ボーダレスに出向し、社会起業家とともにゼロから事業をつくり実践力を身につける、人材育成プログラム「ゼロイチ出向」がスタートしました。このプログラムをボーダレスが始める意味、大企業との連携で何を生み出せるのか?ボーダレス・ジャパン 田口一成に聞きました。


企業×ソーシャルベンチャー 事業立ち上げを実体験する

――企業向けの人材育成プログラム「ゼロイチ出向」がいよいよスタートしましたね。まずはプログラムについて教えてください。

「ゼロイチ出向」は、企業に勤めている人をボーダレスグループの事業へ受け入れる出向プログラムです。期間は最短6か月から、できれば1年くらい。起業家の横に立って、社会課題に対してビジネスを立ち上げる、ゼロイチの事業作りを実際に経験できる内容です。

ここ3~4年は「自社で社会的な事業を立ち上げたい」と考える企業から、「ゼロイチで事業を立ち上げられる人材がいない」「ノウハウを教えてほしい」と相談されることも増えてきました。

ノウハウは伝えられたとしても、事業立ち上げのスキルは実体験でしか身につかない。でも、大企業でゼロイチで事業を立ち上げる場を用意するのはとても難しい。
一方で、ボーダレスでは年間10社ほど、ソーシャルビジネスに特化した事業が立ち上がる環境がある。

表面的なパフォーマンスじゃなくて、大企業とソーシャルベンチャーがつながる本質的な意味はどこにあるんだろうと考えつづけるなかで、”人とのつながり”だと思うようになりました。

ミーティングに参加するとか、3か月程度の短い期間の関わり方ではなく、一緒の時間を真剣に過ごす。「同じ釜の飯を食った」と言えるくらい強い結びつきがあれば、お互いの事業を深く理解できるし、その先の本当に必要なコラボレーションにつながっていくと思うんです。
当然、スキルやノウハウも実行者として身につけた状態で戻ってもらえる。

大企業とソーシャルベンチャー、それぞれの持っているものを提供しあうには、人が行き来することが本質的なノウハウの移植になるし、社会にとっても意味のあることだと思って、この出向という形をはじめてみました。

――大企業とベンチャーをつなぐ人材交流プログラムは他にもありますが、ボーダレスが実施する「ゼロイチ出向」のユニークな点はありますか?

一つは、名前にもこだわったところですが、本当のゼロイチの場面に出向できるのは、非常にレアだということ。

ベンチャーへの出向と言っても、すでに出来あがった事業モデルの中で仕事をしているケースも多いように思います。それでは、ベンチャーという環境の中で仕事はできていますが、やっていることは大企業の中と大差はありません。
出向に送り出す側の目的次第ですが、出来上がったモデルの中に入っても事業をゼロイチで作れるようにはなりません。

実際、事業モデルが確立する前の状態では、起業家は誰かと議論をするより、答えが分からない中でもどんどん決めてやってみる事が大切で、そのステージで人を受け入れるのはリスクにもなりうるんです。
そういう意味でゼロイチの場面に出向できるというのが、とても珍しいと思います。

二つ目は、社会問題の解決に真正面から向き合うソーシャルベンチャーであるということ。こうした事業は日本ではまだ多くないし、あったとしても、立ち上げたばかりでは実績もなくメディアにも出ないから、知る機会がない。

ボーダレスというフレームワークがあることで、立ち上がりたてのソーシャルベンチャーと企業をつなげられる。その点も他にないユニークさだと思います。

人と人がつながり 社会に新たな価値を生み出す

――ゼロイチ出向では、具体的にどんな経験ができるのでしょうか?

ボーダレスグループの事業に入り、起業家と共に事業づくりを行ってもらいます。
ほかにも、起業家たちの経営リテラシーを高めるために行っている社内の勉強会「経営道場」や、僕と副社長の鈴木、そしてマーケティングチームと起業家で行う「マーケティング戦略会議」にも参加してもらいます。

事業立ち上げ期の予算もリソースもない中で、広告に頼らず、一番最初にどんなマーケティングを仕掛けていくのかといったアイデアやノウハウに触れる機会をたくさん持ってもらえたらと思っています。

また、経営ツールも公開します。僕らは社会課題に対してどのくらいインパクトが出せたかというソーシャルインパクトという指標を大切にしていますが、PL、CFと合わせて月次で確認していたり、マーケティングの施策のベースになっていることなど、しばらくこの環境に身を置くことでソーシャルビジネスの判断軸として身についていくと思います。

――ゼロイチ出向にはどんな人に活用してもらいたいですか?

やはり、本気の人です。
「なんとなく経験しとこう」「会社に言われたから来ました」ということでは、最終的には、本当に困っている人や社会課題の状況は変化しません。
大企業の中には宝みたいなリソースがいっぱいあって、社会のためにそのリソースを使って事業を作りたいという、個人としての意思を持っている人に来てほしいです。

そういう人ほど会社でも中心的な役割を担っていたりしますが、会社が気概を持って送り出してくれるからこそ、僕らとしてもしっかり持ち帰ってもらえるような機会提供をしたい

半年も一緒にいれば仲間になります。
体験を通して得たノウハウを会社に持ち帰って自社で活躍してくれたら、僕たちもこんなに嬉しいことはないです。

社会的課題に対して、企業がどう事業を行うかといったことは、これまでのCSR的な副次的な取り組みから、本質的な意味に変わってきていますよね。
社会課題の解決のために、真正面から事業を作っていきたいと考えている企業にボーダレスの環境を使ってほしいです。そういう意味では、大企業とか中小企業とか会社の規模は関係ないですね。

ボーダレスは、ソーシャルビジネスに特化した環境で、常に新しい会社が立ち上がっていくという点で、レアな場所だと思います。
そこで企業とソーシャルベンチャーとの人のつながりをつくり、ノウハウを共有する。それがその先、社会にとって本当に必要なコラボレーションを生み出していく。

表面上の付き合いではなく、出向という形で長いスパンを一緒に過ごすことでしか生み出せない価値だと思います。


ボーダレスの起業家のオススメ書籍をご紹介!



アノサポ
河内 将弘

お客様の買わない理由から生まれた営業メソッド。
営業の本質を理解し、顧客の課題解決をするために、あえて売り込まない。
事業をする上で大切な営業の姿勢をこの本から学び、今のアノサポ事業に活かしています。
営業代行サービスの社長だからこそ、執筆できる営業ノウハウを、ぜひ皆さんの事業に活かしてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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