
新潟県湯沢町を拠点に、全国の「消滅可能性都市」をひとつでも減らすべく、さまざまなチャレンジをしているきら星。 コロナ禍で「住む場所」や「働き方」に対する価値観が大きく変わり始めている今、11/11(火)放送予定の「ガイアの夜明け」でも取り上げられるなど注目されています。 そこには、ただの移住相談だけではない、“人を動かす”ための多角的な戦略がありました。 |
||
![]()
|
![]() |
![]() |
ソーシャルビジネスに大きな可能性を感じて、ボーダレスグループにも興味を持つ。ふだんは広告のコピーライターとして活動中。 |
うたみな | モヤさん、こんにちは。きら星の事業のひとつである「お試し移住」が“ガイアの夜明け(テレビ東京系)”で取り上げられるそうですね? | |
モヤ | おかげさまで新潟県湯沢町での「お試し移住」という短期賃貸住宅事業が、今年の7月ぐらいに話題になりまして。日経新聞とかにも取り上げてもらえて、10月にも10組の方に利用していただけました。 週末を過ごす2拠点居住用としての利用だったり、コロナ禍でのリモートワーク用だったり用途の幅はありますが、利用者から移住を決めた方も出てきました。 |
|
うたみな | 湯沢町への移住促進をさまざまなアプローチで取り組まれています。 | |
モヤ | たまたま“観光立町”を掲げている湯沢町だからリゾートマンションという地域資源を活用した「お試し移住」をしています。 | |
うたみな | リゾートマンションで短期移住!やってみたい! | |
モヤ | おもしろかったのは、この取り組みをいっしょに推進してもらった東京の芝浦工業大学建築科の学生さんが湯沢町をいたく気に入ってしまって、 「ここで卒業設計をやる!」と言い出して(笑)。実際、湯沢町に半年間お部屋を借りて住んでいます。 |
|
うたみな | いま話題のワ―ケーション!というかスタディケーション!? | |
モヤ | ただ、きら星としてはコロナ禍よりずっと前から「地方でのリモートワーク推進」をおすすめしてきたので、事業の筋道がコロナですごく大きく変わった、ということはないですね。 | |
うたみな | いわゆる「増田レポート」で提唱された“消滅可能性都市”に衝撃を受けてきら星を創業されたそうですね。 | |
モヤ | そうですね。地方の過疎化問題は日に日に深刻化しています。2040年までに「どれだけの手が打てるか?」と考えた時に、これはもう「まったなし!」だなと。 | |
モヤ | この過疎化問題に最速で解決策を打ち出すには、行政だけではなく民間でもやれることをやったほうがいいし、私がやれることは“人の移動”だと思ったのが、きら星を創業したきっかけです。 | |
うたみな | 私も滋賀県の田舎出身なので、過疎化の深刻さ、骨身にしみてわかります。ふるさとが消滅するかもしれないっていう。 | |
モヤ | きら星は地方自治体の「移住促進プロフェッショナルパートナー」という位置付けなのですが、 いつも、地域の資源や特色を鑑みて「そのまちが消滅しないで済むにはどうあるべきか?」を戦略的に考えています。 なので「移住相談」や「お試し移住」「コワーキングスペース(きら星BASE)」等の事業はあくまでも戦術のひとつです。 例えば、そのまちに産業を生み出すことや、そこに住んでいる人たちに「まちに対する誇り(シビックプライド)」を持ってもらうこと等も、私たちの事業領域に含まれます。 |
|
うたみな | 自治体さんや地域おこし協力隊さんとの関係づくりも大切ですね。 | |
モヤ | 地域のみなさんの協力なしでは絶対できないですし、「きれいな絵を描くだけ」のコンサルタントにはなりたくないですね。
現地でいっしょに泥臭くやっていくことがなにより大切だと思ってますし、 |
|
うたみな | モヤさんのお話を聞いてるだけでもわくわくします。全国展開も視野にあるそうですね? | |
モヤ | やっぱり移住って人生の大きな岐路なので、ひとつひとつの相談に重みがあるんですね。 ひとくちに「自然があるところで暮らしたい」という人でも、それこそ“ポツンと一軒家”みたいな暮らしがいい人もいるし、 とはいえ日常の買い物には車で15分で行きたいという人もいるので、解決策も十人十色です。 そういうこともあって、できるだけさまざまな地域にネットワークを広げて、どんな相談にも適切に対応できるような「引き出し」をたくさん持っておきたい、というのも全国展開の動機のひとつです。 |
|
うたみな | すごく根本的な質問ですが、なぜ、地方から人は出て行ってしまうのでしょう? | |
モヤ | 原因のひとつに、地方側に、やりがいもあって収入も確保できる仕事がないことが挙げられると思います。 つまり私は、「移住促進=産業創造」だとも思っているんですね。 |
|
モヤ | 実際、産業づくりについても各地からご相談をいただいています。例えば、ローカルソーシャルベンチャーを立ち上げたい、だとか。 あと、その地域に無いスキルをもった都市圏で働いている人をマッチングさせたり。 |
