創業10年、ボーダレス・ジャパンを年商30億円の企業にまで成長させた創業者2名(社長・田口副社長・鈴木)が、本当に社会を変えるビジネスをつくるためにいま必要なことというテーマで話しました。

内容は、2016年月12月18日(日)、ボーダレス・ジャパンの社会起業家たち9名が登壇した、SEED BUSINESS FORUMのプログラム2、「創業者セッション 本当に社会を変えるビジネスをつくるために、いま必要なこと」からです。

↓以下、全文書き起こし

なぜ起業しようと思ったのか?

石川:今回のテーマは、「本当に社会を変えるビジネスをつくるために、いま必要なこと」というテーマで、創業者の二人に話してもらいます。私、司会を努めます石川と申します。

まず、はじめの質問なんですけれども、なぜ起業しようと思ったのか教えてください。

田口:高校生くらいまでは何も考えてなかったんです。で、大学入って、何かしようかな〜って思ったんですけど、まあ意味のあるというか、好きなことやりたいな、くらいのつもりで。

初めてアフリカの飢餓状態にある子どもの映像をみたときに、先輩たちが何百年もこの貧困っていう問題に取り組んできたのに、まだこの状況にあるのかって。何も知らなかったのでシンプルに、「あ、これのために自分の人生をかけるんだったら、意味のある人生になりそうだな。悪くないな。」っていう風に思ったのが大学一年の終わりですね。

それでいろんなNGOに行ったりとか、いろんな人に話を聞きに行く中で、「田口くん、本当に現地の人のためになりたいんだったら、もっとダイナミックに、かつ継続的にやらないとダメだよ」ってそのNGOのおじさんに言われたんです。

あ、NGOがダメってことじゃないですよ。その人が言ったことは、「波打ち際で砂山をつくって、また波が来たら流されて、またつくったら流されて、っていう繰り返しだから、すごくいいことを自分たちの気持ちのままやっているんだけど、なかなか山が出来上がらない。もし本当に自分のやりたいことがあるなら、自分でお金の方からコントロールできるように、ならないといけないね」っていうことだったんです。

あ、そうかお金か。じゃあビジネスやね〜ってことで、自分でそういうビジネスをやって、お金を送りたいなっていう風に思いましたね。

最初は大企業に入ることを考えていました。その頃僕は「SONYの社長になる」って周りに言い始めて。で、SONYの社長になったら何兆円か稼げるんで、その1%を寄付できたらいいな、それだと何百億円か毎年寄付できるな、それいいなあ」と思ったんです。

でも世の中の企業はそういう風にはならないらしくて、株主がいるので、そういうことを言っても無理だってことを友達が教えてくれて。じゃあ、そういう会社を自分で作るしかないなって思って、それで大学を1年休学してビジネス留学しました。

帰ってきてからは、大学4年のときにいろんなベンチャーキャピタルを回って、お金を集めて、会社を立ち上げようとしたんですけど、自分の力不足を感じました。

「お金出す」って言ってくれたところもあったんですけど、このままやってもなんか小さく終わるなって感じがありました。それで一旦就職して、2年間修行させてもらってから自分で会社を立ち上げました。それが25歳のときで、一緒に立ち上げたのが今ここにいる鈴木です。

石川:ありがとうございます。鈴木さんはどうですか?

鈴木:僕は起業をしようと思って社会人になりました

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ちょっと先にここで質問をしたいんですけど、社会人の方は手をあげてください。(参加者の半数が挙手) 学生の皆さん、この数をよ〜く見ておいてくださいね。それでは、いま手を挙げている社会人の皆さんに聞きます。毎日めちゃめちゃワクワクして、「今日もやってやるで〜!」と思って会社に行ってる人はそのまま手を残してください。(半数以上手が下がる)

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はい、こういうことなんです。僕が問題視したのはここだったんですね。学生のときに、アルバイトをみなさんやると思うんですけども。僕は塾の先生をやっていました。

塾の先生をやると、子どもの人生をある意味預かるわけですけれども。そこに対して頑張って準備をして、子どもたちのことを一人一人真剣に見ながら、そして彼らの成績や人生のことを考えて話をする、そういう先生っていなかったんですよ。

