日本への留学をきっかけに「スキルがなくても貧しくても夢を持てる社会」をバングラデシュで作りたいと決意したボーダレス・バングラデシュ代表のファルク。
事業にかける真っ直ぐな想いと、人生をかけてバングラデシュの課題を解決したいという壮大なビジョンを語ってもらいました。

 

今回話を聞いたのは・・・

  photo   代表取締役社長 社長
バングラデシュのダッカ大学を卒業後、日本に留学。「バングラデシュの貧困問題や様々な社会問題を解決する」という夢を持ち、2011年ボーダレス・ジャパンへ入社し、BLJ Bangadesh Corporationを立ち上げる。
 

 

photo   聞き手 ライター 
人材系企業にてwebマーケティングの修行中。そのスキルでいつかソーシャルビジネスに携われたらとライターを兼業中。
 

社会の枠組みから堕ちてしまう人"だけ"を
雇う工場を作りたい。


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みなみ   ボーダレスグループは世界13カ国で37事業を展開していますが、そのうちの4つがバングラデシュを拠点としているんですね。どんな事業があるのかを教えてもらえますか?
     
ファルク   はい。ボーダレス・バングラデシュには4つの事業があります。
(1)革製品のOEM受注を行うBLJ Bangladesh Corporation
(2)アパレル製品のOEM受注を行うBLJ Apparels Ltd.
(3)あらゆる製品の検品事業、Bangladesh Leather Inspection
最後に(4)革靴を製造するBLJ Footware Limited.です。
     
みなみ   ビジネスレザーファクトリージョッゴの革製品、
Haluulalaのベビー服もバングラデシュで作っているんですね。
     
ファルク   そうですね。どれもバングラデシュの貧困問題や児童労働問題を解決するために立ち上がった事業で、はじめは数名しかいなかった工場のメンバーも、今では800名以上が働いています。
     


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バングラデシュの風景

みなみ   800名も!ボーダレス・バングラデシュとしては、どんな社会を目指しているのでしょうか。
     
ファルク   「スキルがなくても貧しくても夢を持てる社会」というビジョンのもと、バングラデシュの貧困層の就労問題の解決に取り組んでいます。
バングラデシュでは失業率が18.5%と高い状況です。貧困層や障害を持つ社会的弱者は特に就職が難しく、物乞いをして今日を生きる為に生きている人たちがまだ沢山います。
僕は、普通の会社では雇われない(社会の枠組みから)堕ちていく人たちの為に雇用を生みたかったんです。
     
みなみ   まさにソーシャルビジネスですね。そのアプローチとして、革製品やアパレル事業になったのは何故なんですか?
     


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ファルク   アパレル産業においてバングラデシュは世界で2番目に大きい事業です。
また、アパレルでは、作業工程が複数に分かれていて、更に手作業が多いという特性があったんです。
つまり沢山の雇用を生むことができるという意味で、まさに僕らの目的にあった産業だと思いました。
     
みなみ   なるほど!そうですよね。ただその反面で、既に多くの企業も参入してはいなかったですか?
     
ファルク   そうですね。ただ、他の工場を視察したところ、労働環境が劣悪であったり、いわゆる"普通の人"しか雇用していない現実を目にしました。
普通の工場では雇われない人を雇い、労働環境が整った工場を作る為には、既に多くの工場があったとしても、僕らの工場を建てる必要があると決めました。
     

他の工場にはない、
あらゆる人の活躍を可能にする仕組みとは?


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みなみ   ところで、ボーダレス・バングラデシュでは特殊な採用をされていると聞きました。どんな特徴があるのでしょうか?
     
ファルク   普通の工場では雇うことのできない本当に困っている人だけを雇うと決めています。
具体的には主に、障害のある人・シングルマザー・親のいない子供・女性などに分類できるのですが、ここに当てはまらない人もいます。
     
みなみ   例えばどんな人ですか?
     
ファルク   例えば、こんな人もいました。地方出身の20前後の女性で、地方から出稼ぎのためにダッカに出てきたけど、
容姿が美しくないためにどの工場にも雇ってもらえないと工場の前で僕に直接訴えてくる女性がいました。
こういった人は中々見た目で「何に困っているのか」が判断つかないため、僕の工場でまずは絶対に話を聞くということをしています。
     


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みなみ   何らかの理由で他の工場では雇われなかった方々は(一般的な人を雇うことに比べて)パフォーマンスに差があったりはしないでのしょうか?
     
ファルク   人によって始めは当然あります。
ただ、彼ら彼女らの「一生懸命さ」は他の誰よりも違うと思います。
やっと得られた機会を大事にする気持ちがあるので、人一倍努力しようとしてくれるんです。
     
みなみ   そうなんですね!そんなに条件が良ければ、きっと人気なのではないですか?
     
