
世の中に三日坊主選手権があれば、トップ3に入れるだろうと自負しているほど飽きっぽい私が、なぜか5年近く続けていることがある。無料写真共有アプリ『instagram』だ。
instagramは今となってはユーザー数4億人!という巨大ソーシャルメディアになってきており、著名人も多く利用している。
友達同士はもちろんのこと、相手が全く知らない人であっても、その人の写真が好きであればフォローする。
@marutaroとかもうたまらなく可愛い。最近は動画もアップロードできるので、全く知らない方のワンコやニャンコを勝手に愛でている毎日だ。
instagramが好きな理由の一つに、ハッシュタグ機能がある。例えば、カフェ好きのユーザーさんが行っているカフェのハッシュタグを押すと、ぶあぁと、そのカフェに行った人たちの写真が出てくる。更に場所まで教えてくれる。「ふぇー!素敵!行ってみよう!」と思って実際に行ったこともある。本の嗜好が似ている人も、本の感想を載せてくれていたりするので、非常に参考になる。
ハッシュタッグはなんでも調べることができる。「#犬」も調べることができれば、「#ISIS」だって調べることができるのだ。
そしてそこには誰かが撮った、誰かが選んだ写真や言葉がある。
11月13日に、パリで痛ましい事件が起こった。Facebookやtwitterで#prayforparisのタグが付けられた写真を見た人も多いと思う。instagramも同じだ。今年の1月7日に起きたフランスの風刺週刊誌「シャルリ・エブド」本社の銃撃事件の追悼と合わせて、既に約550万件の「#prayforparis」の写真が投稿されている。
投稿しているのは、一般人がほとんどだ。写真は言葉より何かを語る時がある。550万人の憤りと無言の抗議を感じる。小さな、そして大きな意思表示だ。
そんな中、インドのニューデリーに住む一般人の女性(@karunaezara)が21時間前にinstagramに投稿した写真が、既に26万件もの賛同を得ている。
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祈るべきなのはパリではありません。
世界です。ベイルートも含まれている世界です。
ベイルートはパリの二日前の爆撃で未だ混乱していますが、報道されていません。
祈るべきなのは葬儀のさなかに爆弾が爆発した世界です。
けれど、誰のタイムラインにも「バグダッド」が出てきません。その炎で死んだ白人が一人もいないからです。
世界のために祈ってください。
テロ攻撃のせいにして、難民危機を非難する世界のために。
テロ攻撃をしている人と、フランスで攻撃された人と同じように過激派から逃れようとしているイスラム教徒の人たちを、区別しようと立ち止まって考えもしない世界のために。
世界のために祈ってください。
人々が何カ月も国々を通り抜けて歩き、持ち物は背中に負えるものだけで、あなたの行く場所はないと告げられている世界のために。
どうぞパリのために祈りの言葉をささげてください。でも、もっと祈ってください。
祈ってくれる人もない世界のために、守るべき家ももはやない人々のために。
どの街角も崩れ去った世界のために。
見慣れた塔やカフェの街に起こった崩壊のためだけでなく。
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ソーシャルメディアが発達した今、誰でも小さな発信者になることができる。
誰でも発信できるからこそ、大きなメディアの情報だけが、私たちの情報源ではなくなってきている。
見落としてしまいがちな大切な事実を、発信している誰かがいる。
記者でもない、プロでもない、一般人が選んで投稿した写真や言葉から、見えてくる世界の姿が大いにあると思う。