まあ僕はこういう性格なんで、一人一人なんとかせんといかん!って一生懸命やるわけですよ。でも周りの人らはアルバイトの人も社員の人も、とりあえず金儲けっていう感じだったんですね。そういう人たちをみて、なんでやねん!って、すごく思った

今日は日曜日なんで、電車に乗るとわくわくしてる顔が多かったと思うんですけれども、まあ平日の朝一の満員電車に乗ると、「うえ〜〜〜!」ていう顔をしているおじちゃんおばちゃんがいますよね。

僕たちは働くことでお金を稼いで、それで生活をしなきゃいけない、これが今の経済的な循環の一つになってしまった。その中で、そのお金を稼ぐことだけに、ただただ嫌な思いをしながらやるって最悪だよね、と。もっとやる気をもって、もっと楽しみながら、もっとチャレンジングに、そういう仕事を見つけれないのか?と僕は大学3年生のときに思いました。

それで、塾で本部長とか社員のおじさんとかとバトったりして組織改革をしようとしたんですけれども、それができなかったんですね。それは完全なる僕の力不足、稚拙さだったっていう風にすごく反省しました。

それでもなんとかしたい、と思って学生のときに自ら起業、経営をしました。でも、そのときは拡大させることができなかったんです。結局は、その後事業をやるにあたっての自分の力量そのものだったり、人に対して自分が理想形を追いかけるという状態を作れなくて、こりゃいかんと思ったわけです。

なんとかして働くひと、その人たちが楽しく、本当に意義を感じながら働ける会社・組織を創りたい。それにもかかわらず、自分には力がない。ってことに気づきました。

それでその辺の力をつけたくて、僕もミスミという会社に入りました。僕は2年半いましたね。その間に、新規事業を配属2日目からやらせてもらったり、いろんなチャンスをもらって、そのチャンスを活用しながら力をつけていきました。そもそも同期の田口とは入社前から一緒にやるっていう風に決めていたので、そんなわけでボーダレスを起業し、今に至ります。

石川:ありがとうございます。初めは商社を選んだってことだったんですけれども、鈴木さんはなぜ商社を選んだのでしょうか?

鈴木:えーとね。商社でもなんでもよかったんですよ。シンプルに僕がやりたかったのは、経営者としての力をつけることだったんですよね。経営者の力をつける、自分でビジネスをつくる力をつけるってことにおいては、どんな会社でもよかったんです。

たまたまミスミって会社は、経営者になりたいやつ集まれということを言ってたんですよね。この会社だったら自分の力量をつけることができそうだと思って、ミスミを選びました。

あともう一個ミスミでよかったってことは、あ、ここミスミの宣伝じゃないですよ!(笑) ぼくが入った事業の部長や直属の上司の人たちに、僕のやりたいことを話していたときに、「じゃ、新しいことやっちまえ」ってことで、新しい事業を立ち上げるっていう経験をすぐにさせてもらえたんですね。それが事業開発そのものだったんです。

だから、あくまで事業をつくる、経営をする力をつけたいと思って選んだ会社がたまたまミスミであり、それがたまたま商社だったっていう。シンプルにこういう結果論ですね。

社会問題を解決するビジネスをつくるために必要なこと

石川:なるほど。それでは、社長に聞きます。社会問題を解決するビジネスをつくるためには何が必要だと思いますか?

田口:さっき、BORDERLESS FARMの田崎が言ってたんだけど、志だけだと思うんですよね。僕も以前から、いろんなベンチャーキャピタルで事業立ち上げをやってる人たちから「こんな事業考えてるんだけどどうかな?」ってよく相談されてたんですよ。

でもやっぱり、どの話を聞いても、絶対うまくいかないなっていう風に思ってたんです

やっぱり普通はマーケットをみて、「こういうマーケットがあって、差別化はここだ!」とかって、すごくつまらない話をするんです。なんのためにそれやるのかな?じゃ、あなたはそれ、いつまでやるんですか?誰がこの事業の経営者としてこの事業をやって、どこまでやったらこの事業は成功なのか?っていうのが、彼らにはやっぱりないんですよね。

一方、僕らは決してプロの集団ではない。だけど、みんな事業社長として、一定のソーシャルインパクトを出しているし、これからすごい勢いで伸びていくと思います。で、それをやっていく途上にあっても、やっぱり志が一番違うと思うんですね。

