「助ける、助けられる」支援という構図よりも「一緒に肩を組むような」関係を求めるボーダレスリンク若手社長の犬井(以下、ともろー)。学生時代に訪れたミャンマーで出会った家族や親友と呼べる存在との対等な関係を追い求めて出会ったのはソーシャルビジネスという考え方だった。
4月16日に放送されたカンブリア宮殿でも大々的に取り上げられた熱き若手社長が、ミャンマーにかける想いや未来のミャンマー 像、求めている未来の社長像について語る。

 

今回話を聞いたのは・・・

  BORDERLESS LINK
代表取締役社長 犬井 智朗   BORDERLESS LINK
代表取締役社長 犬井 智朗
1993年京都府生まれ。大学1年時にタイ、ミャンマー国境のカレン民族難民キャンプに滞在。1年ほどの現地生活を経て、「彼らがミャンマーに帰った時に幸せに暮らせるよう、雇用を創りたい!」と起業を決意。大学卒業後、2016年にボーダレス・ジャパンに入社し、複数事業の立ち上げを経験。1年半で念願のミャンマーに移住し、ボーダレスリンク代表取締役に就任する。志は「ミャンマーにソーシャルビジネスを1000個つくること」。

 

ライター ケイスケ   聞き手 ライター ケイスケ
大阪出身の福岡移住者。自らの社会起業経験をもとにボーダレスグループの情報発信を担当中!
 

「対等な立ち位置」を求めて辿り着いた
ソーシャルビジネスという考え方

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ケイスケ   こんにちは!先日のカンブリア宮殿の放送、観ましたよ!バッチリ取り上げられていましたね!
     
ともろー   ありがとうございます!周りからの反響もありました!
     
ケイスケ   放送後もとっても精力的に活動されていますね!
ともろー   今年は特にガンガン動いていく一年にしたいと思っているので!
     
ケイスケ   ともろーさん自身はミャンマーと関わって長いそうですね?
     
ともろー   もうかれこれ8年になります。大学一年生のときに出会ったビルマ人の方がタイとミャンマーの国境地帯にあるカレン民族(ミャンマーの民族の一つ)の学校を支援していました。紛争や難民の話を聞いて、自分と全く違う境遇にショックを受けたのが始まりです。

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ケイスケ   そんなに深い繋がりがあったんですね。
ともろー   彼と初めてミャンマーに行った時は、バスとトラックを3回乗り換えてバンコクから24時間くらいかかるところにいきました。
     
ケイスケ   考えられないくらい遠いですね!?
     
ともろー   現地は当時の僕の中での”貧困”というイメージの光景でしたが、そこで家族とか親友と思える人ができたんです。それから5年間日本と行き来する中でミャンマーがとても身近な存在になりました。
     
ケイスケ   そんなきっかけがあったんですね。タイミングもちょうどミャンマーの民主化が進み始めた頃ではないですか?
     
ともろー   そうなんです。40年ほど続いていた難民キャンプにも動きがありました。もともとミャンマーに隣接するタイの国境付近に難民キャンプがあったので、彼らがミャンマーに帰されることになったんですね。

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ケイスケ   急に状況が変わると言語も話せないし、タイに戻る人もいたんじゃないですか?
     
ともろー   今はまだ少ないですがこれから増えてくると思います。彼らがミャンマーに送り返されても、仕事や生活基盤がないことで、貧困に陥ったり、結局出稼ぎで家族がバラバラになってしまったりする可能性が高いと思っています。自分に何ができるかと考えた結果、ソーシャルビジネスに行き着いたんですよ。
     
ケイスケ   そこでボーダレスと出会ったんですね!
ともろー   はい!ボーダレスに入社して「ミャンマーに行きたい」と言っていましたが、まずはビジネスを学ぶ修行として1年半の間にいろんな事業に入りました。本当に”修行”で、うまくいっていない事業を立て直すお手伝いをして、やっとミャンマーにたどり着きました(笑)。
     
ケイスケ   それでも黒字化を達成したり結果を残したのはすごいです!それからすぐにボーダレスリンクに入ることになったんですか?

