ボーダレスグループの中でも数少ないBtoBのビジネスモデルのため、一般の皆さんにはなかなか事業内容が見えにくいボーダレスファーム
今回はボーダレスファーム社長の川北奈生子(以下、なこすけ)に、ミャンマーの現地スタッフとの関係や、現在試作中の新サービスについてお聞きしました。 
今回話を聞いたのは・・・

photo ボーダレスファーム 代表取締役社長 社長 川北奈生子
1993年生まれ。福岡県出身。大学在学中と卒業後半年間はフィリピンのNGOで活動。2016年ボーダレス・ジャパンに入社。AMOMAに配属されたのち、工場衛生管理担当としてミャンマーに赴任。2018年ボーダレスファーム代表取締役社長に就任。

photo 聞き手 スタートアップスタジオ ふみこ
AMOMAよみものライターを経て、ボーダレス・ジャパンに入社。裏方として様々な事業と関わる。埼玉在住、1児の母。


ふみこ ボーダレスファームの契約農家さんというのは、具体的にはどんな方々ですか?
なこすけ 一緒に仕事をする農家さんを選ぶうえで、私たちが大事にしているポイントが2つあります。
1つ目は、周りと比べてより厳しい状況にある人
私たちの事業モデルはハーブを育ててもらいそれを買いとることですが、一人一人にじっくり向き合うので軌道に乗せるまでとても時間がかかります。
なので優先順位の高い人から入れていくことを意識しています。
ふみこ そういった状況の農家さんは、どのように見つけるんですか?
なこすけ 事業の立ち上げ当時はミャンマーの中で貧困の地域はどこだろう?という形で広く探していました。
現在は「必要としているハーブが育つ地域」の中で、政府の方や村長さんたちに一番困っている村を聞いて、そこに話を聞きに行くようにしています。


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リンレイ村の契約農家さん

ふみこ 2つめのポイントはどんなことですか?
なこすけ 相手にやる気があるかということです。今の暮らしを本気でどうにかしたいと思っていなければ、一緒にやっても上手くはいきません。
村によっては様々な理由で外部の人と関わりたくないと考えている所もあるので、ウェルカムじゃない場合は手を引きます。こちらも一緒にやりたいと思っているし、向こうもそう思っている。
結婚のプロポーズのように、一生一緒にやっていくという覚悟で契約します。
ふみこ 小さな村に言わばよそ者が急にやってくるという状況は、アウェー感がすごそうですね。


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なこすけ そうですね。でもミャンマー人スタッフのコミュニケーション能力の高さにプラスして、(ボーダレスファームの拠点がある)リンレイ村の農家さんが話し合いの場に同席してくれたりするんです。
怪しく見えるかもしれないけど、こいつら本気で村のことを考えているよ」って農家目線で話してくれたり。
ふみこ とても頼もしいバックアップですね。
なこすけ ミャンマーは民族ごとに言語が全く違うので、例えばパオ族の村だったら、同じパオ族の農家さんが行って話をするようにするとスムーズにいきます。こうした協力をいただけるのは、本当に助かっています。
ふみこ ボーダレスファームに対する信頼があるからこそ、みなさんが自然と協力してくれるんでしょうね。



ふみこ なこすけさんはボーダレスに入社してすぐミャンマーに赴任したんですか?
なこすけ 4月から半年ほどAMOMAに在籍して、翌年1月頃にミャンマーに行きました。
新しい工場の衛生管理をして3ヶ月で輸出できる体制にしてほしい、という話でした。
ふみこ その話をもらったときは、どんな気持ちでしたか?
なこすけ 私はフィリピンで事業をしたくてボーダレスに入りました。まだまだ日本で勉強することはありましたが「海外で事業をまわす経験を3ヶ月で積めるチャンス」だと思ったんです。「よし行こう!」とサラっと受けました。
ふみこ 工場を軌道に乗せるまでは大変だったんじゃないでしょうか。
なこすけ 現地メンバーには「新しい工場があと1週間でできるから、なおさん早くおいでよ!」って言われてたんです。でも行ってみたら工場があるはずの場所は何にもない更地で…今考えると冗談を言われたのかもしれません(笑)


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ふみこ 更地ですか(笑)衛生管理どころではないですね。
なこすけ もう笑うしかなかったです。土地の測量からスタートし工場が完成するまでに3ヶ月、予定していた赴任期間が終わりました。
そこから衛生管理までして帰国するつもりが、次は肝心のハーブティーの味がいまいちで…今度は味の改良です。納得のいく品質にするまで1年近くかかりました。
ふみこ 3ヶ月の予定がだいぶ延長しましたね。
なこすけ その途中でボーダレスファームの社長を前任者から引き継ぐことになったんです。社長としての次の目標が、栽培から輸出までの間で黒字化させることになりました。
農地の面積や収穫量をしっかり記録するところから始め、黒字化までさらに1年費やしました。
ふみこ 課題の連続でめまぐるしい2年でしたね。

ふみこ 現地スタッフで副社長でもあるテイさんは、どんな方ですか?
なこすけ テイさんはボーダレスファーム立ち上げメンバーの紹介で、夫のナインさんと一緒に入ってきました。
オイスカというNGOで有機農業の研修を受けていますが、保健衛生を主に勉強していました。有機農業により詳しいのはナインさんで、畑のリーダーです。
ふみこ 二人合わせると最強ですね!
なこすけ そうなんです、この夫婦が抜けたら事業が即崩壊しそうです(笑)
ミャンマーでは、他のメンバーを含めたった5人で運営しています。一人当たりの仕事量がすごいですが、皆優秀なのでなんとかなっています。
ふみこ 少数精鋭ですね。現地リーダーとしてのテイさんをどう見ていますか?