ファルク   はい。実は、毎日工場の前に20-30人くらいが雇ってほしいと待っている状態が続いています。
でも、全員を雇うことはできないので、話を聞いた上で2-3人に絞って採用しているという状況です。
1人でも多く雇えるように、1日でも早く雇用を増やしていきたいです!
     


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みなみ   何らかの障害や事情を抱えた方でも活躍できるように工夫していることはありますか?
     
ファルク   彼ら彼女らが努力できる環境を、ハード面の整備とマネジメントで整えるようにしています
     
みなみ   具体的にはどんなことですか?
     
ファルク   ハード面では、立って仕事ができない人には座ってできるように整備したり、
障害のある方でも働けるように工場内にスロープを設置したりしています。マネジメントに関しては、チーム単位を細かく分け、
密なコミュニケーションを取ることでスタッフ同士の距離がなるべく近くなるよう意識しています
それによって、欠勤などの管理をするだけでなく、家庭内の問題や女性特有の病気などの言いづらい問題も言いやすいように、
チームリーダーが「僕をお兄ちゃんだと思って。僕にも妹がいるからわかるよ。」というようにコニュニケーションを取ることで何でも言いやすい環境を作っています。
     


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みなみ   まるで家族のようですね!そのようなマネジメントをしたことで変わったことはありますか?
     
ファルク   結果として、離職率が下がりました。後は、身近な関係性になることで、自ら新人に教えるようになったり、
一丸となって目標達成を目指したり、チームで自主的に動いてくれるような動きが出てきました。
よく「他の工場で働けない人を雇ってるんでしょ」と見られがちですが、結果として良いパフォーマンスをしてくれています。
決して彼ら彼女らのパフォーマンスが悪いわけではなく、仕組みが整っているかどうかだと思います
     
みなみ   そのような仕組みと、ファルクさんのリスペクトのあるマネジメントだからこそ、みんなが活躍できるのだと感じました。
     

バングラデシュの課題を解決する
ボーダレス・バングラデシュ構想とは?


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みなみ   ボーダレス・バングラデシュの今後のビジョンや展開を聞かせてください!
     
ファルク   今後は、バングラデシュに社会起業家を増やしたいと思っています。バングラデシュの田口さん(ボーダレス・ジャパン社長)を目指します(笑)
     
みなみ   とても気になります!詳しく聞かせてください。
     
ファルク   現在4つの事業を展開していますが、もっとバングラデシュの課題を解決する事業を増やしていきます
僕が日本に留学した際に、バングラデシュは世界でも最も抱える課題の多い国だということを感じました。
生きている限り、どれだけ課題を減らせるか分かりませんが、僕の人生をかけて、少しでも解決できるように事業を創っていきたいです。
     


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バングラデシュの工場でメンバーに向かって話す田口とファルク

みなみ   大きなビジョンですね。既に具体的なプランはあるのでしょうか?
     
ファルク   いずれは100個程の事業をボーダレス・バングラデシュから生み出したいと思っています。
そのくらいでないと今の山積している課題は解決しないからです。
できることなら、来年中に2つほど新規事業を立ち上げたいと考えています。
     
みなみ   早いですね!既に事業の構想はあったりするのでしょうか?
     
ファルク   できればFoodSecurity(食糧安全性)かEducation(教育)に関わる分野での事業を起こしたいですね。
なぜなら、どちらも人が生きる上で欠かせない分野です。雇用があり食べるものが安全であること、その次に教育システムを整えることが必要だからです。
     


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みなみ   実際に起業家候補はいるのでしょうか?
     
ファルク   いえ。既に採用活動はしているのですが、中々思ったような人材に出会えていないという状況です。
     
みなみ   そうなんですね。どんな人なら採用したいですか?
     
ファルク   やはり起業家となると生半可な気持ちではできません。厳しい瞬間も沢山あります。
そんな中でも諦めずに挑戦し続けられるような、「絶対に自分がこの課題を解決する」という強いビジョンがある人を採用したいですね。
     
みなみ   なるほど!ちなみに、起業家の条件として、国籍は関係ありますか?
     
ファルク   国籍は関係ないです。バングラデシュ人でも、日本人でも大歓迎です。
     


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みなみ   ボーダレス・バングラデシュのこれからがとても楽しみです。今度ボーダレストークスにも出演されるそうですね?
     
ファルク   はい。12月15日(火)の回に出演します。バングラデシュのリアルなお話もします。
このマガジンを読んで「チャレンジしてみたい」「もっと話を聞いてみたい」と思った人はぜひ話を聞きに来てください。お待ちしています!
     

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最後までお読みいただきありがとうございました。

今回のインタビューは、ボーダレス・ジャパンが月に2回発信しているボーダレスマガジンのコンテンツです。
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