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日本、韓国、台湾に100以上のハウスをもつ多文化共生シェアハウス「ボーダレスハウス」。コロナ時代を経て、新たな可能性が見えはじめたシェアハウス事業の未来について、代表の李さんに聞きました。 |
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取材や広告制作をしつつ、奄美大島で塾を経営。デンマーク留学帰りの妻から、サステナブルな子育てを仕込まれ中。 |
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ほっしー |
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李さん、こんにちは。今日はボーダレスハウスのこと、色々聞かせてください。 |
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李 |
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はい、よろしくお願いします! |
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ほっしー |
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では早速。ボーダレスハウスは「人種や国籍関係なく、お互いを認め合える真の多文化共生社会へ」をビジョンに掲げていますよね。その実現手法を伺えますか? |
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李 |
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はい、シンプルにお伝えすると、外国の方と現地の方(日本のハウスの場合は日本人)がひとつ屋根の下で共同生活をするというシェアハウスサービスになっています。 |
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ほっしー |
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おもしろいモデルですね。共生体験で理解を深める。 |
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李 |
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そうです。ともに暮らすことで、お互いの文化交流を活性化させたい。その経験をした人を世の中に一人でも多く輩出したい。そんな想いでやっていて、これまでに1万3000名の方が入居されました。 |
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日常生活を共にしてこそ理解が深まる
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ほっしー |
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ちなみに、旅行や交流イベントではダメなんですか? |
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李 |
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ぼくらもよくそこを考えるんですが、日常生活って大事で。日々ふとした会話を重ねたり、お互い素の状態で触れ合うことで、相手への深い理解や尊重ができるようになると考えているんです。たとえば国籍や人種で一括りに判断するんじゃなくて、最終的にはその人次第だよね、っていう。 |
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ほっしー |
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なるほど。一緒に暮らすとなると一筋縄ではいかないことも多そうです。 |
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李 |
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入居した方々が将来親になったときのことも考えるんです。濃い異文化体験を経験していれば、こどもたちにいろんな文化の人と触れ合うことは大切だよって、価値観として伝えてくれるんじゃないかって。 |
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ほっしー |
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将来のことまで!あ、だから18~35歳までの若者に入居者を絞っているんですね。 |
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毎日の生活が、かけがえのない思い出に
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ほっしー |
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実際、入居した方は変化されるんですか? |
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李 |
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ひとつ、韓国の方の話をしましょうか。地方から就職活動のためにソウルに来てボーダレスハウスに入居した女の子がいたんです。入居当初は日本への興味はなくて。そこにハウスエクスチェンジという交流プログラムを使って、日本人の入居者さんがショートステイに来たんです。 |
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ほっしー |
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はい。 |
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李 |
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そこで一ヶ月一緒に過ごすうちに日本を知って、興味を持つようになったんです。今後は逆に自分がハウスエクスチェンジに参加して日本に来たんですよね。 |
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ほっしー |
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おお!それは大きな変化ですね! |
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李 |
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いざ住んでみたら日本を好きになって、帰国後、きちんと準備をして正式に日本留学に来ることになったんです。しかもその後、日本で就職も決まりました。 |
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ほっしー |
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そこまで!人生変えましたね! |
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ハウスエクスチェンジを機に日本への留学を決めた韓国人入居者さん(左)
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李 |
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その子は韓国でも日本でもいいコミュニティをつくってくれています。こういうストーリーが、ぼくらの知らないところで1万通り以上ある。これがこの事業の価値ですね。 |
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ほっしー |
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これはほんの一例なんでしょうね。 |
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李 |
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はい、一つの出会いが一人の人間の価値観を変えて、今後も続くつながりをつくってくれる。 |
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ほっしー |
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素敵な価値です。 |
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李 |
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海外の方とのシェアハウスは最近増えてきましたが、こういう価値を求めて、しかも海外展開をやっているところって他にはないんですよ。2008年にぼくらがはじめるまでは、日本でもシェアハウスではなくてゲストハウスって呼んでましたから。 |
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ほっしー |
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では、この分野ではボーダレスハウスがパイオニアですね。そういえば、入居者だけじゃなく、ご近所にも影響ってあるんですか? |
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李 |
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地域との交流は、まさに今力を入れている分野です。京都の上賀茂で新しくボーダレスハウスをはじめることになったんですけど。 |
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ほっしー |
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上賀茂。いい地域ですね。閑静な。 |
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李 |
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はい、そこがポイントで。閑静だからこそ、海外の方が住むことを警戒されるのでは?という懸念がありました。 |
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ほっしー |
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あるあるですね。ご近所の年配の方々だと英語話せなかったりするし余計に。 |
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李 |
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でもぼくたちはそういう社会を変えていきたい。逆に、地域との関わりがつくれれば、それは多文化共生社会になる。それで、上賀茂はひらかれたハウスづくりに考え方をシフトしたんです。 |
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ほっしー |
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ええ。どうでした? |
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李 |
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うまくいっていますね。定期的に地域の方を家に招いて中を見てもらって、お互いを知り合って。これがシンプルですけど大事かな、と。 |
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地域の方を招いての、和菓子づくりワークショップ
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ほっしー |
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地域に溶け込む姿勢、大事ですよね。 |
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李 |
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海外の方ってご近所の方々からのクレームが多い傾向があるんですけど、それって彼らのことを知らないことも原因の一つなんですよね。知らないからネガティブな妄想が掻き立てられて、怖くなってしまう。 |
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ほっしー |
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一度食事を一緒にして名前と顔がわかれば、逆にお世話を焼いてくれたりもしますよね。 |
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李 |
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そうです、分かり合おうとする姿勢がうまれるんです。だからぼくたちは、ボーダレスハウスを舞台にして、海外の方と地域の方たちが知り合う機会をつくっていかなければいけないな、と。これはもう使命なんじゃないかな。 |
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ほっしー |
