
初期費用0円の住宅用太陽光発電サービス「ハチドリソーラー」。昨年10月にサービスを開始し、無料シミュレーションの依頼が早くも300件を超えるなど、話題を呼んでいます。実質自然エネルギー100%の電力サービス「ハチドリ電力」のデビュー以降、日本全土で自然エネルギーを「つかう人」が年々増加。「ハチドリソーラー」は「つくる人」を増やす事業とのこと。事業統括の池田将太が事業の詳細についてお話しました。
つくる人を増やす 自然エネルギーでCO2削減
――昨年10月にスタートした「ハチドリソーラー」。まずは事業内容を教えてください。
ハチドリソーラーは、再生可能で環境に優しい「自然エネルギー」を増やすことを目標に掲げた、住宅太陽光パネルのリース事業です。
現在、日本で作られている電力の約8割は、発電時にCO2を排出する「火力発電」。太陽光や水力、風力、地熱による自然エネルギーは約2割です。自然エネルギーによる発電量を増やすために、「つくる人」を増やす必要があると考えました。
「自然エネルギーの大規模発電所を作れば良いのでは?」という声が聞こえてきそうですが、ダムを作ったり、メガソーラーを設置するためには、自然を切り崩すこともあり、環境に負荷がかかります。また、大規模発電所の建設による森林伐採が原因で土地の地盤が緩み、豪雨の際に土砂災害を引き起こす可能性もあります。
そこで我々が着目したのが、自宅の屋根に取り付けるタイプの「住宅用太陽光発電」です。
実は日本の全ての建物に太陽光パネルを設置すると、国内の消費電力量を全て賄えるほど、大きなポテンシャルを秘めています。
しかしながら、現在の一般家庭の太陽光パネル設置率はわずか9%ほど。「ハチドリソーラー」は、この数値を増やすべく、発電事業をスタートしました。
――政府も「2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ達成」を掲げていますね。
それにしても、太陽光パネル設置率が9%という数値はあまりにも少ない…。多くの人が設置しない理由は何なのでしょうか?
事業の立ち上げに際し、さまざまな人にヒアリングを重ねた結果、一番の理由は高額な初期費用だとわかりました。
太陽光発電を導入するには、基本的にパネル代や設置費として、最初に100~150万円が必要です。
さらに「儲かります」など過剰なメリット訴求をする業者もあり、ネット上にネガティブな情報が多数掲載され、「騙される」「危険」といったイメージを持つ人が多いです。実際、パネルが故障しても保証がなかったり、通常よりも高額で太陽光パネルを販売し自社の収益を増やす業者もあると聞き、自分が導入を検討する立場でも躊躇するのは当然だと感じました。
そこで我々「ハチドリソーラー」は、みんなが前のめりになって「設置したい!」「導入したい!」と思ってもらえるサービスを構築しました。その結果、太陽光パネルを設置する人が増えて自然エネルギーの普及に繋げたいと考えています。
「屋根で発電」を当たり前にしたい!
――みんなが前のめりになるサービス!とは、ご自身でハードルを上げられましたね(笑)。でもそれだけ自信があるということですね!内容や魅力を具体的に教えてください。
最大のポイントは、毎月定額制のリースサービスにすることで、150~200万円かかる初期費用を0円にしたことです。本サービスを実現するために、10年または15年の契約期間という縛りはありますが、期間中は、太陽光パネルの所有主が「ハチドリソーラー」になるため、初期費用(パネル代と設置費用)はもとより、故障した際の修理費用も無料になります。
もちろん、導入日から発電した電気は無制限で使えますし、余った余剰電気は売電でき、お客さま自身の収入になります。さらに、リース期間満了後には、太陽光パネル一式を無償で譲渡します。
設置環境によりますが、太陽光パネルの耐久年数は30年といわれていますし、契約期間が終了した後も、カスタマーサポートは利用してもらえるなど、安心して導入してもらえるシステムを構築しました。
ハチドリソーラーの特徴
――導入の手間さえ惜しまなければ、得しかないということですか? 良いこと尽くしだと、デメリットがないのか疑ってしまいます(笑)。また、料金がどのくらいかも知りたいです。
基本的に、導入前より支出が増えることなく導入いただけるケースが多いです。それどころか、長期的に見れば電気代の大幅な削減に繋がることはメリットですね。
デメリットとしては、日射量が地域によって異なること。電気の使用量によって経済メリットに差が生じること。物件を個人で所有している人が対象であること。沖縄や離島が対象外になるなどがあります。(沖縄と離島もサービスの提供を準備中です。)
価格は最もリース代金がリーズナブルな「ソーラープラン」で月々6300円からです。災害時の非常用電源として発電した電気を貯められる「ソーラー+蓄電プラン」、電気自動車を使っている方には電気自動車を蓄電池として活用できる「ソーラー+V2Hプラン」もあります。
既に導入された方からは「環境面だけでなく経済的にも良い。停電時も安心できます」「東日本大震災で電気の使えない不自由さを体験。自家発電できる安心感が決め手になった」「月々の電気代も安くなり、多くの方に薦めたい」など、好評を多数いただいています。
実際の太陽光パネル施工風景
