1,000万円の資金を元手に、新卒社員がソーシャルビジネスを立ち上げる。
それが、ボーダレス・ジャパンが2020年4月からスタートさせた社会起業家育成プログラム「RISE」(Road to Ideal Social Entrepreneur)
その第一期生である相原さんに、このプログラムのリアルな話を聞きました。
今回話を聞いたのは・・・

photo 株式会社ボーダレスジャパン2020年入社 相原 恭平
大学在学中に海外インターンや国際ボランティアを通して海外貧困層の現状を知る。旅先のベトナムでの出会いから、技能実習制度にかかわる課題を解決する、と心に決め2020年ボーダレス・ジャパンに新卒で入社。同年に開始したRISE1期生となる。

photo 聞き手 ライター ほっしー
取材や広告制作、研修講師をしつつ、奄美大島で塾を経営。デンマーク留学帰りの妻から、サステナブルな子育てを仕込まれ中。


任され

ほっしー こんにちは!相原さんは起業家育成プログラム「RISE」で"修行"をしているそうですね。
その内容について、カンタンに教えてもらえますか?
相原 はい、一言で言えば、「新卒入社後1,000万円を元手に、自分たちのやりたいテーマで起業する」という、社会起業家育成プログラムです。
ほっしー すごいプログラムですね。相原さんはどんな経緯で参加することになったのか、そこから聞かせてもらえますか?
相原 実は大学入学した時点で、やりたいこととかあんまりなかったんです。それで焦りも感じていて、海外インターンの運営団体に入ったり、海外ボランティアに参加したりし始めたんです。
ほっしー その行動ができるだけでもすごい。海外はどちらへ?
相原 スリランカの孤児院に行ったんです。そこで見た方々をつい自分の境遇と比べてしまったりして。生まれた国や環境がちがうと、こんなにも当たり前が違うのかと気づかされました。


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海外での異文化体験がターニングポイントに

相原 その経験が忘れられなくて、大学3年生の時に一年間休学することを決めました。もっと世界の現状を知りたくなったんです。その期間にインドとベトナムに行きました。そこで、一つ出会いがあったんです。
ほっしー 現地の方と?
相原 はい、ベトナムで偶然お話した女性なんですけど、なんとその方は技能実習生として日本にいくことが決まっていたんです。
ほっしー 偶然ですね。何をする予定だったんですか、その方は?
相原 それが、知らなかったんです。ご本人が、どこに行って何をするのか知らされていなかったんです。
ほっしー あれ?技能実習生として来日するなら、行く先もやることも決まっているはずですよね。
相原 決まり上、そうなっています。でも、それを知らされていなかった人がいた。この出会いで、自分がやるべきことを考え始める様になったんです。技能実習生の抱えている課題を何とかできないかなって。


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ベトナムの学生たちに日本語を教える

ほっしー 大きな課題に着目しましたね。技能実習制度ですか。
相原 戻ってから、色々と自分でも調べてみたんです。その中で、情報の非対称性をまずは何とかできないかな、と。技能実習に行くのであれば、実習先の情報は少なくとも本人に知らされるべきじゃないかな、と。
ほっしー その通りですね。せっかく日本に来てくれるのであれば、お互い選び合える関係性が理想です。
相原 はい、お互いを尊重しあう姿勢がなければ、近い将来日本は彼らから選ばれない国になってしまいます。そうしないためにも、技能実習制度に関わる事業をつくりたい、そう思って就職活動にも取り組みました。でも当時は、入社してすぐに、とは思っていなかったんです。まずはある程度経験を積んで、いずれは、というイメージでした。
ほっしー なるほど。まずは修行の場として就職先を探したんですね。するとボーダレスにも、その流れで巡り合ったんですか。


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ベトナム滞在中に取り組むべき問題に出会った

相原 当時ボーダレス・ジャパンの採用には「社会起業家コース」の他に社会起業家を支える「バディ」という役割がありました。(※バディコースは2020年で終了)
まずはそのバディとして経験を積もう…というつもりだったんですが、内定式で考え方が一気に変わったんです。
ほっしー そこでも何か出会いがあった?
相原 社長の田口「支える力と立ちあげる力は違う」と言われたんです。
想いがあって解決したい課題が今すでに見えているのなら、すぐに挑戦してみた方がいい、と。
ほっしー なるほど。経験を積む期間は要らない、ということですね。
相原 それだけでも心が動いたんですが、同じ日、別の場所で副社長の鈴木からも言われたんです。「起業するためのスキルは、起業しないと身につかないよ」って。
ほっしー 社長と副社長から示し合わせた様に。でも、納得できる考え方ですね。
相原 自分でもそう思いました。そしてちょうどRISEがスタートする時期でもあったので、真剣に考えて、参加することに決めました。

