『愛の反対は憎しみではない 無関心だ』とマザー・テレサは言いました。無関心であること、苦しむ者に関わりを持たずに傍観者であることが愛の対極にあると。

3.11から3年が経ち、被災地に関する報道はほとんどなくなり、その記憶も風化しつつあり、被災地に対する関心も薄れていく中、被災地の悲惨な状況を伝えようとすると『風評被害』という言葉で話をそらす。そんなムードが漂っている現状に、僕はすごく違和感を感じるし、やるせない気持ちになります。「なんだか、みんな他人事だね」と。

前を向いて歩むこともちろん大切なことなんだけど、忘れてはいけない大切なことってあるはず。無関心にはなってはいっけないことってあるはず。

例えば、脱原発の話をすると、
「電気代が上がって日本の製造業は破たんするぜ」
「火力発電が増えてCO2もっと出すぜ」
「節電とかしたら経済が落ち込むぜ」

とかいろいろな批判をしてくる人たちがいて、それはそれで正しいんだろうけど『ちょっと待って』といつも思うわけ。『じゃ、あなたの街、東京に原子力発電所があります。それでも再稼働させますか?』みんな、NOですよね。僕はここからすべての議論はスタートすべきだと思うんです。

原発が良い悪いの話をする前に、ちゃんと「自分が原発地域に住む人だったらどうなんだろう」と思いを巡らすことから始める。誰かに押し付けているクセに、ごもっともらしいお説教をたれるのは間違っていると思う訳です。他人事じゃなくて、ちゃんと“自分事”として考える。そうじゃないとなんだか卑怯な気がする。

自分の街に原発つくるくらいだったら、電気代位いくら上がってもクリーンエネルギーにしよう、節電しようと思う人が多いんじゃないかな?それなのに、なぜみんな再稼働はやむを得ないみたいなことを平気で言う。

先祖代々受け継いできた土地、幼いころを過ごした地元、故郷を追い出され、戻れなくなった被災地の人たちを目の前にして、同じことが堂々と言えるだろうか?放射能が漏れて、永遠に故郷を失なう可能性がある原発を、本当に自分の街につくるか?みんながちゃんと、そうやって“自分事”として考えることからスタートしたい。

美味しんぼの話も、結局は同じじゃないかな。鼻血が放射能の直接的影響かどうかは僕も分からないけど、この件を風評被害だと言って切り捨てる政治家たちはなんなんだろう。国民を守るとか言って集団的自衛権の話をするにもいいけど、本当に国民を守るつもりがあるのなら、あなたの子供を守るように民のことも考えて欲しい。

『福島に残してきた自分の妻、子供が何日も鼻血を出している。』もし自分がその立場だったら、心配で心配でたまらないんじゃないでしょうか?確かに、放射能の直接的影響ではなくて、ストレスによるものかも知れません。そうであっても、その原因は何なのか?なぜ突然鼻血が出だしたのか?

自分の子供が何日も鼻血を出しているのに、医者から「おそらく大丈夫。しばらく様子を見ましょう」と言われて、あの人たちは納得できるのだろうか、とテレビを見ていて思うんです。自分の子供にそういう症状が出ているのであれば、『原因を特定するために、早急に調査チームをつくり調べます』というのが国のリーダーの姿だと思う。

僕が安倍さんなら、その日のうちに全国から専門家をかき集めて、調査チームを作る。そして、ちゃんとした調査結果を出して、みんなを安心させてあげたいと思う。もちろん、本当に悪い結果であれば、土下座して頭下げて移住をお願いする。だって、自分の妻・子供が被災地にいたら、誰だってそうするでしょ。

他人事としてしか考えていないから、“風評被害だ!”とか見当違いのよく分からない発言をしちゃう。あなたは誰を向いて仕事をしているのですか?と聞きたくなる。風評被害じゃないなら、ちゃんとデータを出せば良いんです。情報を公開しないでこそこそやっているから、風評被害が生まれるんです。風評被害を生んでいるのは、あなた自身ですよ。と僕は思う。

じゃ、私たちに何ができるのか?まずは、マザー・テレサ言ったように、『無関心にならない』こと、関心という愛を持って社会に参加することだと思う。「人々の無関心は常に攻撃者の利益になることを忘れてはいけない。」とエリ・ヴィーゼルが言ったように。

みんなが思いやりと責任感を持って良い社会をつくろうとしたら、必ず素晴らしい姿が生まれると思う。その素敵な社会の姿を世界に示すことができたら、日本という国はより一段と素晴らしい国になれるはず!

僕は事業家ですので、そんな社会の姿を後押しできるように、只今、映画の配信事業を大急ぎで立ち上げています。“社会の問題を自分事として捉えるきっかけになるような映画”をニッポンの皆さんに届けたいと思います!あれやこれやの手で力づくでもみんなに映画を見て欲しいので(笑)、映画館をつくることも本気で考えています。

こうご期待!

今日、大学時代の友人から送られてきた曲

イッチー、あらゆる出来事を自分事として考えられる想像力と思いやりを持った人間を雄飛会で育ててくれ!

ちなみにこれは小学生の時にクラスのみんなで歌っていた(歌わされていた?)歌。気概のある熱い先生でした。

SUMMER TIME BLUES by 故 忌野清志郎