――早くも300件のシミュレーションの依頼がきていると伺っています。
ご提案の前に必ずシミュレーションを行い、個人に合わせた最良のプランを準備しています。暮らす人のライフスタイルによって電気の使い方が違いますし、家の形状や場所、大きさによって発電量やパネルの設置枚数が異なるため、住所や建物の図面を送っていただき、そこから細かく分析し、最もお得に導入していただけるプランをご提案します。
zoomなどを使って顔が見える関係でしっかりとお話をさせていただき、納得していただいた上で導入してもらっています。「地球環境に良いから」だけではなく「サービスが良いから契約した」と思っていただくためにも、スタッフみんなでより良いサービス作りに取り組んでいます。
お客様の施工事例
――本気度が伝わってくる丁寧な取り組みですね。
「太陽光パネルを設置しない理由がない!」とみなさんに思って頂けるプランを心掛けています。さらに安心して使い続けてもらえるように、顔の見えるお付き合いをさせてもらっています。
「うちの家はどうかな」「実家に取り付けてみようかな…」など、気になった方は、まずは無料シミュレーションだけでも試していただけたら嬉しいです。
ハチドリソーラーが目指す社会 エネルギーの自給自足を
――「ハチドリソーラー」が目指す先や実現したい社会についてお聞かせください。
我々は地球温暖化解決のために立ち上がった発電事業です。まずは日本の電力を100%自然エネルギーで賄うことを目標に、サービスを普及させたいです。
そのためには、環境への意識が高い人だけではなく、この分野に全く興味のない人が「太陽光パネルを設置するのが当たり前」と思えるサービスを提供し続ける必要があります。
その土台が完成した今、多くの人に知ってもらうと共に、満足してもらい続けるために、サービスのアップデートも考えていきたいと思っています。導入した方が「サービスが良かったら使った結果、地球に良かった!」と、自慢してもらえるように頑張ります。
ハチドリソーラーに寄せられたお客様の声
――池田さんは、さらに大きな夢を抱かれていると伺いました。
はい。もともとボーダレス・ジャパンに入社した理由が、大学時代に国際協力で訪れたミクロネシア連邦の人たちとの出会いでした。
平均月収が4万円という経済的に決して恵まれた環境ではない国で暮らす彼らが家族と友人と本当に幸せそうに暮らす様子を目の当たりにして、カルチャーショックを受けたんです。
「幸せとは何か」を教えてもらった渡航でした。
しかし、島内に働き口が少ないため、米国に出稼ぎにいかざるを得ない若者が多く、渡航先で家族と離れて生活する過酷な環境や自殺する人が多い現実を知り、愕然としました。「彼らと一緒に島で何かできないか…」。僕なりに考えた結果が「発電事業で島に仕事を創る」でした。
現在、ミクロネシアの発電のほとんどが、燃料を輸入に頼った火力発電です。「自分の国でエネルギーを自給自足でき、それを島の雇用に繋げられたら、島の未来が変わるはず」と心が弾みました。
まずは日本でこの太陽光発電事業を形にして、次はミクロネシアで自然エネルギーの事業を展開したいと考えています。
太陽光はもちろん、滝や水資源が豊富な国なので環境負荷を最小限に地域の水資源を活用した発電なども視野に入れながら、島の人たちと一緒になって持続可能な仕組みづくりに取り組みたいです。
僕がいなくても循環する仕組み作りをして、また次の国や地域で新しい事業を作る…。そんな将来の自分を描きながら、1日1日を大切に頑張っていきたいです。
編集後記(ライター末永)
zoomを使った約2時間の取材の中で、太陽光発電に対する印象がガラッと変わりました。実は、「環境には良いけど、経済的にゆとりがある人しか導入できない」「ちょっと怪しそう…」と思っていたからです。
私と同様のネガティブな先入観を持つ人が多い中で、「誰もが導入しやすい経済的なサービス作り」をし、広げていくことは本当に大変。「ハチドリソーラー」のサービスも、本文には書ききれませんでしたが、池田さんをはじめとするメンバーの皆さんが諦めず本気で取り組んだからこそ、思いに共感して提携する企業が見つかり、実現したものです。
そして、インタビューで特に印象的だったのが池田さんの人柄でした。誠実で真っ直ぐで熱い思いを持っていて…。「この人は信頼できる」と断言できる素敵な方でした。絶対に騙されないので(笑)気になった方は、ぜひ無料シミュレーションを試してみてください(^^)
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ぜひご自分にあったステップを見つけて、第一歩を踏み出してみてください。
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現地の人の話を聞き、貧困の原因を突き止め、解決策を泥臭く広げていく過程が描かれています。
多くの人の生活が良くなっていく様子が想像でき、動き出したくてたまらなくなる一冊です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回のインタビューは、ボーダレス・ジャパンが月に2回発信しているボーダレスマガジンのコンテンツです。
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