■インターン経験者
加藤 未希
1997年生まれ、学生時代は岐阜大学で畜産学について学び、農業系サークルで農作物を育てて販売、地域の農家さんとのコミュニティ作り等を行う。現在は、社会起業家として、エクアドル農村部チョンタドゥーロにて、貧困地域の母親に小さく事業を始められる機会を提供するマイクロフランチャイズ事業を立ち上げ中。
▶︎▶︎加藤 未希のプロフィール詳細

■インターン先
MAYSOL(マイソル)
グアテマラ・シェラの僻地に住む貧困家庭に対し、委託養鶏業を通じて貧困解決を目指しています。僻地に住み、教育を受けてない、働いた経験がない人でも始められる委託養鶏を通じて、貧困ループから抜け出すことのできる仕組み(マイクロフランチャイズ)の基盤を創る事業。子どもに教育を受け続けさせることを条件とし、働く意志のある両親に雇用機会を提供しています。
▶︎▶︎MAYSOLの事業概要

最速で社会起業家になりたい私がグアテマラの養鶏ベンチャーを選んだワケ

-MAYSOLのインターンシップに応募した理由を教えてください。

加藤: もともと大学時代は酪農家になろうと思って勉強していたのですが、たまたま大学にエクアドル出身の友人がいて、エクアドルの農村部に旅行に行ったのが最初のきっかけです。友人のおじいさんが農園を運営していて、そこで1週間ほど仕事をさせてもらい、農園で日雇いで働いている方々やその子どもたちが置かれている実情を知ることになりました。

生活に余裕がないため、子どもたちは、学校にも通い続けることが難しく、小さいころから仕事の手伝いをせざるを得ない環境で、大きくなってもこの生活からは抜け出すことは難しいんだろうなと思いました。そのような現実を知り、子どもたちが十分な教育を受けられる状態になり、日雇いで働く以外の選択肢もあることを知る機会を創りたい、一度きりの人生ならば子どもたちの未来のために、人生を使いたいと心に決めました。

そこから、エクアドルの教育問題を解決したいと決心し、持続可能な教育を届けている会社があるなら、そのノウハウを最速で吸収し、丸パクリするのが早いと思っていたところに出会ったのが、グアテマラの教育問題を解決することを目的としたボーダレス・ジャパンのグループ会社MAYSOLでした。
その時に、初めてソーシャルビジネスの存在を知り、まさに自分のやりたいことだなと思いました。そこで、本当に社会問題をビジネスで解決できるのかを確かめたいと思い、スペイン語も一切できませんでしたが、MAYSOLのインターンシップに応募しました。

グアテマラで養鶏の技術者!? 最速で社会起業家になるために選んだインターンの話
フランチャイズの農家さんたちと

スペイン語もビジネス経験もゼロ!なのに養鶏の生産管理のすべてを任された

-スペイン語力ゼロで飛び込み、実際にどんな業務を担当したのですか?

加藤: MAYSOLでは10ヶ月インターンさせていただいたのですが、普通ならスペイン語力ゼロ、ビジネス経験ゼロの学生なんかに任せないような業務を一通り任せていただきました。
MAYSOLの事業は、グアテマラの貧困家庭に対して、委託養鶏を通じて定期的に卵を買い取り、市場で販売するというものです。
私の場合は、農村部にいる現場マネージャー直属の部下として配属され、養鶏の技術者として、卵の生産管理、品質管理、倉庫の在庫管理、オペレーション改善など、生産部門の大半の業務を担当しました。

もともと最初の2ヶ月間は、スペイン語の勉強に集中するはずだったのですが、現地に到着して1週間ぐらいで、仕事の人手が足りないので早速現場に入って欲しいと言われ、すぐ業務に携わることになりました。最初のうちは、みんなの会話が歌にしか聞こえない状態でした笑。
それに、良い意味で、細かい業務の指示はありませんでした。最初に言われたのは、「MAYSOL自体、全員素人で養鶏ビジネスを始めているので、何が正解かは誰もわからない。だから自分でまずは考えてね」と。
まずは、産卵率のデータを分析するところから始めて、何が課題なのかから自分で考えました。ニワトリの飼料の改善を提案したり、ひよこをどうやって育てるのかの計画を立てたり、ひよこが病気になったときは、衛生面を管理するために長靴を履き替えるように改善したり、生産に関わることは何でもやりました。資金が必要なことは上司に相談しましたが、それ以外は基本的に生産管理の全てを任せてもらっていました。

-かなりハードな環境だったと思いますが、悩んだりすることはなかったのですか?