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使命レベルで感じてらっしゃる。それができれば、地域にとってもボーダレスハウスがあることが価値になる。では、上賀茂は今もいい状態なんですね。 |
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頻繁に交流イベントが開催される、ひらかれたハウスへ
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李 |
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今では、町内の運動会にも参加させてもらうようになりました。若い子が多いからと期待されてて。運動会に参加してる他の地域からもうらやましがられているみたいです。 |
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ほっしー |
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入居者の皆さんも嬉しいでしょう。 |
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李 |
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先日オープン1周年記念パーティがあったのですが、そこに地域の方にも参加いただきました。 |
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ほっしー |
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地域にひらかれたシェアハウスになりましたね。 |
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李 |
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ぼくらのサービス設計は住んでもらうことが前提です。とはいえ、もっと多くの方にこの価値を知っていただきたい。すると、ボーダレスハウスに住まなくてもできることを本気で考えなきゃいけなくなってきているんです。 |
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オープン一周年記念パーティには、地域に住む小学生も参加
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ほっしー |
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では今後、集まったり、体験したり、発信のための場所になっていくかもしれない? |
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李 |
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そうです。外国人問題とか多文化共生に関心がある方は多くいると思うんですが、じゃあ当事者に話を聞いたことがあるか、となると意外とその経験はない方も多くて。 |
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ほっしー |
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そうですね。 |
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李 |
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その点、ボーダレスハウスは直接の交流体験を生んでいる。しかも収益を出して持続可能な形で。これをきちんと発信していくことは大事だな、と思っています。 |
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ほっしー |
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何か具体的な発信のイメージはあるんですか? |
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李 |
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実は今年の3月から、オンラインセッションを続けているんです。BLM(Black Lives Matter)問題をきっかけに、差別偏見のない多文化共生社会をつくるためにぼくらも何かをしなければ、と思って。 |
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ほっしー |
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はい、あの時期に。 |
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李 |
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ちょうどコロナで留学に行けない子たちが出はじめていたので、その子たちを応援したい気持ちもありました。 |
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ほっしー |
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オンラインセッションはどんな内容なんですか? |
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李 |
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日本にいながら留学経験ができないかな、という趣旨で人を呼んで話しています。
日本の視点もあれば、海外の視点もある。なんとなく知ってはいるけど曖昧なことを、一度深く考える機会をつくってみよう、というのがスタートでした。 |
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ほっしー |
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興味深いですね。人はどう集めているんですか? |
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李 |
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なんせ、様々なバックグラウンドを持つ方がこれまでに1万人以上入居してくれていますからね。 |
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ほっしー |
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たしかに。それはすごいリソースですね。 |
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李 |
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しかも、ボーダレスハウスに入居している方々って、交流意欲が高いんです。家賃が安かったり、内装が豪華だから選んだ訳じゃなくて、多文化共生を体験したくて入居してくれた方々ですから。 |
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ほっしー |
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そういう方が集まれば、濃い交流体験ができそうです。 |
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ほっしー |
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オンラインセッションをはじめて半年ほどですが、李さんに変化はありましたか? |
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李 |
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これまでは、住む家を準備して、異文化同士の出会いを生む、交流体験をつくる、ということが仕事でした。これからは、長期間の入居を前提としなくでも、ぼくたちの世界観に触れられる体験をつくっていけないかな、と考えるようになってきました。 |
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ほっしー |
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たとえば国内で留学に行ったかのような交流体験ができれば、おトクだし、気軽ですね。 |
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李 |
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その流れで、インターンシップ事業をされているタイガーモブさんと提携したプログラム(ボーダレス多文化共生キャンプ)を組んだところなんです。
一ヶ月ほどボーダレスハウスで異文化交流体験をし、自身の成長や価値観の変化を得る、というものです。 |
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ほっしー |
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大学生だったらぜひ参加したい…! |
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プログラム付の大学生活応援入居キャンペーンも実施中!
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李 |
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コロナが広まって、世界の状況って大きく変わってきました。
留学に行きたくても、行けなくなってしまった方が世界中にもたくさんいます。直接濃い異文化に触れることが難しくなってきています。 |
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ほっしー |
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はい、オンラインは便利ですけど、直接体験と比較すると埋められない差はあります。 |
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李 |
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そんな時代だからこそ、多文化共生というボーダレスハウスの価値を見直してみたいと思うんです。たとえば多文化共生をすると、表面上だけのやり取りでは越えられないことが出てきます。 |
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ほっしー |
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やっぱり、ありますよね。生活を共にすると避けられない問題に直面することが。 |
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李 |
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一緒に住むことっていうのは、そこをどうにかして折り合いをつけていくことだと思うんです。そして、その経験を通して得られるものって、とても大切なもので。 |
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面倒くさくて面白い毎日の中から、新しいジブンが見つかる
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李 |
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多文化共生ならではのリアルなコミュニケーションを体験できれば、そこで価値観が磨かれて、つよいつながりが得られる。
言わば、自分というOSがバージョンアップできる。これを今後はきちんと伝えていきたいと考えています。 |
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ほっしー |
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交流というコンテンツだけではなく、その結果としての変化を伝えるんですね。 |
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李 |
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実は、そんな考え方をまとめた特設ページをつくってみました。ぼくたちとしてもこの価値を提供できるように、体験を設計する、というスキルを磨いていかないといけません。 |
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ほっしー |
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すると先ほどのインターンプログラムも… |
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李 |
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はい、「異文化交流」を超えた「経験価値」の提供に向けた一歩です。これから、この価値を伝える取り組みを続々と発表していく予定です。まずは下記特設ページを見てみてください。 |
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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