地球温暖化問題解決のため、再生可能エネルギーを提供する
ハチドリ電力は、
「大手電力会社より安くなる」驚きの新料金プランを発表しました。
その裏側には緊急事態の発生が。新たな方向へ船出したハチドリ電力 共同代表の小野悠希さん(以下、ゆうき)に、詳しく話を聞きました。
今回話を聞いたのは・・・

photo ハチドリ電力共同代表小野悠希
1995年、兵庫県出身。2018年に社会起業家採用枠でボーダレス・ジャパンに新卒入社。ボーダレスグループで事業経験を積むなか、スウェーデンの環境活動家グレタさんを通じて気候変動の危機を知る。今すぐ誰かが動かなければ地球の未来はないと危機感をおぼえ、ハチドリ電力を立ち上げた。

photo 聞き手 スタートアップスタジオ ふみこ

 

ボーダレス・ジャパンの採用広報として様々な事業と関わる。子育て経験を通じて「みんなちがって、みんないい」共生社会のあり方と教育問題に関心が向いている。


出典:ハフポスト「グレタ・トゥーンベリさん、国連で怒りのスピーチ。」

ふみこ ハチドリ電力はCO2ゼロの自然エネルギー*だけを販売する電力事業ですが、ゆうきさんが自然エネルギーに注目したきっかけを教えてもらえますか。

*CO2ゼロとはCO2排出係数ゼロのことを指します。再エネ指定の非化石証書購入により実質的に自然エネルギー100%の電気供給を実現します。

ゆうき 私が地球温暖化に対し「何とかしなければ」と危機感を抱いたのは、スウェーデンの環境活動家 グレタ・トゥーンベリさんの演説がきっかけです。
調べてみると、日本は火力発電によるCO2の排出量が 約4割を占めていました。
この火力発電を全て自然エネルギーに切り替えることができれば、地球温暖化を止めることができるかもしれない。そう思いハチドリ電力を立ち上げました。
ふみこ なんとなく、工場や自動車の排気ガスが大きな原因かな?と思っていましたが、私たちの生活に密接に関係した発電が原因だったんですね。


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ゆうき 日本は2016年に電力自由化がスタートしましたが、低価格を謳っても実際に電力会社を切り替えた人は2割程しかいないというデータがありました。つまり「お得」では8割の人は動かない。
「地球温暖化を止められる」と伝えれば、エコ意識が高い人は切り替えてくれそうですが、地球規模の問題を変えるにはさらに多くの人に訴える必要があります。
そこで、「何かを達成する手段として電気を切り替える」仕組みを作りました。
ふみこ 他の電力会社にはない面白い仕組みの由来はそこにあったんですね。是非、そのポイントを教えてください。
ゆうき まずは、CO2ゼロの自然エネルギー100%*のみを販売するということ。
毎月の電気料金の内1%は「自然エネルギー発電所を増やしていくための基金」になります。そして同じく1%を社会貢献活動に寄付できる仕組みになっています。


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ふみこ 寄付って、少し気合いがいるというか「やるぞ」と思ってやるものなので、普段の生活から意識せずにできるととても気が楽になりますね。
ゆうき そうなんです。みんな応援したい想いはあるけど、いざ寄付となると少しハードルが高くなってしまう。そこで普段使っている電気代で応援ができる「新しい応援の仕組み」をつくったんです。
ハチドリ電力の仕組みやその背景については、共同代表の田口が「コテンラジオ」で前編中編後編に分けてお話しているので、
こちらもぜひ聞いてみてください。
(ハチドリ電力については「後編」でお話しています。)

出典:テレ朝NEWS トレバズコーナー(2021.1.17放送)

ふみこ さて、2月3日(水)にハチドリ電力の新プランが発表されたばかりですが、昨年の年末は大変なことになっていて、電力事業界隈がざわついていましたね。
ゆうき はい、昨年12月26日頃から電力卸取引価格の異常高騰が続いていて、電気の取引価格が先月や例年と比べて約10倍近くの異常な高値になるという深刻な事態が起きていました。
ふみこ 10倍ですか!この高騰した電気料金を誰が支払うのか?という点が、世間では話題になっていました。
ゆうき そうですね、ただ私たちハチドリ電力の意思は最初から一つでした。
「地球環境を守るためハチドリ会員になってくださった皆さんに、高騰した分の料金を請求することは絶対にしたくない」ということです。
ふみこ いや、その想いは分かりますが、10倍ですよ?とんでもない損失が出ますよね。