|
うたみな | 例えば、どんな方が? | |
モヤ | いままさに湯沢に移住準備中のある男性は、 「新潟にUターンしたいんだけど、今は東京の大手企業でそれなりに収入もやりがいもあるので逡巡している。どうしたらいいか?」という相談をいただいたので、 スキルの内容や今後チャレンジしたいことをお聞きしたり、ご家族も含めて「どんな生き方をしていきたいか」をじっくりヒアリングしました。 結果的に、特に求人はしてない地元企業さんだったんですが、「こんな高い専門スキルがある人がUターンしたがってるから」ということで、 その人の能力が最大限に生かせる新しい部署をその会社内につくってもらって。 |
|
うたみな | なんと、そこまで! | |
モヤ | あとは、お子様の就学環境とか。そういう不安をひとつひとつ聞いて解決していって、いよいよ移住につながりました。 | |
うたみな | 産業づくりや仕事づくりは、やはり、その土地その土地の「強み」を見つけるところからのスタートですか? | |
モヤ | 日本は四季がはっきりしていたり、地形も土地ごとに違った様相で。 そういう“風土の独自性”が私は地方の最大の魅力だと思っていて、そこから生まれる文化や特異性も面白い。 それを過疎化で無くしてしまうのは日本として本当にもったいないと思います。私の危機感はそこですね。 |
|
モヤ | 産業も同じで、風土や文化によって全然違うので。 例えば湯沢町ですと観光業と土建業が全体の半分以上を占めているというエッジ(特異性)があります。なので、そういう業種に興味がある移住者に狙いを絞ってリクルートするという戦略もとれますし、また逆に考えると、その業種以外のところが手薄でブルーオーシャンであるとも言えるので、移住者の方に「起業しませんか」というご提案もできます。 その土地の「強み」もしくは「弱み」にあわせて「仕事づくり」や「働き方」をデザインしている、という感覚ですね。 |
|
うたみな | 直近で、なにか新しいビジネスをつくられた例は? | |
モヤ | 商品やサービスではないですが、近隣市町村できのこ工場を経営されてる社長さんが「工場を拡張したい」とおっしゃっていたので、「じゃあぜひ湯沢町に」ということで工場誘致をしました。 | |
モヤ | きのこ工場の社長は工場だけじゃなくて、「観光立町ならではな観光きのこ園やきのこカフェをつくりたい」という夢を持っておられるので相談を聞いたり、その分野に明るい人をつなげたり。 | |
うたみな | きのこカフェ、行ってみたいです(笑) | |
モヤ | きのこ工場には10人分の新しい雇用が生まれます。 例えば、きのこカフェの立ち上げをやってみたい人を全国から募集してもおもしろいし。 いろんな情報をつなぎあわせて産業や雇用をつくることが、ひいては移住にもつながると考えています。 |
|
うたみな | ポイントは、まちの中を活性化していくことなんですね。 | |
モヤ | “ガイアの夜明け”で取り上げてもらう予定の「お試し移住」も、中を活性化していく活動の一例でして、いかに地域資源を使って魅力的な「旗」を何本も立てていけるか。 立てた旗がおもしろくて人が注目して集まってくれたら、それがまちの新しい活力になると思うし、それに魅せられたひとが移住してきたら大成功ですね。 |
|
うたみな | 活性化といえば、きら星でも事業の成長を加速させる創業メンバーを募集中のようですね。 | |
モヤ | そうなんです。 新潟にゆかりのある方はもちろん、地方都市に魅力を感じている方や首都圏以外の新しい働き方に興味がある人は、ぜひ11月11日の説明会に参加していただきたいと思います。 |
|
うたみな
私は仕事柄、地方の情報発信やブランディングにかかわることも多いのですが、ローカルにブランディングは必要でしょうか?
モヤ
ブランディングは絶対必要だと思います。特に、外への発信だけではなく、中の人たちへの誇り(シビックプライド)の醸成。
私も湯沢町に来た当初は、「よく来たね、こんななんも無いまちに」ってよく言われたんですが、そんな言葉が出るのはブランディングができてないからですよね。
ちゃんと中の人たちに「我が町」への誇りがあれば、自然と、暮らしや産業や情報発信は活性化していくと思います。
うたみな
日本中の地域で、「このまちに住んでよかった」という意識がキラキラ輝きはじめたら素敵ですね。
モヤさん、未来につながるお話をありがとうございました。
|
![]() |
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回のインタビューは、ボーダレス・ジャパンが月に2回発信しているボーダレスマガジンのコンテンツです。
マガジンでは、ボーダレスグループの最新イベント情報や限定コンテンツ・クーポンの発信などがありますので、ぜひご登録くださいね。
▶ボーダレスマガジン登録はこちら。
▶バックナンバーはこちらから。