バングラデシュの児童労働を解決するためアパレル事業に取り組むサンデーモーニングファクトリー(以下、サンモニ)が、OEMの受注を拡大します。商品に対する徹底的なこだわりと"ひと手間“、モノづくりに込めた想いを代表の中村将人に聞きました。


児童労働をなくし 未来の選択肢を増やす

――まずは、サンモニが取り組む社会課題と事業内容を教えてください。

サンモニは、バングラデシュの児童労働問題の解決に取り組む事業です。
2017年、バングラデシュの貧困地域にアパレルの縫製工場を建て、その地区のお母さんたちを雇用しました。現在は300名が働いています。

親に安定した給与があれば、子どもたちは家計を支えるために働かずにすみ、学校に通える。まだまだインパクトは小さいですが、生まれた環境に関係なく、努力次第で夢を実現できる社会を目指しています。

自社工場では、オーガニックコットン100%のベビー服を製造。Haruulala(ハルウララ)というブランドで、自社サイトのほか、デパートや出産祝いのカタログギフトを通して販売しています。

――Haruulalaのベビー服には細やかなこだわりがたくさん詰まっていますよね。いくつかご紹介いただけますか。

Haruulalaの魅力は、鮮やかな彩色のプリント。プリントに使用する塗料は安心安全なエコテックスを使用しています。染色する工場も、例えば、汚水を垂れ流して水質汚染をしていないか、太陽光発電の電気を使用しているかなど、慎重に選定しています。

また縫製工場や日本のオフィスも自然エネルギーを使用しています。
素材にオーガニックコットンを使っているのも、ポリ系の素材やビニールの使用を減らすことも、環境負荷を最小限にするのはモノづくりのルールだと考えるから。
製造でも販売でも、子どもたちの未来を守ると言いながら、そこを外したら筋が通らないですよね。

商品についても、洋服の内側の縫い合わせ部分が赤ちゃんの身体に当たってチクチクしないように、倒してフラットに縫い直すなど、細かい部分にもひと手間をかけて作っています。

――言わなければ分からないほど徹底した配慮ですね!どこから改善のヒントを得ているんでしょうか。

生まれたばかりの赤ちゃんへプレゼントする商品なので、サンプルを作っては自分やメンバーの子どもに実際に着せてみて、気になる所を納得いくまで修正して作り上げています。デザインや素材感をはじめ、腕の通しやすさや、着替えやすさなど。

またレビューに寄せられるお客様の声にも改善のヒントがたくさん。例えば人気商品のスリーパーは、ボタンの種類や付ける位置、シルエットなど、細かなところにもこだわって、もう数えきれないほどの改善を重ねています。


(左)グッドデザイン賞を受賞したおさがり名前タグ、(右)おひさま肌着

そんな積み重ねのおかげなのか、お客さまのリピート率も高いんですよ。ギフトとしてもらった人が、ご友人の出産祝いに選んでくれたり。
最近では、布地からこだわり、ひもやタグまで全てオーガニックコットン100%で作ったおひさま肌着が産院での取扱いが決まりました。

6年前にゼロから立ち上げた工場の品質が認められたようで嬉しかったです。

モノづくりのストーリーを 広く知ってほしい

――バングラデシュの工場でOEMの受注を拡大するとお聞きしました。その経緯や想いを聞かせてください。

実は工場の立ち上げ時から、『僕たちHaruulalaはいずれ受注先の1つになろう』と決めていました。
今回OEMを拡大しようと思ったのは、やはり児童労働をなくすという目的のため。それには、安定した受注数の確保と、工場のさらなる技術革新を実現することです。

私たちが工場を立ち上げたころ、周りは見渡す限り何もありませんでした。
今では近隣に多くの工場が並んでいますが、バングラデシュ全体で見れば雇用を必要とする貧困地域はまだ多くあります。

