
ビジネスレザーファクトリー(以下、ビジレザ)の「はなみち」こと、原口瑛子です。
先日のプレスリリースやブログでご報告した通り、本日2022年2月28日をもってビジネスレザーファクトリーの代表取締役長を退任し、2022年3月1日より齊藤と諏訪の二人が、共同代表として代表取締役に就任いたします。
先日のブログで「はなみちのビジレザ経営日記」は "完結編" だと締め括ったのですが、どうしてもひとつだけ未来のために書き残しておきたいことがあり、"番外編"を書くことにしました。「経営者の孤独」を感じている人に向けて。
声が小さい社長は
もともと私は口が達者な方ではない。さらには、物理的にも心理的にも大きい声が得意ではない。結果、口下手だし声が小さい。以前をよく知る田口や鈴木からは、笑い話として「蚊の鳴く声だった」とよく言われていた。これは経営者としては致命的だとずっと思っていた。
声の出し方や話し方など、少しずつ変わってきたことも、あるのかもしれない。一方でこの数年間で「伝えたいことが伝わらない」という経験は、長らく私を苦しめたように思う。自分の努力不足や実力不足は前提の上で「伝えたいことが伝わらない」瞬間が、経営者としての孤独を感じる瞬間だった。
まったく違う性格の二人に
だけど、これまでを振り返ってずっとそうだったかと聞かれると、私の答えは「NO」だった。それは、いつも隣にいてくれた副社長金ちゃんと人事ちほちゃんが、私が伝えたいことを理解して、みんなに伝えてきてくれたからだと思う。金ちゃんは、誰にでもわかる美しい言葉で、ちほちゃんは、場の温度を上げる言葉で、みんなに言葉を紡いでくれた。この二人の存在が、経営者の私にとって、とても大きかった。
話は脱線するが、私たちは遊びでよく動物占いをしていた(笑)。生年月日を入力すると12分類60種類の動物が割り当てられる動物占い。よく知るメンバーの生年月日から「この動物は誰か?」という問いに答える遊び。なぜかそれを、私たちはよく当てられた。当てられると、とても嬉しかった。
ちなみに、三人の動物占いは、私が「感情豊かな黒豹」、金ちゃんが「守りの猿」、ちほちゃんが「長距離走のチータ」。三分類に当てはめると、三人が違う性格に位置している。確かにまったくと言っていいほど、違う性格だった。でも、違う性格だったからこそ、分かり合えたことが、たくさんあった。
Marisolの記事より
「経営者の孤独」は"ない"と教えてもらった
でもきっと、最初からそうだったわけではない。年月をかけて、そうなった。
こんな出来事があった。私が社長になってしばらくし、二人に呼び出された。正確には、二人は出張中で同じ場所にいて、私はオフィスにいて、オンラインで呼び出された。そして、こう言われた。
「僕たちは、今の原口さんが考えていることが、わかりません」
頭をぶん殴られたようなショックだった。一番話していると思っていた二人に、一番信頼していると思っていた二人に、この言葉を言われたら、もう終わりだ。これが経営者になって一番ショックだった瞬間だった。でも、二人は続けた。
「僕たちは、一枚岩になりたいから、今考えていることを教えて欲しい。原口さんと同じくらいビジレザのことを考えているから」
これは本当に嬉しかった。私は一人で抱えていた不安を、一つ残らず伝えた。嗚咽しながら。
隣にいてくれる人に
今振り返ると、二人はそんなこと、言いたくなかったはずだ。だけど二人は、あえて言ってくれた。そのことが、経営者にとってどんなに貴重なことか、経験したことがある方には、わかるかもしれない。この出来事が私にとって、本当に苦しくて、本当に嬉しい、そんな出来事になった。
それからと言うもの、二人とのコミュニケーションは、量も質も変わった。隣にいてくれて、嬉しいことも、悲しいことも、ぜんぶ話した。一緒に嬉しがったり、一緒に悲しがったりした。まさに私たちは、同志だった。次第に、阿吽の呼吸になって、何も言わなくても、お互いが考えていることが、わかるようになった。
そういえば、私がまだメンバーだった頃、リーダーが一人で悩んでいる時に「一人で悩まないでほしい」とずっと思っていた。「私たちの事業なんだから一緒に悩ませてよ」って思ってた。解決できるほどの力があるとかないとか関係なく、単純にそう思ってた。
でもなぜか、リーダーになると、そんなメンバーの頃の気持ちはすっかり忘れて、「メンバーに弱いところを見せちゃダメだ」とか「メンバーに負担をかけちゃいけない」と思ってしまうのが、よくある話。
メンバーは、正直そんなことは願っちゃいない。苦しい時は、お互いさまだってことを、知っている。だから、経営者の孤独なんて、きっとない。そんなことを、私は二人に、教えてもらったんだ。
誕生日の時の写真
いつも感謝を伝えたい
二人がいたから、今の私がいる。そんな二人に出逢ったことが、経営者の私にとって、奇跡のようなことだった。だから、心から感謝している。未来の自分や、未来の経営者の人たちにも伝えたい。そうやって隣にいてくれる仲間に、必ず出逢える。だから、そんな仲間ができたら、いつも感謝を忘れないでいたい。声が小さい社長の私は、この場を借りて、大きな声で言いたい。本当にありがとう。
<ビジネスレザーファクトリーとは?>
手頃な価格で上質な革製品を提供する「働く人のための」牛本革製品専門ブランド。バングラデシュの貧困層に雇用を生み出すことを目的として始まった。バングラデシュでは、年に一度開催されるイードと呼ばれるお祭りで、大量の牛皮が発生する。この牛皮を使った革製品の工場で、雇用を生み出せる可能性を見出だし、2014年に事業をスタート。創業から6年、現在工場では約700名を雇用、その家族を含め、約3,000名の生活を支える。2014年3月よりネット販売を開始、全国18店舗の直営店舗を構えている。2015年には「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2015」を受賞、「ガイアの夜明け」、「事業構想」などメディアにも多数掲載される。
<あわせて読みたい>
はなみちのビジレザ経営日記
■2017年3月 経営者の仕事って、結局いったい何なのか?
■2017年3月 「ビジレザ社長会」開催ー経営リテラシーを高めるにはー
■2017年4月 「人事面談」とは?—自己改革の機会、そして…
■2017年6月 ビジレザの「経営理念」とは?
■2017年7月 「経営者は孤独である」って本当か…?
■2017年8月 「いい会社」って何だろう?そして、その先には..」
■2017年12月 「私たちは何のために「働く」のか?」
■2018年2月 「私が「働く」ことにこだわる理由」
■2019年4月 経営者としての本当の「強さ」とは?
■2019年6月「一周回ってたどり着いた新たな経営理念(案)について」
■2020年1月「新卒に対して今の私にできる唯一の約束について」
■2020年2月「ビレッジ構想がついに始動!理想を実現していくこととは…?」
■2021年2月「事業には波がある、下がった時にどうするか?」
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