るからこその失敗。
学びも挽回も、自分たち次第。起業は大変なことだらけ。

ほっしー 腹も決まって、RISEに参加することになった相原さん。入社後の流れも聞かせてもらえますか?
相原 入社後まずは、3ヶ月の訓練期間です。自分たちの場合は、ハチドリ電力に配属となり、田口の直接指導の下、営業や販促など実践を通してビジネスの基礎を学びました。
その後、7月から本格的に事業スタートです。
ほっしー いよいよですね。ちなみに何名で動いているんですか?
相原 ぼくたちは5人で始めました。それぞれマレーシア、フィリピン、タンザニア、インド…と、注目している社会課題や地域も別々で刺激的なメンバーです。
本来は3人一組で実施するのですが、コロナの影響があり、まずは国内で動けるぼくの事業をみんなで進めることになったんです。
ほっしー 心強いですね。社会起業家志望者5名のチーム。ちなみに、ふと気になったんですが、事業売り上げが立つまでのお給料ってどうなるのか、聞いてもいいですか?


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RISEの4つの特徴

相原 お給料もちゃんと出ます。…というか、事業資金の1,000万円の中に、ぼくら5人分の人件費も含まれているんです。事業が何も動かないと人件費だけで毎月150万円程の予算が消えていく。これは恐怖でした。
ほっしー リアルですね。まさに起業。焦ったでしょう。
相原 そうですね。メンバー全員が見れるシートに残高を表示できるようにして、人件費も日割りで出して、毎朝みんなで確認していました。特に最初の2ヶ月半は情報収集に使っていましたから、予算は減る一方。早く事業を収益化しないと続けることもできなくなってしまう。
ほっしー ちなみに、この時はどんな事業を想定していたんですか?
相原 当時は、日本に来たばかりの実習生に向けて、相談窓口をつくろうとしていたんです。ただ、収益性が高くないことに気づき今後を考えていた時に、あるニュースを見たんです。コロナの影響で、大量の実習生が失職してしまっている、と。


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残り予算が大きく表示されるスプレッドシート

ほっしー 8月後半くらいですか。ありましたね。
相原 これを見て、彼らの再就職を支援できればいいんじゃないかと考えました。緊急性も高く、収益化も早いのでは、と。そこで、あっせん先を探したんです。コロナの影響で職を失った実習生を雇ってもいい、という企業を4社ほど見つけました。
ほっしー 動きが早いですね。それがうまくいったんですか?
相原 実はうまくいかなかったんです。実習生側が全然集まらなくて。何が起きているのかと直接実習生や管理組合に確認を取ったところ、実は彼らは一度は失職してもすぐに再就職できていることがわかりました。
ほっしー なんと。問題だと思っていた事態は、実は存在していなかった。
相原 それで自分たちでも改めて徹底的に確認に動いたんです。800ほどの管理団体に電話をかけて実態を聞いていきました。
ほっしー 800!5名で動いたとしても1日数十件は電話したんですね。


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お互い真剣だからこそ、素直に意見を出し合える

相原 一週間以上かかりました。それで退職者が本当に再就職できていることを確認できて。一次情報の大切さを思い知りましたね。早く売り上げをつくらなければ、という焦りから、ニュース情報の確認をとらず決めつけてしまっていたんです。
ほっしー ニュースのその後があったんですね。
相原 いい勉強でした。その後は一ヶ月ほどコツコツと管理団体へのヒアリングを重ねました。そこから見えてきたのが、実習生の日本語能力が入国以降伸びていない、という課題です。その結果、現場のスタッフとの会話も少なくなり、仕事も任せづらく、関係性が築きづらい現状がある、と。
ほっしー 今度は確実な情報をつかんだ。
相原 その課題に向けて、12月からオンライン日本語授業をはじめたんです。実習生の受け入れ企業を対象にして、まずは無料体験をつけて。今20名ほどの生徒がいます。さらにつながった管理団体から、入国後のオンライン研修を手伝ってくれないか、と言っていただけて。

