夫婦のパートナーシップに関するメディアコミュニティ「フタリノ」。およそ10万人のフォロワーを持つInstagramのコミュニティをもとに、2022年3月新たにウェブサービスをスタートしました。「ふたりが幸せに暮らすヒントを見つけてほしい」という代表の清水愛に、事業にかける思いを聞きました。


夫婦の体験や本音が集まる 登録無料の会員制コミュニティ


――まずはフタリノの事業について教えてください。

フタリノは「身近な人には話しにくい夫婦のことをセキララにシェアして助け合う場所」です。

夫婦の話って、日本では「それは夫婦間の話でしょ」「ふたりの問題だから」と社会から切り離されている感じで、まわりの人に相談しづらく、他の人も立ち入りにくい印象がありませんか?
だから、ちょっとしたことで夫婦の関係がこじれたり、ひとりで悩みを深めたり…。

そんな状況を作らないために、夫婦ふたりのことを社会にひらいていきます

――具体的にはどんなことができるのでしょうか?

会員登録制のウェブサービスで、登録料は無料。コンテンツの特徴は大きく3つあります。

まずは「みんなの体験談が聞ける」こと。こちらが出したテーマについて3択から回答を選び、コメントを投稿できて、他の人のコメントも読めます。

次に「グラフで見られる」こと。3択の結果をグラフ化することで、他の人とシェアしやすく、パートナーと話し合うきっかけになります。

そして最後に「リクエストができる」こと。取り上げてほしいテーマをお寄せいただければ、できる範囲で採用させていただきます。


フタリノの会員コンテンツ

例えば、お金の管理からセックスレスの解消、不妊治療など。
夫婦の悩みは、ものすごく幅広くて、身近な人ほど相談しにくいことがたくさんあります。みんなで体験や本音をシェアし合っていければと考えています。

あなたの体験は誰かの救いに!答えはふたりの中にある

――フタリノは、ありそうでなかったサービスですね。

夫婦の日常は「自分はこれに悩んでいるけど、みんなはどうなんだろう」「相手はどう思っているのかな」と分からないことだらけ。

フタリノに来ると、いろんな立場の人の体験や考えに触れられるので、みんな同じなんだと安心したり、あり得ないと思っていたパートナーの意見と同じ考えの人がいて、あながち間違いじゃないと思えたり。

男性も女性も、パートナーに真正面から言われると受け取りにくい相談や悩みも、コンテンツとして客観的にみると素直に受け入れられることってありますよね。

――フタリノをどんな人に活用してほしいですか?

悩んでいる人はもちろん、いろいろな人に来てもらえればと思っています。

夫婦って、いいときもあれば悪いときもあって、モヤモヤを抱えながらも折り合いをつけながら歩んでいくものだと思います。

ハイのときもローのときもノーマルなときも、第3の場として来てもらえたらうれしいです。「今日フタリノでこんなネタがあったけど、どう思う?」と夕飯の食卓で話せるようなネタも並べるので、時間があるときにフラッとのぞいてください。

フタリノの活動を通して感じるのは、一人ひとりがパートナーと向き合ってきた過程や価値観が、ものすごい休眠資産ということ。

皆さんのリアルな体験談や言葉によって救われる人がいるんです。反対に、自分の経験を話すことで辛い経験も無駄じゃなかったと思えて、自分を肯定できるかもしれません。自分の経験や感情を表に出すことって、出す側にもいい効果があるんですよね。

――フタリノは、皆さんの体験知が集まる場所なんですね。

答えはふたりの中にしかない、私はそう思っています。フタリノでいろんな人たちのあり方や考え方に触れて、ふたりの答えを見つけるヒントにしてもらえればと思います。

私はフタリノを運営しているから、夫婦円満だと思われがちですけど、全然そんなことありません(笑)。皆さんと同じようにモヤモヤすることもたくさんあります。

みんないろいろあるけれど、夫婦で向き合い続けることを諦めない人たちと、前を向いて歩んでいく場にしたいと思っています。ぜひ登録して、気軽にご参加ください。お待ちしています!

夫婦のほんねマルシェ「フタリノ」はこちら

自分たちらしい夫婦のかたちが 社会全体の幸福度を上げる

―清水さんは、なぜフタリノを立ち上げたのですか?

