全国に実質自然エネルギー100%の電力を届ける「ハチドリ電力」(沖縄と一部離島を除く)。
昨年8月のサービス開始から1年2か月の間に、市場での価格高騰とプランの見直し、高校生からのうれしい応援など、予想外のことが次々と起こっています。
代表の小野悠希さん(以下、悠希さん)に、そんな舞台裏や最新情報、今後の展望まで聞きました。

国内外で数千人を取材。ボーダレスの理念や活動に感銘を受け、よりよい社会を目指して客観的な視点で情報を発信している。

 

地球温暖化を解決するために
誰にでも今できることがある!

地球温暖化をとめることは、いまや世界共通のミッション。2030年までに、2010年時点で出していたCO2排出量の45%にしなければ、地球環境は一気に悪化すると言われています。

そんな中、スウェーデンの環境活動家グレタさんの切実な訴えが話題になりました。「危機的な状況であることは分かったけど、自分にできることが浮かばない…」、そう思っている人も多いかもしれません。今回の主役・悠希さんも、たった2年前にはそんな一人でした。

しかし、彼女は2020年4月に「ハチドリ電力」を立ち上げて、地球温暖化を解決するために奮闘しています。そして彼女に賛同する仲間の輪が確実に広がってきています。
そもそも、地球温暖化と電力にはどんな関わりがあるのでしょう。

悠希さん:日本において地球温暖化の大きな原因の一つは、電力の75%を占める火力発電です。つまり、私たちが電気を使えば使うほど、温暖化に加担することになってしまうのです。でも、電気は生活に欠かせませんよね。そこで、家庭やオフィスなどで使う電気を自然エネルギーに切り替えることで、温暖化をとめる一員になれるのです。

2016年に電力が自由化されて、自分で電力会社を選べるようになりました。今では660を超える電力会社が乱立していて、何を基準に選べばいいか分かりづらく、切り替えのハードルも高そうです。悠希さんのハチドリ電力には、どんな特徴があるのでしょうか。

悠希さん:特徴は3つあります。まずは実質自然エネルギー100%の電力をお届けすること。次に、皆さんからいただく電気代の1%を、自然エネルギーの発電所を増やすための取り組みに使うこと。電気を使うこと自体が、自然エネルギーを増やす一助になるのです。最後に、電気代のもう1%を、自分が応援したい社会貢献活動に寄付できることです。

自然エネルギーに切り替えてCO2の排出をゼロにするだけでなく、日々電気を使うことで社会貢献までできるのが、他に類を見ないボーダレスらしさ。しかも大手電力会社より安い料金プランで、今の電力会社への解約手続きは不要、ネットで5分で切り替え完了というから驚きです。

テレビで空振り、ラジオでは絶好調、
そして急な市場高騰…と波乱の1年だった

悠希さんがハチドリ電力を立ち上げたのは、地球温暖化に強い危機感を抱いたことがきっかけでした。2018年ボーダレスに入り、自らのビジネスを模索していた時期のことです。

悠希さん:グレタさんの話を聞き、地球温暖化の問題ってこんなに予断を許さないのかとショックを受けました。「自分に何ができるだろう」と調べていろいろ考えたのですが、あまりに問題が大きすぎて根本から解決できるビジネスは思い浮かばなくて…。

モヤモヤする日々の中、ボーダレス社長の田口さんから思わぬヒントをもらったと明かします。

悠希さん:「電力があるよ」と教えてもらい、「えっ、電力事業!?」と驚きました。だって、電力はインフラで、個人が手を出せる規模感じゃないから。でも、「今のボーダレスなら体力的にできる」と言ってもらい、「これしかない!」とすごくワクワクしました。


家庭から出されるCO2の約半分が電気を使うことから生まれています。

やると決めた2019年12月末から、4か月後のリリースに向けて異例のスピードで準備を進めました。なぜなら、2020年4月16日に田口さんが有名テレビ番組「ンブリア宮殿」に出演することが決まっていて、ちょうどPRできると考えたから。番組収録で田口さんはハチドリ電力について熱く熱く語ったそうです。果たして、その成果は…。