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村に向かうテイさん(右)

なこすけ 芯が強く、ビジョンを共有できる最強のパートナーだと思っています。
入社当初のテイさんは毎日畑仕事を担当していたんですが、私が社長になってからハーブの品質向上やみんなの働き方を変えていく必要が出てきました。
すべて黒字化のためです。その時に、こちらの意図を一生懸命くみとって現地のメンバーに伝える努力をしてくれたのがテイさんです。
ふみこ 変化に対して柔軟に対応する力を持っているんですね。
なこすけ まさにそうですね。もちろん初めは何度も意見が衝突しました。でも今は、私が1言うとテイさんは10理解してくれます。一歩引いたところから全体を見てくれる頼もしい存在です。
ふみこ すごい!そんなテイさんはどんな目標を持っていますか?
なこすけ 「ミャンマー中に生活に困っている小規模農家さんがいるので、この事業をどんどん拡大して、たくさんの農家さんを支えていきたい。」と言ってくれています。これからも農家さんのためにスタッフみんなで頑張っていきたいです。


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団欒するボーダレスファームのメンバーと村の人々

ふみこ なこすけさんは今は日本にいるんですか?
なこすけ 去年の3月くらいまでミャンマーにいました。2年半ほど現地スタッフと一緒にやっていましたが、ある日ふと「あれ?私いらないな」と思いまして(笑)現地スタッフや農家さんが急激に成長したので、気付けば商品となるハーブが在庫過多になっていたんです。
ふみこ 嬉しいピンチですね。
なこすけ もうミャンマーにはいなくていいから、日本に帰って在庫を売ってきてください」と、ミャンマーを追い出されました(笑)そして今はハーブをより多くの皆さんにお届けするために、日本での営業担当になってます。
ふみこ 現地の心配をしなくて良くなったのは、素晴らしいことですね。

ふみこ 商品であるハーブはどんなところに卸していますか?
なこすけ AMOMAをはじめとして国内の15社ほどにお届けしています。
ふみこ ボーダレスファームのハーブに対するお客様の評判はいかがですか?
なこすけ はい、ハーブカフェSORAさんからいただいた嬉しいメッセージをご紹介します!
「ずっと探していたおいしいタンポポコーヒーに出会えました!私たちがボーダレスファーム様のタンポポコーヒーをお店を通じてお客様にお伝えする事で、ミャンマーの農家さん達も幸せに暮らせる。
お客様にも幸せなひと時をお過ごしいただける。そんな素敵な関係性をご提供くださり本当に感謝しております。」
ふみこ ハーブと共に農家さんの想いもしっかり届いていて嬉しいですね!


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ふみこ 今後やっていきたいことはありますか?
なこすけ ハーブを原料として購入していただく場合、自分でブレンドできるなどの経験が必要でした。たくさんのハーブをブレンドするのは、初めての方にはちょっと難しいんですよね。
そこでミャンマーの農家さんのことや私たちの取り組みをもっと幅広く知ってもらうために、ブレンドしてティーバッグに入れたハーブティーも販売できるようにしました。
これまで直接お取引のなかった業界のホテルや結婚式場、一般企業にも目を向けています。
ふみこ そういった企業にはどんな提案をしていますか?
なこすけ その企業さんオリジナルのブレンドティーを作りませんか?というアプローチをしています。就活イベントで配っていただいたり、ホテルの客室に置いてもらったり。
そのオリジナル商品をきっかけとして、より多くの皆さんにハーブを栽培する農家さんのことを知ってもらえれば嬉しいです。
ふみこ プチギフトにもピッタリですし、一般的なノベルティとも差別化できそうですね!
なこすけ はい、特別なストーリーをもつノベルティとして、ご活用いただきたいです!


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ふみこ なこすけさんのTwitterに最近あがっている楽しそうな実験動画も、その一環ですか?
なこすけ 見てくださってありがとうございます!ハーブからエッセンシャルオイルを蒸留する実験をしています。日本ではSDGs、エシカル、サステナブルといった言葉に敏感な人が増えてきています。
もっと早くより多くの農家さんと契約するために、そういった人や企業と農家さんをつなぐ黒子のような存在になれればいいなと思って、新商品の開発を進めています。
ふみこ 確かに最近、日本人の意識が一気に変わってきましたね。
なこすけ ハーブに限らず商品ラインナップを増やしていきたいと思って始めたことの一つが、エッセンシャルオイルです。
今はまだ仕事というより、休みの日に遊びとして楽しんでやっていますよ。うまくいったら現地にも機械を導入して生産する予定です。
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