     
ともろー   もともとはボーダレスファームに入る予定だったんですが、ちょうどボーダレスリンクが事業計画をリモデルするタイミングだったのでバディという形でボーダレスリンクに入りました。そして2018年にボーダレスリンクの社長に就任することになったんです。

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ケイスケ   スピード感がいいですね。個人的には、学生の頃にミャンマーの光景をみてすぐにソーシャルビジネスに向かったのが特殊だなと感じました。NGO支援などは考えませんでしたか?
ともろー   NGO活動参加とか学生団体とか実際やったことあるんですよ。そのときに感じたのが、「助ける人と助けられる人」「やってあげる人とやってあげられる人」という構図が個人的に合わないなということです。
     
ケイスケ   なるほど!では当時学生だったともろーさんなりに難民キャンプでビジネスの方向で活動されていたんですか?

     
ともろー   実は何もしていませんでした(笑)。当時は「何もしない」って決めていたんです。彼らと一緒に住んで、一緒に食べて、っていうその関係性を崩したくなかったんです。家族や親友の中で「支援者」になりたくなかったんですよね。
     
ケイスケ   もちろんNGO団体や学生団体の活動も素晴らしいですが、ともろーさんにとっては違うスタイルの方が肌に合っていたんですね。

     
ともろー   そうですね。僕の中では「ソーシャルビジネス=彼らのパートナー」なんです。彼らの国・民族・土地を彼らと一緒に変えていく、そんな『仲間』としてやっていけるんじゃないかと思ってソーシャルビジネスの道を選びました。対等な関係でいたいのが一番なんです。
     

ボーダレス(隔たりのない)なリンク(繋がり)
のある社会を目指す

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ケイスケ   ボーダレスリンクが解決を目指す問題を教えてください。
     
ともろー   ミャンマーの人口70%以上(約3000万人)は農村部に住んでいますが、その大半の小規模農家が特に貧困にあえいでいます。電気がひけない、学校にいけないどころか、子どもが低体重症や発達障害になってしまうというケースが、年間収入約10万円と言われる低い農業収入が原因で起こっています。
     
ケイスケ   そんなに低いんですね!?その問題を引き起こしている要因は何ですか?
     
ともろー   以下のの4つの分野で、小規模農家と都市部農家に圧倒的なギャップがあることです。

「資材」・・・都市部で当たり前に手に入る農業資材が手に入らない

「お金」・・・マイクロファイナンスなど正規に借り入れるルートがない

「情報」・・・季節に合わせた種の選び方や適切な肥料・農薬の使い方など農業技術の情報やノウハウが足りない

「マーケット」・・・地域ごとのブローカーに、販売価格や生産する品目を依存している
     
ケイスケ   これらは都市部と比べて、小規模農家へのアクセスが悪かったり教育リテラシーが低いことが原因のようにみえますね。
     
ともろー   十分な教育を受けられないので、農薬のパッケージが読めなかったり、まず「外に新しいものがあるかもしれない」という感覚がないんですよね。都市部と比べてアクセスがよくなく小規模なので、”効率がよくない”ことから誰も手を差し伸べないところなんです。だからこそ、そこにソーシャルビジネスの価値があると思っています。
     

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ケイスケ   そこでボーダレスリンクの出番ですね!
     
ともろー   はい!2ヶ月間の現地調査の結果さきほどの4つの要因がわかり、それらが密接に絡み合っていることがわかりました。「結局全部を一緒に変えないといけない」ことにたどり着き、『農業トータルサポート』を開始したんです。
     
ケイスケ   なるほど!農業のワンストップサービスのようなイメージですね。具体的に教えてください!

     
ともろー   地域には30〜50の村が集まっていますが、その中心地に「アグリセンター」という様々なリソースへの窓口を作りました。ここで「適正価格の資材」「利子の安いマイクロファイナンス」「質の高いコンサルや技術指導」「作物販売」を提供しています。
     
ケイスケ   さきほどの4つの要因にそれぞれドンピシャで解決策を提示していますね!すごい!

     
ともろー   最近では、機械レンタルも始めています。今は小さな収穫機械やハンドトラクターしかありませんが、今後は脱穀機や大型トラクター、ハーベスター、コンバイン、種植機など、これまでにない効率性を高める機械のレパートリーも増やしていきたいですね。
     

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ケイスケ   さきほど教育の話で、小規模農家さんには「新しいものがある感覚がない」とありました。その中で”外からの新しい存在”であるボーダレスリンクがどのように農家さんに受け入れられていったんですか?

