前回のブログでは社会の意識を変えるためにまず必要なものとして"分かりやすい仕組み"について書いた。しかし、仕組みだけでは人の心は動かせない。一人一人の意識を変えるのはそんなに簡単なもんじゃない。だからこそ必要なものがある。

成功の扉は重く、簡単には開かない

ビジネスでもスポーツでもそうだが「成功の扉は重い」だから多くの人が途中で諦めてしまい、「これじゃなかった」「やり方が間違えていた」と言って別の扉を探し始める。もしかしたら、最後まで諦めずに押し切っていれば、もう少しで開いていたかもしれないのに。

こういったケースは本当に多い。若者側は「この仕事やっぱオレには向いてないわ」とすぐに言い、企業側も「最近の若い奴らは忍耐力が足りない」という話になる。これではいつまで経ってもミスマッチの問題はなくならないどころか、若者は働く意欲をなくし、人手不足で人材が欲しい企業はますます採用が難しくなっていく。

だからこそ、我々は就活パートナーという仕組みを設けている。就活パートナーの役割は、若者の就活に寄り添い伴走し就職を成功に導くことだが、その中でも一番の仕事が「自分の課題と向き合わせ、自己成長のためのチャレンジをサポートする」ことだ。

ハンバーグレストランで正社員を目指し、ステップ就職を利用しているの22歳の男性がいる。彼は独特のコミュニケーションの取り方が影響し、勤務開始から1ヵ月で職場で浮いてしまっていた。2週間に一度就活パートナーと面談を行い進めていたのだが、初めの2ヶ月は彼の本音に迫ることができず状況はあまり好転しなかった。

そこで我々は企業側の責任者を訪問し、今後の彼への対応について話し合った。熱意が伝わったのか、企業側は現場スタッフが感じている彼への不満や改善点をヒアリングしてくれた。

その時の現場からの声がこちら


1、グループLINEではダメな所とかあったら注意して欲しいと言っていましたが、間違っていたり、こうすればもっとうまく仕事が出来ますよって簡単に伝えてあげているのに伝えた際の反応が良くない。

2、ホールに出た時にやっぱりまだ動きが一人浮いてる。みんなと一緒に働こうって感じではなく、一人でただ言われたことだけやってるって感じになっている。

3、ウォッシャーやキッチンに入りたがってホールの状況を見なさすぎ。もう少しホールを気にして見て下さい!って言ったけどあまり見てくれない。

4、力があるアピールかわからないが、物を無理して多く持ったりしている姿が非常に危なっかしい。注意しても改善されない。

5、「やることが多い!忙しい!」とバタバタ動いているが、誰かにお願いしたり、全部自分でやる必要ないんじゃない?と思うけど改善されなそうだから言いづらい。

6、辛かったり大変だと、顔に出て、イライラが表に出てくる。周りの子たちは自分にイライラされてるのか不安になってる。

7、社員とアルバイトスタッフとの接し方が違う。バイトには馴れ馴れしくなる。

8、会話ができない。キャッチボールになっていない。唐突に話題を振られて、返してもそこから会話が続かない。


これを受けて、企業側は彼と面談を行ってくれた。面談の中ではこの内容を上手く言い方を変えて彼に伝えてくれたらしい。だが我々は違う。出来るだけストレートにこの現場スタッフからの声を伝えた。

例えば、上記3の声に対しての彼の言い分はこうだ。

正直ホールの業務に苦手意識があった。特に"全体を見て動く"のが苦手で、周りに迷惑をかけてしまう点があった。そのため、自分は自分にできる役割(ウォッシャーなどの裏方)をやることが、みんなのためになると思いやっていた。ウォッシャーは手が荒れるなどの理由でやりたがらない女性スタッフもいたので、良いことをしていると思っていた。

これに対して彼に伝えたことは、

それは「自分の苦手なことから逃げているだけ!」食器が溜まってくるとウォッシャーから離れられないのも分かるが、まず最優先すべきはお客様のはず。優先順位を考えられるようにならないと社員への道は厳しい。本来は自分が率先してホールに立つべき。裏方に回った場合でも合間合間でホールの状況を見たり、スタッフに「大丈夫?」と声をかけたりという気遣いが必要。

もちろん一方的に彼を責めた訳ではないし、厳しく言って耐えられる性格なのか?は相当慎重に見ている。その上で「彼の将来を真剣に考えてここは厳しく言うべき」と判断したことは、ちゃんと伝えることにしている。

諦めずに、繰り返し伝える

面談では仕事の面だけでなく、本人の生活面や価値観というところにまで話が及ぶこともある。正直ここまで踏み込んでいいのか?と考える時もあるが、それでも我々は「本人のためになる」と信じて全力で伝えるようにしている。そうやって真剣に向き合っているとちゃんと伝わるものだ。面談の後半で彼はこんなことを打ち明けてくれた。

これまでの自分は、自分を否定する環境から逃げてきた。だけど、今回は逃げたくない。もう今までと同じことは繰り返したくない。

経験した方は分かると思うが、これまでの自分を自己否定する作業はなかなかつらいものがある。彼もショックだったのだろう。そして悔しかったのだろう。途中涙を堪えながらも私の話を聞いていた。

彼は戦っているのだ。過去の自分と、これまでの嫌なことから逃げてきた自分と。

普通に考えると、会社によっては彼はもう首になっているかもしれない。だが、この面談のことを企業側に伝えると責任者の方はこんなメールを返してくれた。


詳細の御共有誠にありがとうございます。
ここまでしっかりと見ていただけている〇〇くんは幸せですね。
面談のご様子からも〇〇くんが前向きに頑張りたいと思っている様子が非常に良く伝わってきます。
先日私と研修の際に話をした時には、自分の社会性がまだ足りないところは、無知から来ていることも多いため、
学ぶことで改善や成長につなげていきたいと言っていました。
私としてもまだ〇〇くんに伝えられることはありますので出来る限りのことをしたいと思います。


「人の心はそう簡単には動かせない」そして「成功の扉は重く、そう簡単には開かない」そのため多くの人が途中で諦めてしまう。これは企業の人材育成でも同じだと思う。諦めずにもう少し関わり続けていれば、大きく成長していたかもしれないのに。  

だからこそ我々も、本人と企業と粘り強く真剣に向き合っていくことが重要なのだ。こういう小さいことの積み重ねが、人々の意識を変える大きな力になると私は信じている。

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