悠希さん:TV効果で一気に広げられるかも、なんて期待していたのですが、オンエアではハチドリ電力のことが全部カットされて、ひと言も出てきませんでした(苦笑)。


ハチドリ電力決起イベントの様子

華々しい船出の目論見は外れてしまいましたが、こつこつと提案を重ね、8月から電力供給をスタートする際には「九州の法人100社がハチドリ電力に切り替えという決起イベントを開催し、それから少しずつ申込が増えていきました。
さらに12月には、人気ラジオ番組「コテンラジオ」に田口さんがゲスト出演して、自身や事業について赤裸々に話したことが、強い追い風となりました。 (アーカイブはこちら

悠希さん:それまでは環境への意識が高い人たちが、ハチドリ電力に切り替えてくれていました。コテンラジオをきっかけに、加入者のすそ野が広がったように感じ、新たな希望の光が見えました。


「コテンラジオ」後編でハチドリ電力について詳しく解説

そんな矢先、2020年末から年始にかけて電力市場がこれまでにない水準に高騰するという事態に見舞われます。市場連動プランを採用していたハチドリ電力でしたが、お客様には価格転嫁しないという決断を発表したことが話題になりました。

悠希さん:お客様にそのまま請求するという方法もありました。でも、「地球温暖化をとめたい」という私たちの切なる思いに賛同して仲間になってくださったお客様には、どうしても負担をかけたくなかったんです。

この先も同じことが起こらないとは限りません。お客様を二度と不安な気持ちにさせないためにも、市場連動プランから固定プランに変更するとともに、自然エネルギーでは珍しいオール電化プランも作り、さらに多くの方に選んでいただけるようになりました。

ソーラーシェアリングの発電所を開設
太陽光パネルの新サービスもスタート

今では契約数が法人と個人合わせて5,000件まで増えました。お客様は関東と福岡、関西を中心に全国に広がっています。

悠希さん:ハチドリ会員(ハチドリ電力ユーザー)の声が一番のやりがいです。例えば、「地球温暖化を解決する選択肢を作ってくれて、ありがとう」と言ってもらったときは、以前の私のようにモヤモヤしている人に応えられたのかなと思えて、とてもうれしかったです。それに、ハチドリ会員が自主的にファンコミュニティを立ち上げてくださっていて、20代から70代まで幅広い方々に応援いただき感激しています。

さらには、高校生たちが「学校の電気をハチドリ電力に変えたい」と本気で動いてくれるという、うれしい出来事も。

悠希さん:1校は講演に行った学校で、もう1校は自分たちでハチドリ電力のことを知って先生に相談してくれたらしく、先生から連絡をいただいてビックリしました。若い世代が危機感を持って動いてくれるなんて、本当に素晴らしいですよね。

2021年6月には、千葉県に「THE 土と太陽の発電所~Soil&Sun~」を開設しました。こちらは、エシカル協会、Three Little Birdsと3社の共同開設で、市民エネルギーちばが発電事業者となっています。
農地の上に細長い太陽光パネルを設置して、有機農業と自然エネルギー、さらに教育事業も行うプロジェクトで、これからさまざまな展開を計画しています。

悠希さん:今ある農地や屋根の上を活用して、小さな発電所を全国に広げていくつもりです。10月ごろには、屋根の上に太陽光パネルをつける新しいサービスをリリースします。初期費用ゼロ円で、保証やサービスも手厚く、安心して参加いただけるサービスができました。ぜひご期待ください。


ハチドリ会員(希望者)に送付しているステッカー

2年前、地球温暖化という巨大な相手を前にして、自分に何ができるか分からず立ちすくんでいた悠希さん。でも今は、5,000を超えるハチドリ会員とともに前を見据えています。

悠希さん:自分が何を選ぶかによって、未来は変わります。電気は目に見えないけれど、自然エネルギー100%の電気を選ぶ、そんな一人ひとりの行動が積み重なることで、10年20年後の地球環境は必ず良くなります。地球温暖化をとめるために電力を切り替えることは、たった5分でできる、小さくても大きな第一歩。ぜひ私たちの仲間になっていただけませんか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

今回のインタビューは、ボーダレス・ジャパンが月に2回発信しているボーダレスマガジンのコンテンツです。
マガジンでは、ボーダレスグループの最新イベント情報や限定コンテンツ・クーポンの発信などがありますので、ぜひご登録くださいね。
▶ボーダレスマガジン登録はこちら
▶バックナンバーはこちらから。