2021年5月28日、ついに発売されたボーダレスグループ初の書籍「9割の社会問題はビジネスで解決できる」。約1年の製作期間を経て、「今のボーダレスの全てを出し切った」と言える一冊になりました。今回は著書である田口に、この本を書いたきっかけやこだわりポイント、そしてこの先の展望まで、制作の裏側を聞きました。

「社会のために何かしたい」と考える人へ

――ボーダレスの全てが丸はだかになったともいえる一冊が発売になりましたね!この本は、どんな人に読んでほしいと思っていますか?

「社会を良くするために何か行動したい」と思うすべての人に向けて書きました。
具体的には、社会起業を志す人や学生、すでに事業をしている経営者や、企業の中で新規事業開発を行う人。あと、週末を使って副業などをはじめている人たち。

――幅広い世代の方に向けて書かれていますね。

社会問題を解決したいとボーダレスに応募してくれる人たちにも、ビジネスの作り方が分からないという人がたくさんいました。
せっかく社会に良いことをしようとしているのにもったいない!だからこそ、「社会問題を解決するビジネス」というボーダレス流のやり方やノウハウを伝えたいと思いました。


ボーダレスグループの社会起業家たち

――そもそも、なぜ今このタイミングで本を書こうと思ったんですか?

ありがたいことにボーダレスの仕組みは、テレビなどのメディアに取り上げられ注目度が高まりました。この仕組みを知り、取り入れる企業が増えたらと思って、これまで講演依頼はできるだけ受けてきました。でも今後は講演をする時間がなくなりそうなので、全てを本に詰め込むことにしました。

――そういえば最近は登壇回数が減っていますね。講演にあてていた時間をどう使うんですか?

「社会起業家の数=解決される社会問題の数」と考え、社会起業家を増やしてサポートする仕組みを常にアップデートしているけど、まだまだ発展途上で、自己評価でも50点くらいしかできてない。
「年間100社立ち上げ」を実現させるために、その仕組みづくりに集中したいと思っています。


RISE社会起業家プログラムの様子

――今年はRISE(新卒起業家採用)に7名が入社しましたね。後に続く社会起業家たちのためにも、ボーダレスの仕組みはまだまだ進化していくということですね!

そういうこと!社会問題を一つでも多く解決するためには、自分たちだけでやるよりもみんなでやった方が断然早いので、本を読んですぐ実践できるところまで落とし込んで詳しく書きました。

これまでにない「ビジネスの実践書」

――ここまで詳細にソーシャルビジネスの作り方を書いている本は他にあまりないような気がします。ずばり「これまでになかった本」と称してもいいでしょうか。

社会問題解決を起点にしたビジネスのつくり方をここまで実践的に説いた本は、他にはないかもしれません。
少なくとも僕は知らない。40の事業をつくるなかで、自分たちなりの形に落とし込んだボーダレス流のやり方を、すべてこの本にまとめています。
社会のために何かしたいけど、どうやればいいか分からない人にとっては意味があるんじゃないかなと思ってます。

――書籍の内容と見どころを教えてもらえますか?

これまで取材や講演で良く聞かれてきた、ボーダレスグループの仕組みとソーシャルビジネスのつくり方を余すところなく紹介しています。本当は2冊に分けるべき内容かも(笑)
あとは、ボーダレスグループの社員もあまり知らない創業期の話。まとまった形ではどこにも出ていないので、読み物としても楽しんでもらえると思います。

――たしかに、創業時の苦労とかピンチの話(中にはピンチどころではない大損失の話も!)がかなり赤裸々に書かれていますよね。

僕も学生時代から起業家の本をたくさん読んだけど、成功した結果よりも創業期の話やそこに辿り着くまでのプロセスや工夫が知りたかった
だから、ボーダレスの仕組みやそれができるまでのプロセスは、これから起業する人の参考になればと、詳しく書きました。

――ほかにこだわったところはありますか?

