
日本で「難民」と呼ばれる人に出会ったことはありますか?
日本に逃れて暮らす難民は、約2万人。難民問題は海の向こう側だけで起こっている出来事ではなく、日本で暮らす私たちにも関係があります。
難民とは誰のこと?
そもそも難民とは、どういう人たちのことを指すのでしょうか。
難民とは、自分の命を守るために、やむを得ず、母国を離れ、他の国に逃げざるをえないひとたちのこと。
一口に難民といっても、1人ひとりの迫害の背景にあるのは、政治的思想や宗教観、人種・国籍の違い、経済的困窮など実に様々なケースがあります。
なぜ難民は日本に来るのか
生まれ育った国を離れざるをえなかった人たちは、何故、日本に来るのでしょうか。
日本は安全そうだから?日本は平和そうだから?
実は、理由はそれだけではありません。難民として国を追われている彼らには逃れる国を選ぶ余裕がなく、たどり着いたらたまたま日本だったという人もいれば、日本ならとりあえずの観光ビザを取得しさえすれば入国しやすいからという人もいます。
日本に来るとどうなるのか
日本に逃れてきた人は生活を営むため、膨大な量の資料と共に難民申請を出します。審査の結果、難民認定・在留特別許可または、もといた国への強制送還のいずれかになります。
©Yahoo!ニュース「埼玉で暮らす在日クルド人 「ワラビスタン」のいま」
難民として認められた場合
申請が通れば国民年金、児童扶養手当、福祉手当などの受給が認められ、日本国民と同じ待遇を受けることが可能です。ところが、申請が受理されることはほとんどありません。例えば2016年度は難民認定申請者数が10,901人と過去最多になったのに対して、認定されたのは28人でした。
難民認定の申請から6ヶ月が経つと特定活動許可が下りる
申請をしてもすぐに結果が出るわけではなく、結論が出るまでに数年を要することがあります。そのため、難民認定の申請から6ヶ月が経つと日本で働くこと自体は可能になります。ただ、長期雇用・安定した収入を望むことは難しく、収入が不安定な仕事が中心です。
日本の難民の人々は、この特定活動許可は下りているケースが最も多いです。
「仮放免」になることも
ビザを持たずに日本に入国した場合、もしくは申請開始を待たずにビザが切れてしまった場合、不法滞在となり収容所に入れられてしまいます。
この場合、仮放免の請求をして認められれば、一時的に収容所を出て生活することができます。しかしながら就労はできず、生きるために、SNSを通じて知人に紹介された日雇いの仕事をこなしてどうにか生計を立てている人もいます。
難民と日本人の共生を目指す団体WELgeeが開く「WELgeeサロン」は、難民問題に関心をもった日本の人たちが、まず出会う場・そして当事者から学ぶ場を設ける月1の交流勉強会です。
1月15日(日)には、日本で10年以上仮放免のまま難民認定を待っている3人のクルド人がゲスト参加し、日本に住む20人と交流しました。
クルド人は「国を持たない最大の民族」と呼ばれ、およそ3,000万人がトルコ、シリア、イラク、イランなどで暮らしています。どの国でも少数派のため、政治状況によって人種差別にあい迫害されることも多く、もといた国を離れる人も多いのです。
ゲストの3人―Mさん、Yさん、Gさんは、難民として日本に逃れてきたクルド人が多く住む埼玉県蕨市で、10年以上を過ごしてきました。
最低限の生活さえままならない
彼らの切実な問題の1つは、経済的な苦しさです。
仮放免で難民申請中の人は国民保険に入れないため、病院で治療を受けるのに高額の費用を自己負担しなければなりません。怪我や病気が辛くても、病院に行かずに我慢する人は多いそうです。出産にかかる費用などのため、借金をせざるをえない人もいます。
何より、就労を制限されることが生活をより厳しいものにしています。
以前は「普通の人」と同じように家庭があり、スキルを持って働いていた人。日本に10年以上住み、言葉や文化を理解している人。
難民でなければ日本でも普通に暮らせるはずなのに、彼らは難民であるがゆえに、就労を制限されてしまうのです。仮放免の状態では、最低限の生活に必要な収入が得られる職業につくこともままなりません。
「まるで人間として扱われていない」
WELgeeサロンで3人が語った言葉の中で共通していたのは、「人として扱ってほしい」ということでした。
例えばMさんは1度、3ヶ月ほど入国管理センターに収容されました。その間に病気にかかり医師の診療を受けたものの、その医師は体に触れもせず、顔色を少し観察しただけで薬を処方したそうです。
センターに収容されると、週に1度の面会以外に家族とコミュニケーションを取る機会がありません。さらに、同じ部屋に犯罪歴がある外国人や、不法滞在で収容された外国人がいることもあるそうです。6畳ほどの部屋に、見ず知らずの人と住む。しかも、いつ出られるか分からず、面会以外に収容所の外の世界に触れる機会もありません。
「まるで人間扱いされていない」という彼らの言葉は、いま日本で暮らす多くの難民の気持ちを代弁しているようでした。
日本の難民に雇用を創出する新事業、はじまる。
こういった日本の難民の人々の状況を変えるため、ボーダレスグループでは、新卒入社5年目の青山による小型家電リサイクル事業が始まりました。
この事業は、難民の人々が安定した所得・日本語能力・日本人との繋がりを得て、「経済的貧困」と「社会的孤立」を解消することを目的としています。
対象となるのは、就労許可はあるものの苦しい生活を強いられている難民申請中の人々。
彼らは就労そのものはできても、日本語がハードルとなって就ける職が限られ、日雇いの仕事も多いため収入が安定しません。給与の高い劣悪な労働環境の仕事か、労働条件は良くても最低賃金またはそれを下回る給与の仕事の2択を迫られます。
また、単純作業が多いため職場での交流は限られ、日本語の習得機会もほとんどなく、経済的な不安と孤独感を抱えています。
この新規事業では、難民の人々はフルタイムで働きながら小型家電のリサイクルを行います。日本語が話せなくても安定した収入、日本語の学習機会、日本人・地域の人と交流する機会も得られる仕組みを設計しました。
近い将来、事業収益をもとに収容生活者・仮放免者の支援も行うとともに、この事業を通じて「難民でも”場"さえ整っていれば日本社会に貢献し馴染むことができる」ということを証明し、収容生活者・仮放免者の待遇改善にも繋げていきたいと考えています。
この新規事業については、近日中に事業紹介ページをオープン予定ですので、ぜひご覧ください。
【社長・青山のブログを読む】
※この新規事業では、皆様がお持ちの不要な小型家電が難民の雇用に繋がります。
企業法人様、学校法人様、学生団体の方で不要なパソコン、携帯電話、ゲーム機などございましたら、下記連絡先まで是非お問い合わせくださいませ。
■ 難民に雇用を創る小型家電リサイクル事業■
小型家電回収お問い合わせ先
aoyama[a]borderless-japan.com / 青山宛
※[a]を@に変更してお送りください。
難民と日本人の共生を目指す団体WELgee
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※この記事は、2017年1月21日の記事「日本にもある難民問題。2万人の難民が安心して生活できる社会へ」を修正・加筆したものです。