きっかけは、不妊治療に挫折したことです。
私はもともと会社員で、結婚後に不妊治療を始めたのですが、夫の転勤を機に退社して3年ほど治療に専念しました。信頼できる病院に通ってしんどい思いをしながら頑張ったものの、どうしてもうまくいかず、医師にも原因が分からないと言われて…。気力が尽きてしまい、諦めました。

当たり前のように自分は母親になると思っていたから、夫とふたりでどうやって生きていけばいいのか未来が描けなかった。当時ネットで探しても、出てくる情報は花嫁やママ向けばかり。

夫婦が主役の情報がほとんどなくて、「子どもがいない幸せな夫婦は、芸能人なら誰だっけ」というように、外で正解探しばかりしている時期が長くありました。

子どもがいないからこそできることを探して人生を満たさないと、自分を肯定できないという思い込みに陥っていたことも。ふたりの話なのに、反対の方向に逃げてただけなんですよね。

―模索されたのですね。

そうなんです。しばらくして、子どもの有無にかかわらず、夫婦の関係性が家族の土台なのだから、それに向き合わずしてふたりの未来はないと思うようになりました。

とはいえ、ふたりだけで全てを解決していくのは無理ゲーじゃないかと感じて。夫婦をテーマにしたインスタグラムを2019年4月に始めました。

―それが「フタリノ」の始まりですか。

最初の頃は新婚の方向けに、少し前の私が知りたかったこと、例えば「○○のときに知っておきたい○個のこと」みたいに自分の考えや体験談をまとめていました。すると、すごいスピードでフォロワーが増えて、4ヶ月後には1万人、1年も経たず7万人に。現在は9.7万人になっています。

知りたいテーマのリクエストがたくさんくるようになり、それを調べて書いたり、みんなにどう思うか聞いてまとめたり。私はインフルエンサーではなく、ファシリテーターの役割を自任していました。

そして、いろんな悩みも寄せられました。私の場合は不妊治療が引き金でしたが、お金や子どものことなど、こんなに人知れず夫婦のことで悩みを抱え、相談できる場所がないのだなと、大きな課題意識を持つようになりました。


フタリノが承認された2021年10月の社長会

―ボーダレス・グループに入られたのはなぜでしょう?

インスタを運営していた時に、「自分たちらしい夫婦の形を認めてくれる存在」と言っていただいたのが、すごく心に残っています。

フタリノが実現したいコミュニティは絶対に社会に必要なものだと信じていたので、私が自力でできる範囲にとどめておくのではなく、早くその輪を広げて、必要な方に届けるために事業化したいと考えていました。

いろいろ模索して悩んでいた昨年の夏、たまたまSNSでボーダレスの書籍『9割の社会問題はビジネスで解決できる』を知り、むさぼるように読んで「ああ、これだ!」と。ここでならフタリノを社会に必要な事業として持続可能な形にできると思ったんです。

ホームページを見たら、ちょうどボーダレスアカデミーの締切が間近だったので申し込み、受講しました。それからプランを練り上げ、10月にジョインしました。

―いよいよ、フタリノのサービスが始動するのですね。読者の皆様に一言お願いします。

このたび、WEBサービスのβ版をリリースしました。
ユーザーから「自分と違う立場の声が参考になる」「この場で考えをまとめてシェアすることが自分と向き合う機会になっている」などの嬉しいお言葉をいただき、日々手応えを感じています。

まだ生まれたての小さなサービスですが、この場の空気や熱量を大切に守りながら、みんなで一緒に大きな集合知(地)に育てていきたいです!

夫婦の問題を"ふたりの問題"ですまさず、”社会ごと”にすること。それがあらゆる家族問題の予防、ひいては社会全体の幸福度向上につながると信じています。

より良いパートナーシップを築いていきたい方は、ぜひご参加ください!


ボーダレスの起業家のオススメ書籍をご紹介!



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水流早貴

様々なバックグラウンドを持つ人たちの集うチームをどのようにマネジメントしていくか、ケーススタディを交えながらわかりやすく書かれている本。文化の違いを可視化したカルチャーマップは、実践にも役立ち、多国籍のメンバーとチームで仕事する方や海外で事業を行う方必読の一冊です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

今回のインタビューは、ボーダレス・ジャパンが月に2回発信しているボーダレスマガジンのコンテンツです。
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