します。