
「ウサギとカメ」の童話は知っていますか?
自分の足の速さが自慢だったウサギは、足が遅いカメと山の麓まで競争することに。ウサギはスタートからすごい勢いでカメを引き離します。しかし、その後大きく差がついたことに安心し一休憩。そのまま居眠りをしてしまいます。その間にもカメは黙々と歩き続け、いつまにかウサギを追い越してゴールする。
「油断大敵」とか「コツコツ地道に努力することの大切さ」を教えくれる話として有名ですよね。
ウサギは走る前からカメに負けていた
この話を違った角度から解釈して書かれた本があります。その本では、ウサギとカメそれぞれが「何を目的に走るのか?」に注目しています。
ウサギが走る目的は、「カメに勝つこと」です。自分より明らかに足の遅いカメと競争し勝つことで自尊心を守ろうとする、そんな心の弱さが垣間見えます。
では、カメの目的は何でしょうか?カメは「ウサギに勝つことではなく、ゴールすること」が目的でした。つまりウサギではなくゴールである山の麓を見ていました。自分と他人を比較するのではなく自分自身と戦っていたのです。
カメに勝つことが目的だったウサギは、カメと大差をつけて勝利が確実だと感じると走る目的を見失ってしまいます。一方のカメはどんなに差がついても、自分の目標に向かって黙々と歩き続けるのです。カメにとっての勝利は「自分に勝つこと」なので、自分が諦めなければいつか必ず目的を達成します。
自分はウサギ?カメ?
私は30歳でボーダレスに入って、今年で8年目になります。最初の2年間はボーダレスハウスで入居者管理や新規物件開発を担当し、その後は革製品のOEM事業ボーダレスファクトリーの事業部長を3年やりました。そして今のボーダレスキャリアで初めて社長になりました。
これまでの自分を振り返ってみると、私はウサギの弱さを持ったカメだと思います。ボーダレスに入ったばかりの頃は、コンプレックスの塊でした。ボーダレスハウスのスタッフで英語ができないのは私だけ。ビジネススキルはおろか、パソコンもまともに使ったことないし、ロジカルシンキングってなに?みたいな状態でした。
「このままじゃダメだ」と感じ、出勤前と帰宅後にオンライン英会話をやり、日経新聞とビジネス書を読み漁り、論理的思考のトレーニングとしてトヨタ式の「5why=なぜ?を5回繰り替えすことで本質に辿り着く」を忠実に実践しました。
家でも徹底していたので、妻の発言や行動に対して「今なぜその発言をした?」「そう考えたのはなぜ?」とやっていたら妻にブチギレされました。それでも繰り返していたら「それをやめないなら、一緒に生活するのは無理。離婚する。」とまで言われてしまいました。(確かにウザいですよね。。。)
自分にできることをコツコツと、まさにカメのようにやり続けました。その時の私のモチベーションになっていたのは、「周りの人たちに早く追いつきたい」ということだけ。常に周りと自分を比較し、その人たちに近づいていることを自覚することで満足を得ていました。
その後小さい成功体験を積み重ねていくと、だんだんと周りと比較する回数は減っていきました。さらにはコツコツと努力できることを評価してくれる人も増えてきて、少しづつ自信もついてきました。こうして地道に自分を成長させていけば目的を達成できるという手応えも感じ、まさにカメのように「自分自身との戦い」という境地に入った気分でした。
真の経営者の仕事とは?
私が個人スポーツのアスリートだったり、技術を突き詰める職人であれば、このやり方でもいいのかもしれません。だけど経営者はそれではダメ。それを教えてくれたのは田口の言葉でした。
「経営者の仕事は自分の力で結果を出すことではない。カッコつけてやり方にこだわるのではなく、頼れるものは頼り、利用できるものは利用しきって、より大きな結果をより早く生み出せる人が真の経営者だ。」
よく起業家を目指している人が「ゼロから自分で立ち上げたい」とか「自分らしいやり方で」と言うのを聞きますが、そこに固執し過ぎるのはその人のエゴでしかありません。特に社会問題に取り組むソーシャルビジネスでは、このことは重要だと思います。本当に困っている人たちは、1日でも1時間でも1分でも、とにかく早くその問題を解決してくれることを望んでいるからです。
そのことに気づいてから私の考え方は変わりました。自分がカメタイプだろうがなんだろうが、そんなことは関係ない。自分の仕事は、ウサギでもダチョウでもチーターでも、鳥でも飛行機でもデロリアンでも、自分よりも力のある人たちを巻き込み、使えるものは使って、早く事業が目指しているビジョンを実現することだと。
だからこそ、ボーダレスグループを最大限利用し、それ以外の助けも借りながらボーダレスキャリアの事業を最速で伸ばしていきたいと思います。
◆社長・高橋大和の他の記事を読む◆
□何事にも動じない女とクレイジーすぎる男 大和ブログ Vol.27
□多様な働き方が広がる中で「就社」について考える 大和ブログ Vol.26
□何が大切かじゃなく、何を大切にするか? 大和ブログVol.25
□凡人経営 大和ブログVol.24
□ステップ就職の約束 大和ブログ Vol.23