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ゆうき ハチドリ電力の理念に共感して電気を切り替えてくれた皆さんを裏切ることはできませんから。
それに「やっぱり自然エネルギーや新電力は不安定だから大手にしておけばよかった」と自然エネルギーの広がりが止まってしまうことの方が、社会にとっては大きな損失です。
ふみこ なるほど。「地球温暖化を止めること」という目的を優先するという、一見単純な考え方ですが…そう簡単にできることではないすごい決断ですね。
ゆうき ただこれを機に「市場連動型」のリスクについて改めて考えるきっかけになりました。
お客様の電気料金の割引額(高騰分の差額)を確認するたびに、これは早急に対応しなければならない、と。
イレギュラーな事態にも対応できる体制をつくるため、固定料金プランの新設に向けてすぐに動き出しました。
ふみこ そこから1ヶ月後には新プラン発表、そのスピード感にも驚かされます。


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ふみこ それではハチドリ電力の新プランについて詳しく教えてもらえますか。
ゆうき はい、新プランの特徴は2つです。1つは「安心の固定料金単価」。市場連動型から固定のプランにしたことで、もしも同じような市場高騰が起こっても電気料金は一切変わりません。
もう1つは、シンプルに「大手電力会社よりも安い料金プラン」です。大手電力会社の標準的なプランより安い料金単価を設定しています。
ふみこ リスクがなく安くなるうえに、自然エネルギー100%で地球にやさしい。もはやハチドリ電力にしない理由が見つかりません。


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ゆうき そして今回は新しい挑戦として、オール電化プランもつくりました
これまでオール電化の方に特化したプランはつくれていなくて、「オール電化なので高くなりますか?」というお声もいただいていました。
オール電化でも自然エネルギーに切り替えたいと思っている方はたくさんいる、やっとその声に答えることができました。
ふみこ 素晴らしい挑戦です!
ゆうき こちらも大手電力会社のスタンダードなプランよりも必ず安くなるように設定しています。
皆さんに「安くなります!」と胸を張って言えるプランになりました。
私の祖母の家もオール電化で、いつも「ハチドリ電力に変えたいな」と言ってくれるんですが、年金暮らしなので簡単にはいかなくて。
これで祖母の家もハチドリ電力に切り替えられます。

ふみこ ハチドリ電力は電力供給開始から5ヶ月半が経ちますが、事業目的であるCO2排出量の削減はどのくらい達成しましたか?
ゆうき 2/19時点でCO2削減量*は1218.2トンに及び、植林効果でいうと87,011本分に相当します。
また、1,917世帯、619法人の皆さまがハチドリ電力に切り替え、ハチドリ会員として共に地球温暖化防止に取り組んでくださっています。*CO2削減量はハチドリ電力の調整後排出係数=全国平均の排出係数と仮定して計算しています。
ふみこ 植林効果で表すととても分かりやすいです、そしてすごい量!ハチドリ会員の皆さん一人一人ができることをやった結果ですね。
ゆうき 私たちがつくった「ハチドリのひとしずく」という動画の中でも、
みんなでやれば大きなインパクトが出るということをお伝えしています。
この物語は中南米に伝わるお話ですが、実際は「私は、私にできることをしているだけ」というクリキンディのセリフで終わります。


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ハチドリのひとしずくの動画はこちら

ふみこ その後のシーンもありましたよね。
ゆうき そうなんです。ハチドリ電力の動画ではその続きを描いています。
ハチドリが一滴ずつ水を運ぶ姿を見て笑っていた動物たちが、一緒に水を運ぶシーンを付け足しました。
ふみこ 物語のラストとして、とてもしっくりきています。
ゆうき ハチドリだけでは火は消せなかったかもしれませんが、みんなでやるから消せるかもしれない、というメッセージを込めました。
「自分にもできることがある」という気付きから「できることをやろう」という動きを広げていく。
そして、「みんながやるから地球温暖化を止められる」という考えが当たり前になる社会をつくっていきたいです。