僕は、ボーダレスグループに限らず、社会を良くしようと本気で行動する人を本当に仲間だと思っていて、その人たちのためにボーダレスのノウハウを包み隠さず詰め込みました。
書いているときも、彼らの本棚に一冊あって繰り返し読んでもらえる保存版の本、そんなイメージを持っていました。
また、社会のために何かしようと思い立った人に「これを読んだらいいよ」って勧めてもらえる本になったらいいなと思います。

田口が考える
社会の変化とこれから


新規事業の承認会の様子

――2007年にボーダレス・ジャパンを創業してから14年。創業時よりも社会が変わってきたという実感などはありますか?

僕たちが創業した頃は、誰に相談しても「社会貢献は儲かってからやること」と言われていました。
今は社会を良くするために事業を起こすという考え方がスタンダードになってきていますよね。
ただ、そういう『風潮』は出てきているけど、『実態』が追いついていないと感じています。

――最近は「SDGs」とか「サステナブル」という言葉もメディアでよく使われていますよね。

そう、20代を中心に「SDGs」の考え方が広がっているけど、社会問題に対して忠実なサービスをやっている企業はごく少数だと思います。やはりまだ世の中は「ビジネス=経済をまわすためにやる」という考え方が根強く残っている状態ですね。


バングラデシュの革工場のメンバー

――なぜ『実態』が追いつかないんでしょうか。

やっぱり、既存のものが変わるには時間がかかる。
だからこそ、社会問題を解決するビジネスに新しく挑戦する人が増えることで、世の中の割合が変わっていく、そういう局面かなと思っています。

――どんな挑戦が考えられますか。

今は利便性のある一定の生活ができているけど、実は小さな個別課題がたくさん取り残されている状態。大企業が取り組むようなマーケットサイズでもない。
だからこそ、それに気付いた人がアクションを起こす。そんな小さなアクションがたくさん出てくることで豊かな社会になっていくのかなと思います。
そのための仕組みを早く作りたいんです。


地球温暖化の解決に取り組む「ハチドリ電力」のメッセージ

――豊かな社会になるには、あと何年必要でしょうか?

うーん、やっぱり2030年が一つの目標でしょうか。
気候変動の話でも、2030年までに二酸化炭素の排出量を半減させないと不可逆的な状況になる、という報告がある。
タイムリミット的にもそこを目標にしたいと思いますね。

――2030年は、Z世代と言われる人たちが働き盛りの年齢になる頃ですね。

体感として分かっている人たちが主流になることは大事です。
今、20代の人たちが理想を発信しているのはすごくいいこと。
あとは、それをどう社会実装できるか。理想を掲げる人をしっかりとサポートしていくこと、ここにこそボーダレスの社会的役割があると思っています。

――実行力を培っていくために必要なことはなんでしょうか?

小さく立ち上げる、ということが大切です。
売上を伸ばすことを追い続けるよりも、いい商品やサービスを磨いていくことを大切にする。そうすればいつか必ずうまくいきます。

――小さな起業家にとっても、この本はバイブルになりそうですね。

そうですね。今理想を持って声をあげている20代の人たちにも、是非読んでもらいたい!
読んでとにかくやってみる。ただの自己満足で終わらせず、実効性のあるアクションにつなげてほしいです。
壁にぶつかったら、ボーダレスにもぜひ相談してみてください。何か役に立てることがあると思います。

――この本を読んで、アクションする人が増えるといいですね。

そう願っています。

『9割の社会問題はビジネスで解決できる』

「はじめに」全文公開

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ボーダレスの起業家のオススメ書籍をご紹介!

ボーダレスグループの新しい試み『ボーダレスの本棚』がスタートしました。

起業したい、気になる社会問題がある、社会のために何かしたい、
そう考えている人はもちろん、読書好き、新しい知識に触れたい…等々。

ボーダレスに関わってくださる全ての人に、
次の行動のきっかけとなる本との出会いがあれば嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

今回のインタビューは、ボーダレス・ジャパンが月に2回発信しているボーダレスマガジンのコンテンツです。
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