
日本では主に女性に多いといわれている貧血。出血、鉄分不足、遺伝子異常など様々な原因がありますが、主たるものは鉄分不足だといわれています。
今日のテーマは、「鉄分不足」です。
鉄分不足の典型、貧血
鉄分不足の典型的な例として、貧血があげられます。
貧血は、大量に出血した時に起こりやすく、女性は生理で出血を伴うため、貧血になりやすいといわれています。大人の貧血・鉄分不足は動悸や息切れ、めまいなどを伴い、生活にも影響を及ぼしています。
また赤ちゃんは成長に伴い、母乳のみでは栄養が不十分になってくると、気づかないうちに貧血になりやすいといわれています。
発展途上国で深刻な鉄分不足
鉄分不足は貧困層の人々はとくに深刻です。一説によると、鉄分が不足している状態の人々は、世界中で30億人にも上るといわれています。
WHOの調査によると、アフリカや南アジアなど発展途上国の大半の国で4割以上、ひどい国では6割以上の妊婦が貧血状態にあるといわれています。乳児の貧血割合も多くの国が4割以上となっているなど深刻な問題です。
今回の舞台は、そのような発展途上国に含まれるカンボジアです。カンボジアでも、人口の約半分にあたる600万人が鉄分不足であるといわれています。
鉄の魚
どうすれば発展途上国でも鉄分不足を解消できるのか。その解決策は意外とシンプルです。
日本の伝統工芸品である南部鉄器で沸かしたお湯には、鉄分が多く含まれていることをご存知でしょうか?このように、鉄製の調理器具を使うと調理のたびに少しずつ鉄分が溶け出すので、鉄分の補給可能です。
つまり、鉄分の最も簡単な補給方法は「鉄の塊を料理に入れること」です。カンボジアで南部鉄器の代わりに登場したのが、鉄の魚“Lucky Iron Fish”です。文字通り魚の形をした鉄の塊です。
なぜ魚の形か
鉄を入れるだけでいいなら、なぜ魚の形をしているのでしょうか?
魚の形にすることは、料理に入れる際のハードルを下げる意味合いがあります。カンボジアでは魚は幸運の象徴といわれています。
出典:http://world-topics.net/iron-fish-that-saves-poverty/
鉄の魚を料理に入れることで、栄養を補給でき、体調の改善につながる。幸せになれる。このようなストーリーを持たせました。これなら現地の人も理解がしやすくなり、調理に入れるハードルを下げることができます。
お湯を沸かす際に入れるだけで鉄の必要摂取量がとれる
お湯を沸かす際に10分間入れておくことで、1日の摂取量の75%をとることができるとされています。
手軽に鉄を摂取できることで、貧血になりやすい女性や子どもたちの鉄分不足の解消に役立っています。
鉄分不足を解消することで、学校を休む子どもが減り、仕事の生産性が上がるなどの社会的なインパクトも出てきています。
現地で雇用を作る
Lucky Iron Fishは、カンボジアの小さな職人たちが作っています。またパッケージにはカンボジア産の素材を使用しており、その組み立てなどに地雷の被害に遭った障害をもつ人々などを雇用しているようです。
鉄分不足という、見えないもの
鉄分不足や貧血は、マラリアや結核などと違って気づかれにくいものです。貧血や鉄分不足は、高熱が出たり、咳がひどくなったりという症状がないため、「なんだか調子が悪い」程度で済まされ、放置されます。
そしてちりも積もれば山となる結果、貧困問題や経済発展にも大きな影響を与えています。
鉄は各国で作られているので、他国で展開する場合にも、形を魚から現地のものにローカライズすることで対応が可能になるなど、汎用性も大きいといえます。これに現地の力を使って取り組むことで、雇用も生み出せるとなると、立派なソーシャルビジネスであるといえます。
ソーシャルビジネスを立ち上げ、社会に変革を起こしたい方へ
ボーダレスグループは、社会問題を解決するソーシャルビジネスしかやらない会社です。ホームレス問題や貧困、差別偏見、環境問題など、あなたが解決したい問題を解決する事業を、立ち上げてみませんか?
ボーダレス・ジャパンでは、ソーシャルビジネスで社会問題を解決し、社会変革を起こそうとする仲間を募集しています。
▶社会起業家としてソーシャルビジネスを立ち上げたい方→社会起業家募集
▶自分のプロフェッショナル領域を活かして社会問題に取り組みたい方→採用情報
▶ソーシャルビジネスで社会問題に取り組みたい新卒の方→新卒で新規事業立ち上げ