就職、進学、独立―。数ある進路の中から社会起業家への道を選んだ人が、毎年ボーダレス・ジャパンに集う。2018年4月に新卒で入社予定のメンバーに、この道を選んだ理由を聞いた。

8人目は、石崎 楓さん。カレーとスパイスに埋め尽くされた学生生活を送ってきた彼女は、何がきっかけで社会問題に関心を持ち、どんな経験を経てこれから何をしたいと考えているのだろうか。
(聞き手 / ボーダレス・ジャパン 新卒採用担当:石川)

「地域資源を活かして稼ぐ農業」で子どもがわくわくする未来を

―最初に、石崎さんがやりたいことについて教えてください。

石崎:「地域資源を活かしながら稼げる農業」のモデルをつくることで都市と農村の格差を正して、子どもたちがわくわくする農村の未来を作りたいです。

例えばインドのダージリン丘陵地域は、カルダモンというスパイスの栽培で生態系が壊れてしまい、農村の経済も衰退しています。住民に自主的な自然資源の管理を促したり、土地に合った商品作物の栽培を促したりすることで、農家の自立をサポートしたいと思っています。

―やりたいことが明確になっている石崎さんですが、学生のときはどんなことをしていたんですか?

石崎:やりたいことをやりたいようにやってきました。(笑)

出身は富山県で、町中の人が知り合いのような田舎町で育ちました。何かと人に合わせて生きていた一方で、祖父がくれた「しゃべる地球儀」で遊びながら世界195か国(当時)の国名と場所をすべて覚えたり、知らない世界を旅できる読書が大好きで年に300冊くらいの本を読んだりしていました。

ある時、中村 安希さんの世界一周ノンフィクション「インパラの朝」を読んで、自分の周りとは異なる生活空間が同じ地球上にあることに衝撃を受けました。そして、大阪でインドカレーに出会ってからは、パキスタンカレーの聖地・富山で中古車業者のパキスタン人がひしめく店内で同じカレーを食べながら、異なる生活空間をリアルに体験しました。スパイスからカレーを作るうちに、これを毎日食べているインドの人々は何を考えているのだろうと思い、インド哲学を学びたくて京大文学部に入学しました。

スパイスとカレーに導かれ、海外と日本の農村へ

―大学に入ってからは、何をしてきたんですか?

石崎:最初に、インドネシアの日系工場が立ち並ぶ地域の、日本で3年間働く技能実習生の送り出し機関で日本語教師ボランティアを経験しました。

実際に組み立てや溶接、縫製の工場で働く人々と深く関わる中で、グローバル化は、自分の暮らしを支えている世界中の人と経済活動を通じて繋がることなんだと感じました。そして、現状では「どこの誰がどういう状況で作った商品なのか」を見ることはほとんどできず、それによって様々な問題が起きていることも知りました。

そこで「相手の顔が見える経済」を学びたいと思って、フェアトレードの会社でインターンをしました。その事業地のインドネシア、カンボジア、山口の農村では農業を体験し、自分がいつもカレーにしていた食材が、畑で育った命であることを実感しました。

また、それぞれの場所で「この村をこうしたい!」と前向きに夢を語る子どもたちにたくさん出会い、自分が生まれ育った土地の農の営みを学びたいと思いました。そこで、富山の有畜循環型里山農場で田植えから稲刈りまでを研修生として経験してみたんです。

―「地域資源を活かしながら稼げる農業」に関心を持ったのは、何がきっかけだったんですか?

石崎:京大カレー部という団体があるのですが、そこで代表を務めていた時に見聞きした物事に大きな影響を受けています。

―名前からして珍しそうな団体ですね!

石崎:そうかもしれません。(笑)

この団体では、農場で採れた規格外野菜や廃鶏の肉を使ったスパイスカレーを大学近くのカフェで販売したり、メンバーで様々な中山間地域を訪れては、旬のものを活かしたスパイスカレーをその土地のお祭りで販売したりしていました。

訪れたどの村も少子高齢化が進み、若者が稼ぐ場所ではなく、高齢者が余生を過ごす場所になってしまっていました。荒れた山や田畑の背景には、高度経済成長期に自然資源の管理を失敗したことと、社会的・経済的に地位が低い立場にある第一次産業従事者の姿がありました。

そんな中で、普段の活動で使っているスパイスも農作物だと気づいて、それらがどのような自然とひとの関係のもと育まれ、世界に流通しているのかを見たいと思ったんですよね。

研究者ではなく、目の前の光景を変えられる事業家になる

富山での研修が終了した後は、インドの農村開発NGOの元に滞在しました。日本の山と同じくインドの山でも、村の人々はその土地の自然を活かして農作物を育てて生活の糧を得ていました。

一方、商品作物の栽培方法やモノカルチャー化の影響で、村は様々な課題を抱えていました。生態系が弱ったことで収穫量が減って農業で食べていけなくなったり、市場価格の暴落で自殺率が急上昇したり。そういった影響を一番受けるのはいつも、土地なしの農民や零細な農民でした。

これらを資本主義というシステムや行政の問題などと言ってしまうことは簡単ですが、これは、いち消費者である私自身の問題でもあると思っています。いち消費者として、豊かな森林資源と労働力を搾取しながら生産されたスパイスを使ってカレーを作るのは嫌なんです。インドの農家さんたちが、自分たちの村の自然資源を管理しながらちゃんと農業で生計を立てていて、その商品を世界中の人が使っている。そんな、光景を事業で生み出していきたいと思っています。

―ボーダレス・ジャパンはどうやって知ったんですか?

石崎:オルタナSに掲載されていた田崎さんのインタビュー記事で知りました。インド滞在中にインターンをしていたNGOは、BORDERLESS FARMの田崎さんが大学時代に有機農業を学んでいた場所で。自分と近い関心を持つ人が働いている場所ということで、興味を持ったんです。

「社会起業家」という言葉にはピンときませんでしたが、自分がやりたいことを追求できる場所のような気がしました。

―なぜ、ボーダレスで事業を創りたいと思ったんですか?

石崎:もともとは研究者になりたいと思っていて、研究のアプローチや調査の方法をいろいろ調べたり、学会に参加したりしていました。

でも、研究は目の前の不合理を書きとめて残して世界的な議題に上げることはできても、ほとんどの人が読まないし、実際に目の前の困っている人たちを良い方に変えていくことはできないと感じました。

その点、ビジネスは現状をスピーディーに変えることができます。実際に事業をつくり、この光景を変えていく人になるためにはボーダレスが一番速いと考えて、入社を決めました。

―これからどんなことをしていきたいですか?

石崎:今年8月~11月にかけて、卒論調査とNGOでのインターンでインド・ダージリンに滞在する予定です。その研究結果を、地域に必要なソーシャルビジネスを考えて実行するための具体的な一歩としたいです。入社後は、ボーダレスの各事業でPDCAを回しながら、自分のマネジメントとオペレーションの実力を上げて、その地域の社会問題を本当に解決できる事業を実現できる人間になります

―ありがとうございました。来年4月、楽しみに待っています!

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