座右の銘

「正しさ」より「楽しさ」

なぜこの仕事をするか

途上国の貧困という社会問題を楽しくそしてオシャレに解決へと導きたいから。正当な給与と安心して働ける環境を世界中に作り、貧困問題を抱える当事者とその子供たちの未来を創りたい。

わたしの履歴書

「損して得取れ」

小学生の時に担任の先生から教わったこの言葉がとても印象的で、ずっと大切にしてきました。
「自分にとっては『損』なことであっても、人の為になるならやりなさい」。もしくは「一見『損』なことであっても、やってみたら自分の為になる」と信じて学生生活を送って来ました。
小、中学生の時には、誰もなりたがらない学級委員長やサッカーチームのキャプテンを自分もなりたくはないけれども、立候補してその役割に就くような子供でした。大学では、オーストラリア留学中に初めてボランティアに参加しました。森林の環境保護、身体障害者の方のスポーツ支援、そして小学校の日本語教師ボランティアなどを行いました。
もちろん、給料は出ないので自分にとっては「損」ではあるけれども、新しいコミュニティには入れたり、英語が上達できたりと自分にとって「得」になることばかりであると気が付きました。
そして、私の大好きな海外で「損して得取る」ことが一番私を成長させてくれると気が付きました。

そんな私に転機が訪れたのは、大学3年生でドミニカ共和国を訪問した時でした。
ハイチとの国境付近にあるドミニカ内でも最も貧しい地域の一つであるダハボンという町にある現地NGOが支援するピーナッツ工房を訪問しました。そしてそこで働く女性たちと20名程と交流する機会を得ました。
数単語しか知らないスペイン語を使いながらコミュニケーションを取り、簡単な文化交流を行いました。私がスペイン語の書かれたフリップボードを用いながら、日本の食についてプレゼンテーションをしている時でした。一人の女性が魚の写真を指差しながら、「これは魚か」と聞いてきました。その写真の上にはスペイン語で大きく「魚」と書いていたので、なぜそのようなことを聞くのだろうと、その時は不思議に思いました。
しかし後から、ここで働く女性たちの殆どが読み書き、計算ができないと聞きました。
知識として読み書きができない人が世界にはいるということは知っていましたが、まさか自分の目の前にいる人がその当事者だとは思ってもおらず、大きなショックを受けました。

ドミニカ共和国は、ラテンの国なのでドミニカ人は皆、陽気で幸せそうに見えます。実際幸せなのかもしれません。
しかし、教育を受けることが出来ず、読み書きもできないこの人たちが、自分の人生を変えたいと思った時に何ができるのだろうか、そして、限られた収入の中で育つ子供もまた教育を受ける機会を得ずに、同じ轍を踏むのではないだろうか。
彼ら彼女らが、幸せ、不幸せに関係なく、これは同じ時代を生きる者として無視できない大きな問題ではないかと思いました。
そのように考えた時に、もっと彼ら彼女らについて知りたい、そしてどのようにすればこのような貧困の負の連鎖を断つことが出来るかを考えたいと思い、東ティモールでNGOのインターンをすることを決めました。
当国では、コーヒーの生産者支援に携わり、毎日生産者と働き、生活を共にしました。そのNGOでは、コーヒーの仲買人から不当な額でコーヒーを買い取られ、貧困状態にあった生産者を救うために、コーヒーの生産者組合を組織し、その組合から正当な額でコーヒーを買い取り(フェアトレード)、日本のコーヒー焙煎業者に流通させるという一種のビジネスを行っていました。
そこでは多くのことを学ばせてもらいました。しかしながら、いくら生産者が頑張ってコーヒーを生産しても、日本では「フェアトレードコーヒー」として売られ、その購入者も味ではなく、「フェアトレード」だからそのコーヒーを買っているという現状に違和感を覚えました。味や品質で選ばれる方が、より多くの人に買ってもらえるし、生産者の誇りを生むこともできるのではないかと思うようになりました。
そんな時に、ビジネスレザーファクトリー(以下BLF)に出会いました。
BLFは、バングラデシュの貧困問題解決の為に、働くことが難しい人たちを雇用することを目的としてビジネスを行っているのにも関わらず、それを出さずに、商品力とサービス力で多くのファンを作っている会社でした。

このビジネスモデルを理想状態に少しでも近づけて、世界中にアパレルブランドが羨ましい(マネしたい)と思うようなブランドにしたいと思い、BLFに入社することを決めました。
「貧困を無くす」という「正しさ」を振りかざすのではなく、その問題を革製品を通して「楽しく」「オシャレ」に解決していきたいと思います。

※入社時の内容のため所属が異なる場合があります。