 


でも、自分の力が追い付いてくる。

相原 そのオンライン研修のおかげで、事業開始から6ヶ月たって、ようやく売り上げがつくれました
ほっしー 紆余曲折の中で、いよいよ売り上げまでたどり着いたんですね!
相原 とはいえ、まだ継続的な事業にはなっていません。予算も半分程になっているので気は抜けませんが、3月までに生徒数を60人に乗せられれば事業として成り立つ見込みです。
ほっしー 見えましたね。まだプログラム途中ではあると思うのですが、これまでを振り返るとどうでしたか?起業に必要なスキルは身に付きましたか?
相原 ぼくらも課題解決のために動いているつもりで、成長のためにやっているとは思っていないのですが、それでも、むちゃくちゃ勉強になります。たとえば、先ほどの一次情報を軽視して失敗した話。あれもRISEでなければ途中で止められてるんじゃないでしょうか。でも、いい意味で任せてくれていたから、自分たちの身をもって深い学びになったと思うんです。


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実習生たちとのオンライン授業

ほっしー 自分たちの責任で動いてこそ、ですね。
相原 はい、本当に壁にぶつかったときは田口に相談できるんですが、基本的に細かいところからすべて自分たちで決めて動けたので、決める経験も豊富に積めました。
ほっしー なかなか新卒でそこまで任されることもないですよね。
相原 RSIEでは、新卒とはいえメンバー全員が本気なんです。彼らと真摯に切磋琢磨できたのが良かったです。がむしゃらなタイプ、俯瞰して見れるタイプ、サポートできるタイプ。それぞれタイプが違うので、学び合うことが多くて。
ほっしー 同じ目線で話せる仲間がいるのはいいですね。
相原 自分を含めて、適材適所で動く、ということも大事だと感じましたね。同じ仕事でも、得意な人がやれば質も高くて早くできる。そのためにも、一緒に働く人のことは深く理解しないといけない。そんなこともわかりました。


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各事業の専門家にも直接相談できる

ほっしー 事業をつくるポイント、みたいなものも掴んだんでしょうか?
相原 最初から大きな課題に取り組むのではなく、目の前にいる人の確かな課題解決から始める、ということでしょうか。そこから小さくスタートして、徐々にコミュニケーションを取って広げていく。よく言われていたことではあったんですが、身に染みて理解できました。
ほっしー たしかに。これまでのお話を聞いていると、本当に大切さがわかります。
相原 もう一つ、成功の扉は重いんだな、ということ。これもボーダレスの中でよく言われているんですが、一つの課題を解決するためには、粘り強くいくつもの手法を試すべきなんですよね。
ほっしー そこも体験からの学びですね。
相原 本当にこのプログラムをやってよかったと思います。1,000万円という予算、チームで取り組むという形式、任される範囲。このすべての要素があったからこそ、ここまでの学びにつながっていることを、今実感してます。


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腹の底から話合える同期

ほっしー 一ついいですか?社会課題は、ビジネスで解決した方がいいんでしょうか。
相原 実は、ぼくがお世話になったNPOは、寄付金を打ち切られ、継続できなくなってしまったと聞きました。そこには様々な事情がありますし、NPOやNGOにしかできない分野もあるので、ビジネスが最良というわけではありません。
ですが、継続する仕組みづくりを学ぶことは、社会課題を解決しようとする人にとって重要なことだと思います。
ほっしー 自立できるのは大切ですね。起業を考えている方に向けて一言いただけますか?
相原 起業って最初は不安だと思うんです。でも、徐々に自分の力が仕事が求めるレベルに追い付いてくるのを感じます。「起業する力は起業しないと…」という言葉も、今では理解できます。
ほっしー ありがとうございます!RISEに参加したい方はどうすれば?
相原 RISEにご興味を持たれた方は、こちらからエントリーできます。
より詳しく知りたい方は、2/15(月)に僕や他のRISEメンバーが参加するオンラインイベントを開催しますので、ぜひそちらにご参加ください!

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