僕がボーダレス・グループを経営していく上で、大切にしていることや思うことを綴るブログ「経営の考え方」

第一弾は、このボーダレスが“そもそも何のために存在しているのか”について書いておきたいと思う。

ボーダレスは社会起業家たちが集う“グループ企業群”です。社会問題を解決するソーシャルビジネスが次々に生まれ、その拠点はどんどん広がっている。

でも、そもそも“起業家たちは、何故ここに集まるのだろうか?”

しかも、起業家たちの持ち株比率は0%。すべての会社がグループ100%出資。つまり、何億円の利益を出そうとも起業家には1円の利益配当もない、ということ。

独立心旺盛な起業家たちが、そんな企業グループにあえて参画してくる理由は一体どこにあるのか??

そこにこそ、表に見えない「ボーダレスの本当の姿」があるので、今日はそこを説明したいと思う。

例えば、こう想像してみてほしい。


あなたはケニアで貧しい大豆農家を支援する事業モデルを開発したとしよう。昨年は、1年目にも関わらず500名以上の契約農家を迎え入れ、彼らの収入を大きく改善した。

さて、そこで質問だ。

Q.あなたは、そのモデルを世界中に広げ、一人でも多くの貧困農家を救いたいと思いますか?

A. あなたの答えは、“もちろん、YES!”だろう。
ケニア中の農家、いや世界中の貧困農家にこのモデルを届けたいと思っている。

では、ここに僕がやってきて、こう言ったとしよう。

Q.はじめまして。ボーダレスの田口と言います。あなたのモデルはとても素晴らしいですね。僕に、そのノウハウを教えてくれませんか?ボーダレス・グループでもこの事業を世界中で実践したい。

さて、あなたは今、どう思っただろうか?

見ず知らずの僕がやってきて、あなたが試行錯誤のうえ開発した事業ノウハウを教えて欲しいという。あなたはならどうしますか?

A.“もちろん、YES!”と、本当に言えるだろうか?

あなたの心はこう思っているかも知れない。

・こいつは何者だ?本当に信用できるのか?
・本気で農家を救いたいと思ってるのか?
・自分が儲けたいだけじゃないのか?

そして、結局あなたはこうするだろう。

「まずは、業務提携を結びましょう。」
「研修費用は〇〇万円。ロイヤリティ収入として〇%位でどうでしょう。」
「2年目も継続するかどうかは、結果をみて決めましょう。」


あれれ??
ですね。

さっき、あなたは「このモデルで一人でも多くの人を救いたい」と言ったばかりなのに、それを広げたいという人が出てきたら、一気に消極的になってる。

これはなぜなのか?
さっきの言葉は嘘だったのか?

では、次の場合はどうだろうか?


あなたの弟がやってきてこう言いました。

Q.姉ちゃん!姉ちゃんが開発したこの事業モデルは素晴らしいね。俺に、そのノウハウを教えてくれない?タンザニアにいって俺もこの事業を広げたい。

今度はどうでしょう?

A.“もちろん!さつそく、明日から教えてあげるからすぐこっちに来なさい。事業をスタートする時は、タンザニアにうちのスタッフを送ってあげるからね。”

とあなたは言うだろう。
契約だ、ロイヤリティだ、なんて話は一瞬たりとも頭をよぎらず即答でYES!だろう。


僕は、社会問題の解決がなかなか加速しない理由は、ここにあると思っている。

つまり「身内じゃない」ということ。

僕は毎日、起業家たちと新しいソーシャルビジネスモデルを立ち上げようといくつもの事業開発をしている。その中でいつも知るのは、調べれば調べるほど、世の中にはいいアイディアがたくさん埋まっているということ。

では、なぜこのアイディアは世界中に広がっていかないのだろうか?みんなが同じようなテーマにバラバラに挑戦しなくても、いいノウハウはみんなで共有した方が良いに決まってる。

でも、そうならないのはなぜなのか??
何がそれを邪魔しているのか??

いくら社会のためにと言っても、“人間だもの”。よく分からない出会ったばかりの人間に、自分の金と汗水流してつくりあげたノウハウを「はい、どうぞ」とは渡せないのが人間なのだ。

逆に言えば、そこにこそ社会を変えるスピードを一気加速できるヒントが隠されている。

つまり、「みんなが身内になれば良い!」ということ。

それは、すべてを共有する仲間になるということ。お金も人もノウハウもすべてを共有する家族になる。家族の中で、すべてがぐるぐる回っている状態をつくること。

彼が出す利益は、みんなの利益。
彼女の成功は、みんなの成功。

そのために必要なのは「財布を一つにする」ということ。誰か一人が儲かる仕組みを作ってしまうと、そこには不信感しか生まれない。

すべてを共有することで、みんなが身内になれる。

そのために僕らがとったのが、“みんな100%出資”のグループ経営。経営者が少しでも株を持てば、必ず配当に不公平が生じる。つまり、営業利益の大きい事業の社長は儲かり、どれだけ良い事業をやっていても利益率の低い事業の社長は儲からない。それでは気持ちよく一緒の方向を向けなくなるのが人間だ。

各社が上げる余剰利益は100%、いったん全部グループに戻す。そうやって、みんなで稼いだお金を使って、新たなソーシャルビジネスを立ち上げる。

自分たちの稼いだお金が、新たな社会的事業を生み。そして、自分が次に新たな事業を立ち上げる時には、今度はみんなの稼いだお金に支えてもらう。

そういう「恩送り」の思想がボーダレスを構成している。

そうやって、みんなが身内になることで、ある国である起業家が開発したアイディアが、瞬く間に世界中にいる仲間たちに広がっていく。

アフリカだけでなく、アジアや中南米、世界中にいるボーダレスグループの起業家たちが、つぎつぎとケニアを訪れ、このモデルを学び自国の貧困農家を救うために持ち帰る。そこには、一人では到底できない社会変革スピードとインパクトが生まれる。

“誰の手柄か”は重要じゃない。
“実際に起こる”ことが大切なんだ。

それこそが世界の社会起業家たちがここに集う理由であり、彼らの人生哲学だ。

そんな彼らの思想を“つなぐ”生態系をつくる。

それこそが、世界の社会変革スピードをいっきに加速させる、ボーダレス流のアプローチであり、僕らの本当の存在意義なのだ。

この会社の存在意義は何だろうか?
僕らならではの社会の変え方は何だろうか?

そんなことを経営者として考えていたいと思う。

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