座右の銘

Do, or do not. There is no try.

なぜこの仕事をするか

日本の農業を変え、持続可能な社会をつくりたい

わたしの履歴書


大学1年生の夏、僕はインドネシアで旅行をしていたときに、追い剥ぎにあいました。インドネシアの田舎道で、ナイフを突き付けられ、服以外全てを持っていかれたんですね。初の海外旅行ですよ。本当についていない。相手はまだ高校生くらいの年齢だったと思います。

その後、僕は近くの村で保護され、そこで数日間過ごすことになりました。そこで現地の暮らしを体験し、貧困というものを知りました。電気やガスがない生活。小学校を途中で辞め、親がやっている畑の仕事を手伝う子どもたち。僕(当時19歳)と年齢の変わらない人が文字を読めないでいること。追い剥ぎに遭い、村で生活した体験は、イメージに過ぎなかった貧困が現実のものとなる出来事でした。 たくさんのことを感じましたが、一番強く思ったのは、貧しいが故に自身の選択肢が狭まる―これって非常にもったいないんじゃないかってことです。そのときから、社会問題を意識し始めました。 日本に帰ってからは、学生でありながら地域課題を解決するために起業をしている人たちに会いました。自分たちのやりたいことのために起業という選択をしている彼らは輝いて見え、僕もすぐに起業しようと決めました。少しして、僕はあのとき感じた貧困を解決したいと思いインドネシアで起業をしました。1年生の秋のことでした。
 


インドネシアでいざ起業といっても、いま振り返って見るとひどい内容でした。彼らの生活を変えたいと思っていても、根本から変える術を知らず、模索もしていませんでした。現地の人に向き合うこともなく、自分が儲かる中で彼らの暮らしが変われば良いなという感覚でした。逆に言えば、それで貧困に苦しむ人が少しでも良くなれば、というものだったなと思います。

そんな中で僕が行ったのは彼らの生活の不便を解決してあげること。現地に工場を建て、従業員を雇いライフライン(電気・水道・ガス)を担う商品を作って約50ヶ所3,600世帯に届けました。例えば太陽光で使えるランプや水タンク(水をろ過と保存ができるもの)などを。

しかし僕の経験不足から、チームは空中分解。1人では事業を回せなくなり、手に負えなくなりました。結果としては現地の企業に事業を引き渡すという形になり、一部の従業員は職を失いました。 現地の人に「好き勝手やって出て行くのか」って言われたときはきつかったですね。貧困をなんとかしたいと思って起業して、終わってみれば失業者を生んでいる。自分は取り返しの付かないことをしたんだと泣いたのを覚えています。

現地の人の生活を変える、これは良くも悪くも大きな変化を与える。目的を見据え続けることがいかに大切か。誰の何のためにやっているかを常に考えるようになりました。本当に多くの失敗をし、多くの学びを得ました。 このころからソーシャルビジネスという視点を持ち始め、ビジネスで社会問題を解決したいという思考になりました。3年生の春でした。
 


インドネシアの事業が終わってカンボジアに行ったときも、やっぱりインドネシアで見たような貧しさだったり、やりたいことができていないって状況があって、今度こそちゃんと向き合いたいなと思いました。 それからは、カンボジアの農村家庭の問題に対してアプローチしています。酒造農家さんはお酒を作りたくても作れないという状況で、収入が途絶え、生活基盤が崩壊していました。なんとかせにゃってことで新商品を開発し、売り始めました。

大学を卒業してもそのまま個人でやっていく予定だったのですが、そんなときにボーダレスの鈴木さんに会いました。最初はボーダレスなんか知らねぇって感じだったんですが、話を聞いて考えたことがありました。 この世の中の社会問題を、僕はいくつ解決できるのだろうか。自分一人で解決できる問題は数少ない。やるならより多くの課題を解決して社会を豊かにしたい。それなら同じ志を持った人たちとやるのがベストだし、そっちの方が、効率が良く現地の人のためになる。だったら自分で起業してやり続けるメリットが少ないなと思いました。ボーダレスに決めた理由は色々ありましたが、一番大きな理由はここでした。 なので、カンボジアのビジネスは、現地の人たちで回せるように整えました。その団体は、一企業として今でも活動をしています。

今の僕は、もちろん自分個人として変えたい人、変えたい社会というのはあります。でもそれと同じくらい、多くの人に社会問題を解決してほしい。同じ志を持った人に「ボーダレスに入ればより大きく社会を変えられる」と思ってもらえるように、まずは自分が事業をつくって問題を解決する。その上で、社会起業家が活躍できる基盤を創りたいと思っています。

※入社時の内容のため所属が異なる場合があります。