あとはそれをとりまく環境の問題だと思うんですね。やっぱり事業戦略をしっかりやってきた人間が、その志ある人の横について、その人が失敗しないように助けてあげればいいと思う。マーケティンングのスペシャリスト、いろんなスペシャリストがいるので、そういった人たちが事業家の横についてサポートしてあげればいいと思う。それだけあれば、僕はいけると思うんです。

ただ、その中心にいるのは、こういう社会問題を解決したい、ここまでやりたいっていう志を持った人間です。そういう人が中心に立てば、あとはみんなそこをサポートしていってやればいいんじゃないかなって思いますね。

ソーシャルビジネスの難しさ・醍醐味とは?

石川:オープニングではソーシャルビジネスと一般のビジネスの違いについて話していましたが、ソーシャルビジネスならではの難しさはどこにあると思いますか?

田口:普通ビジネスって成長マーケットに入っていくってのが大鉄則なんですよね。やっぱり業界が沈んでると苦しいんですよね。業界が伸びているときそこに入ればいいんです。例えば一時期のモバイルのゲームなんかそうですよね。業界自体がすごい伸びてる場合って、プレイヤーがいくら参入しても取り分が余るんですよ。

パイがどんどんでかくなっていくから。それが基本的なビジネスの入り方だと思うんですね。つまり、マーケットがあるっていう。

僕らの場合は、ソーシャルビジネスをやる場合、マーケットがない場合がすごく多い。実際にはマーケットが伸びてるかどうかでビジネスが決まるのではなくて、この人が困っているとか、この事象があるところでビジネスを起こしたいっていう場合ばかりです。

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ミャンマーの話でいったら、リンレイ村に出会ったことが僕らのビジネスのはじまりだったんですよね。で、ここの人たちが作っているのはタバコの葉っぱだけ。代々それを作ってるんで、他の作物の作り方を全く知らない。でも農薬被害はすごい。

それじゃあ農薬使わないものをやらないといけない。でも、水は豊富ではない。それじゃあ、水がそんなに必要でない作物を探さないといけない。ハーブしかない。そういう経緯でハーブが無理やり出てきたんですよね。で、次にこのハーブをどうやって売ったらいんだろうって考える。

これって成長マーケットでも何でもないし、「このハーブをどうやって売るの?」なんて、こんなことやる人いないじゃないですか。だから、結果として僕らは新しいマーケットを探すしかなくて、つくるしかなくて、そこに新しい切り口が生まれる。

結果、こういう事業がビジネスの側面から見ても、「マーケティング的な切り口が面白いね」と言われるようになりました。

でも、実は致し方なしにいつもそこを見つけていて、高付加価値な何かを持ってこないとってやってるんですよね。バックエンドに僕らはディスアドバンテージを抱えてるんでね。

そういう農家さんたちって、やっぱり農業技術も持ってないし、水もない。そして工場だって自分たちで作らないといけない。もちろん工場経営をやったことがある人もいない。その投資たるやすごいんですけど。

で、これって僕らも分からないんですよ。やったことがないものばかりの中で、必要だから自分たちでキャッチアップしながらやっているのが実態なんです。そこが普通のビジネスとはちょっと違う難しさだし、醍醐味かなって思いますね。

石川:鈴木さんは、ボーダレスの新卒採用に関わっていると思うんですけれども、その中でソーシャルビジネスに携わる人たちと、普通のビジネスに携わる人たちの違いていうのは感じたことありますか?

鈴木:今田口が話したところとほぼ、いや完全に同じと言ってしまっていいと思います。結局ですね、採用をやる中でずっと重視してきたものは何かっていうと、シンプルです。

「解決するんです、絶対に解決したいんだ!」ていう志、言い換えれば強い意志なんですよ。それを決めきって「なんとか全うしてやる」という思いをもっているということ。

それを全うするために、その手段はあらゆるモノのなかで一番早く、そして一番インパクト出せるもの選んでやるって思って、自らをドライブして走ってきた人。こういう人たちを僕は追いかけ続けて、採用というところでそういう人を集めてきた、というより集まってきた、巡り会ってきたっていう風に僕は思いますね。
 


2人のトークセッションの続きはこちら→起業から10年、創業者2人が語る「ソーシャルビジネスに本当に必要なこと」とは?(後編)
 

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