アノサポ共同代表の白石です。
2022年の8月でアノサポを創業して早くも1年が経ちました。
思い返すと、2017年2月初めてマレーシア・サバ州の地を踏み、無国籍であるがゆえに自由と権利を奪われた子どもたちと出会った時から5年もの月日が経っています。
こちらのブログをお借りして、この一年現場で何が起きていたのか。そしてこれからどこへ向かっていくのかをみなさんにお伝えできれば嬉しいです。

百聞は一見にしかず。責任と希望の間で。

アノサポを創業をした2021年8月は、感染症への対策として多くの国が入国者の制限をしていました。
無国籍問題の当事者がいるマレーシアでも状況は同じく、創業から半年間は現場から遠く離れた日本でアノサポが提供するアノテーションサービスの改善に集中していました。
※アノサポの事業詳細は共同代表 河内が記したこちらのブログへ

やっと入国許可が出たのは2022年2月。
サービス改善に精を出しながらも、無国籍の子供達が住む集落に足を運び、雇用創出を目指す事業で最も大事な『一人目の採用』を進めました。

『百聞は一見にしかず』と言いますが、まさに現場で動いて認識できたことを挙げたらキリがありません。
「無国籍者を母国フィリピンに帰国させる」という当事者家族にとてつもなく大きな決断を迫る事業を進める中で、
「帰国したいけれども家族の人生を預けるまで信頼できるか分からない...帰国できた家族が増えたらまた声かけて」
という言葉を何度も現場で耳にしました。

当然、事業計画段階でも想定していたことではありましたが「当事者家族全員の信頼を得るのがここまで難しいのか」と痛感させられました。
この事業の根本に関わる”信頼”という課題は、一人目として採用したメンバー”ビビアナ”を中心に解決へと向かってゆきます。ビビアナは、無国籍者の住む集落内にあるボランティア学校で河内、私と共に先生をやっていた方です。彼女自身も無国籍状態の子どもを育てる、無国籍問題の当事者です。

共に先生をやっていた時から5年以上の間、志を共有していたこともあり、ビビアナは私たちを信頼しアノサポの一員として共に無国籍問題を解決することを決めてくれました。
彼女がアノサポに加わった結果、私たちと接点がなかった当事者の方からも信頼を得ることができ、二人目以降の採用・育成をスムーズに進めることができています。

ビビアナの参加により当事者家族の信頼を得られるようになった一方で、”ビビアナの家族たちの人生を背負う”責任を一層重く感じています。

次の一年で向かっていく場所

1,2人目の採用ができ今後の採用経路も確保することができた一方で、足元を見てみると、マレーシア・サバ州に80万人以上いるといわれる無国籍者のうちたった2家族しか採用できておらず、まだ帰国準備段階にあるという状態です。

遅すぎます。

2年目は、

・3人目の採用
・安全な帰国経路の確保
・3家族フィリピン帰国
・帰国後の国籍取得+公立学校への参加
・フィリピン拠点リーダー育成

・・・とやることが山ほどあります。

私の目標は、子どもたちに初めて会った時から変わらず
「子どもたちが無国籍であるがゆえに警察に追われることなく、安心して生活でき、希望を持てる社会をつくる」ことです。
マレーシア・サバ州にいる80万人以上とも言われる無国籍者を2050年までに0にできるように、2年目には50世帯、3年目には150世帯と帰国者を増やせるように、アノサポ一丸となって一歩一歩進んでゆきます。

あわせて読みたい

▼ボーダレスマガジンVol.62(2022.02.02)
世界の無国籍問題に終止符を!その方法は『AI(人工知能)』にあり!?

▼SDGsジャーナル(2022年4月8日)
「無国籍問題」に終止符を!~その方法は「AI」にあり!?~