必要な人に必要な雇用を届ける。
たくさんの受注があれば、そのスピードを上げていけます。

OEMはメンズ、レディース、キッズやベビーなど、最小ロット100着からご相談いただけます。ロット数が小さくてもはじめられると喜ばれています。(詳細はこちら
日本語でのやり取りもできますし、私たちと作り上げてきた実績があるので安心してもらえると良いなと思っています。

品質面では、自社でトレーニングアッププログラムを用意し、未経験から技術者になるための技能向上をサポートしてきました。努力して技術が上がれば昇給する仕組みになっているのも、私たちの工場の特徴です。
品質には自信はありますが、さらに厳しい要請も大歓迎です!

また細かなことですが、工場内に託児所を設置したり、工場が遠くて働きたくても通えない人のために送迎のバンを走らせたり。輸送で発生したCO2を植林で回収したり。
OEMがきっかけで、こうした技術や姿勢を色々な企業に知ってもらえることも、素直にうれしく思います。

――先日出展した『ファッション ワールド 東京』も大盛況だったようですね!どのような企業と一緒にやりたいですか?

コロナの後、アパレル業界では中国から他の国に製造工場を移す企業が増えていて、私たちのブースもOEM先を探すたくさんの方の目に留まったようです。

従来からお取引のある企業担当者も足を運んでくれて、「どうやったらもっとバングラのためになりますか?」「原価をあげていけるようにがんばります!」といった声をいただき、メンバーともども温かい気持ちになりました。

「技術がいい」のは当たり前です。私たちのモノづくりのストーリーが、”選ぶ理由”になってくれればと思います。私たちのビジョンに共感してくれる企業と広く繋がって、一緒に真摯な物づくりをしていきたいですね。

徹底的なこだわり 小さな改善の積み重ね


PRTimes 4月1日限定のリリース「April Dream」より

――バングラのメンバーと一緒に目指している”モノづくり”は、どのようなものですか?

バングラと日本。距離は離れていますが、仲間としての意識を持てるようにしています。

コロナの時期はバングラに行くことはできませんでしたが、オンラインのミーティングで密にやり取りしました。先日2年ぶりに渡航がかない、メンバーがバングラに行ったり、日本に来たり、やっと直接会うことができました。

日本で出荷を行うメンバーは現実的にバングラに行くことが難しい状況にもあります。出荷スペースにバングラメンバーの写真を貼って、誰と一緒に仕事をしているのか感じられるようにしています。

もう一つは、児童労働の解決という目的をぶらさないこと。そのために、言っていることとやってることを一致させるということですね。

僕は「売れればいいってもんじゃない」とよくメンバーに伝えています。
例え売れるとわかっている商品でも、ポリ系の素材を使用すれば環境負荷に加担してしまいます。
僕が出した販促案をメンバーから「環境負荷が高い。私たちがやるべきではない」と止められたこともあります。

商品の素材だけではなく、使用する電気や梱包資材まで徹底的にこだわっていますが、自分としてはまだまだ足りないと感じています。

――バングラのメンバーともそのこだわりを共有しているんですよね?

工場長のAminさん(BLJ Apparel マハマド アミヌル イスラム)をはじめ、マネジメントメンバーとはオンラインで連絡をとりあっています。みんなで一緒に工場の底上げ改善を続けてきました。

バングラの工場では、出産入学お祝い金や託児所の用意、無利息のローンや住まいが遠い人のバス送迎など、誰もが働きやすい環境づくりをしています。小さな改善の積み重ねで、子どもが学校に行けるようになったとか、他の工場よりも給料が高くなったとか、嬉しい声が届いています。

将来は、アパレルを越えてほかの事業にも取り組んでいきたいですね。収益の柱はいくつもあったほうが良いですから。

今回OEM受注もその一つです。バングラの工場が収入源を複数もち、どんどん自走していくことを期待しています。もちろんそのためのサポートはしっかり行い、日本とバングラのメンバーが一丸となって広げていきます。


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Enter the E」代表 植月友美

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