加藤: 学生によっては、具体的な指示がない環境に戸惑い、大変だと感じる方もいたと思いますが、私は自分が社長だと思って、日々の業務を行っていました。このインターンシップで、養鶏ビジネスの全てを学び、自分が社長だったらどうやって乗り越えるのかという意気込みでやっていたので、全く苦しいと思うことはありませんでした。むしろ、学生の私にこれだけのことを任せてもらえるという、最速で成長するには絶好のチャンスだと思っていました。

グアテマラで養鶏の技術者!? 最速で社会起業家になるために選んだインターンの話
メンバーと現場の確認

事業成功のコツ。それは日々の実践の中にあった

-実際にこのインターンを通じて、どんな気づきや学びがありましたか?
加藤: 養鶏ビジネスをする上で、何が事業の成功のコツで、何をすると失敗するのかを実際にやりながら、学べたことが大きかったですね。養鶏ビジネスをゼロから立ち上げ、どうやって軌道に乗せていくのか、そういったノウハウを丸っと学べました。
また、MAYSOLの事業と通じて、実際に働いている農家さんたちの収入が増え、子どもたちが安定して学校に通うことができるようになったり、お母さんたちの教育に対する考え方が変わってきたりと、彼らの考えや生活に影響を与えているということを目の当たりにして、ソーシャルビジネスは本当に問題を解決することができるんだと実感できたことは、私にとって重要な出来事でした。

もちろん働いている親たちも、子どもたちの教育は大事だということは分かっているのですが、日々収入がないとやはり目の前の生活をやりくりする方を優先してしまい、学校に行かせることよりも、収入のために子どもたちが働かざるを得ない状況になるんですね。でも、収入が安定したことで、教育にお金を回そうと思える親が増えてきました。

あと、ベンチャーならではのスピード感がすごかったですね。日々いろんなトラブルが発生するのですが、どんどん判断し、事業を進めていく。毎日何かしらのオペレーション改善が実施されるなど、そういう局面を日々体感できたことも大きかったですね。

さらに、現地メンバーをどうマネジメントしていくのかという点も、とても勉強になりました。グアテマラ人って、日本人と違って、倉庫の在庫管理ちゃんとしてねと言っても、「まー、こんな感じでいいやん」って適当なんです笑。
なので日本人に言うように言っても全く響かない。必要なことは厳しくはっきり伝えることが重要。かと言って言いすぎると、モチベーションが下がってしまうので、厳しく言う時は言う、雰囲気を良くする時は和ませるなど、メリハリをつけることが重要だということを代表のトニーさんから学びました。

グアテマラで養鶏の技術者!? 最速で社会起業家になるために選んだインターンの話
MAYSOL販売及び飼料生産部門メンバーと

「面白いくらいうまくいかない」それでも頑張れるのはこのインターンのおかげ

-インターンシップに参加する前と後で、ご自身はどのように変わりましたか?
加藤: 実際に10ヶ月ソーシャルビジネスの現場で様々な経験を通して、自分もエクアドルの教育問題を解決するために、ソーシャルビジネスを本気でやるんだと覚悟を決められたことだと思います。
先ほども言いましたが、MAYSOLの事業を通して、お母さんたちや子どもたちの変化を間近で実感できたことが一番の理由で、ソーシャルビジネスを成功させることがどれだけ大変だったとしても、着実にソーシャルインパクトを与えることができるんということが見えたことで、何が何でも私は社会起業家になるんだと思えました。

ちなみに、今実際にエクアドルで貧困地域の母親に対して、マイクロフランチャイズ事業を始めようとしているのですが、面白いくらい毎日うまくいかないことばかりなんです。でも、MYSOLでの経験があったからこそ、そんな簡単にはうまくいかないという免疫がついて、心折れずに日々頑張ることができています。

-最後に、これから社会問題を解決したいと思っている学生の方々にメッセージをお願いします。
加藤: ソーシャルビジネスの現場に行こうか迷っていて、行かないことで1%でも後悔するかもしれないと思うなら、絶対挑戦した方が良いと思います。
少しでも行動すれば、新しい発見や自分が本当に何をしたいかのヒントが見つかるはずです。
また、私は大学4年生の時に休学して、10ヶ月間インターンシップを行いましたが、正直1年くらい休学したとしても、大きなリスクはありません。学生だからこそ、多くの時間を使って、色々な経験ができると思うので、ぜひ有効活用してみると良いんじゃないかなと思います。

 

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