ふみこ 世界は脱炭素社会に向けて大きく動き出していますが、ハチドリ電力としては今度はどのように自然エネルギーの輪を広げていきますか?
ゆうき 他の先進国では火力発電所を減らしていこうという動きが進んでいるなか、日本は2019年に地球温暖化対策に後ろ向きな国家に対して与えられる化石賞を受賞しました。
ふみこ とても不名誉な賞ですよね。
ゆうき 昨年ようやく菅総理が「2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする」という国際公約を掲げました。
でも実は、2030年までに2010年時のCO2を半分に減らさなければ地球温暖化は不可逆になっていき、二度と地球環境を元に戻すことはできなくなる
それを防ぐカギは2025年までの4年間といわれているんです。
ふみこ この4年がカギ…。本当に「今」行動しなければ間に合ないんですね。
ゆうき 私たちもこの国際公約を重要視していて、達成への第一ステップとして「2030年までに日本の人口の3.5%がハチドリ電力に切り替える」という目標を掲げています。


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出典:NHK「持続可能な未来へ『わたしたちにできる5つのこと』」

ふみこ 3.5%とは?
ゆうき 「人口の3.5%が参加したムーブメント(社会運動)は成功する」と言われています。
まずは日本の3.5%の皆さんにハチドリ電力の活動に参加してもらい、そこから地球温暖化防止に向けた活動を一気に広げていきたいと考えています。
ふみこ ハチドリ会員を増やしていくスピードが大事になってきそうですね。
ゆうき そうですね。ですが、私たちはただ単に電気を切り替える人を増やしたい訳ではありません。
ハチドリ会員の皆さんのことは、利用者ではなく「同じ問題意識をもつ仲間」だと思っています。
ハチドリ電力が目指す未来に共感して、一緒に達成までの道のりを歩んでくれる仲間を増やしていきたいです。


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ハチドリ電力の価格高騰への対応に対するSNSでの反応

ふみこ なるほど。今回の価格高騰の対応について、会員の皆さんの反応からもその関係性が見えた気がします。
ゆうき はい。会員の皆さんの反応は温かいものばかりでした。
市場連動型に対する不安もあったと思いますが、ハチドリ電力に支援金を送りたいという申し出をしていただいたり、積極的に節電に協力してくださったり。
仲間がこんなにいる!と心強く感じました。
ふみこ 応援したくなる電力会社、というのも珍しいですね!
ゆうき ハチドリ電力は規模としてはまだまだ小さいですが、仲間の存在を改めて感じ、3.5%のムーブメントは必ず起こすことができると確信しました。
応援してくれる仲間がいる。だからこそ、私たちは地球温暖化問題に対して、そして仲間であるハチドリ会員の皆様に対して、「一番正直な電力会社」であり続けたいと思います。


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3月25日(木)ハチドリアカデミーvol.7開催!

ふみこ 会員の皆さんと様々なテーマを学ぶ場(ハチドリアカデミー)を開催したり、何屋さんだっけ?と思うこともあります(笑)
ゆうき そうですね(笑)ハチドリアカデミーは私自身も学ぶことが多く、届いた質問や感想を拝見すると皆さんの関心度の高さや学ぶ姿勢に驚かされます。
今後も、思わず人に勧めたくなるようなサービスを誠実につくり続けていきたいです。
ふみこ メンバーの募集もされるとか?
ゆうき はい。お話したように、地球温暖化に歯止めをかけるには、この4年間が勝負です。
ハチドリ電力をさらに広げていくために、新しいメンバーを募集することにしました。具体的には、一緒にハチドリ電力を大きくしていく創業メンバー
カスタマーサポート・広報を担うメンバーを募集しています。
自然エネルギーの普及のためにチャレンジをし続けられる方は是非ご連絡ください。
ふみこ それでは最後に、メルマガ読者のみなさんにメッセージをお願いします。
ゆうき 電気を切り替えても、普段の生活にはなんの変化もありません。
切り替えはWEBでたった5分で完了です。
でもそのアクションが、確実に、地球温暖化の防止につながります。地球温暖化に対して何かできることがある、何かしたいと思っている方には是非アクションを起こしていただきたいです。
一緒にムーブメントを起こしていきましょう!

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