     
ともろー   事業戦略としてマイクロファイナンスから入っていきました。それまでブローカーへ払っていたのは月利5%でしたが、僕たちのマイクロファイナンスでは2%で済みます。払う分が少なければ実利でこちらに目を向けてくれますよね。たくさんの「やってみて」を通して、根気よく言い続けています。
     
ケイスケ   そこから少しずつ信頼度を高めていったんですね!ソーシャルインパクト(社会問題をどれだけ解決できているかを測るボーダレス独自の指標)はどのように測っていますか?
     
ともろー   「ボーダレスファーマー制度」というものを導入しています。「マイクロファイナンス」「肥料デリバリー」ワークショップなどの「技術サービス」の3つのサービスが受けられる会員サービスで、これに加入してくださる農家さんの数を指標にしています。加入の条件として、アグリセンターが提供する有機肥料を最低4俵使ってもらうことです。
     
ケイスケ   条件があるんですね!?

     
ともろー   僕らが目指しているのは、今の人たちだけの幸せや収入を上げることではなく、「持続可能的に子ども達の世代までいい土を残して、子どもの世代までが幸せになる社会」です。例えば化学肥料を使えば収穫量が増えて収入が上がるようにすることもできますが、ちゃんとした有機肥料で土を良質に保ち、次の世代まで引き継いていく。そのために有機肥料を使うことを条件としています。
     

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ケイスケ   ともろーさんの今後のビジョンを教えてください!
     
ともろー   「縦」と「横」の動きの2つあります。まず縦の動きとして、現在のサービスをベースにさらに付加価値の高いサービス提供をしたいです。例えば、作物販売や作物提案、契約栽培の仲介、作物保険の提供(虫がわいて作物がやられてしまったときなどに適用される保険)、また一番遅れが顕著な機械レンタルも農薬散布用ドローンを導入するなどやっていきたいですね!
     
ケイスケ   これが「縦」ですね。「横」の動きはいかがですか?
     
ともろー   現在60の村に農家さんが2000人いる中で、ベースを整え黒字化をしていきながら、今年の8月あたり一気に横展開をしていきます。現在2店舗あるアグリセンターを、2020年度は+4店舗、2021年度に+10、2022年度に+50店舗の拡大を目指しています。
     
ケイスケ   すごいペースですね!まさにこれまでの「創業期」から「第二次創業期」に入っていくイメージですね。

     
ともろー   ミャンマー は過去70年間で紛争が絶えず植民地や軍事政権時代を通して135もの民族がバラバラになってしまいました。この現状を変えていきたいんです。言葉も宗教も文化もバラバラな民族がボーダレスリンクの全国展開の中でいろんな民族が手を取り合うミャンマーを作りたいですし、ボーダレスリンクが将来のミャンマーの姿の縮図として表したいです!
     
ケイスケ   それこそまさに『ボーダレスリンク』ですね!!

     

求めているのは、第二創業期を
ぐいぐい引っ張っていく勢いのある人

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ケイスケ   さて、お待ちかねの本題ですね!今回はボーダレスリンクとして経営者を募集しているということでした。経緯を教えてください。
     
ともろー   僕がミャンマーで成し遂げたいのは、ソーシャルビジネスをやりたいという起業家のためのプラットフォームをミャンマーで創ることです。例えば今は農業ソリューションとしてボーダレスリンクとボーダレスファームがあります。
     
ケイスケ   そして今後、様々な分野に取り組める社会起業家をミャンマー内に増やしていくということですね。

     
ともろー   はい。サービス系や人材系などいろんな分野の事業を作ることで、本当の意味でミャンマーの人たちが人生に選択肢を持ち、より良い社会が実現できると思っています。僕はその実現を目指して「ボーダレス・ミャンマー」を作りたいんです。
     
ケイスケ   「ボーダレス・ジャパン」ならぬ「ボーダレス・ミャンマー」ですか!?
     
ともろー   そのためにも、今回はボーダレスリンクという一事業を任せられる人を募集したいんです!僕自身は決してミャンマーやこの事業から離れたいというわけではなく、ミャンマー全体をよくしていく仕組みづくりをしてきたいんですよね。

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ケイスケ   ボーダレスリンクどのような方に応募してきてほしいですか?
     
ともろー   これから第二創業期として一気にスピード感が出てくるので、この動きを率先して作っていきたいと思える人、このソリューションやリソースを使って一気にミャンマー中を駆け巡ってやっていくという勢いのある人がいいですね!僕自身はミャンマーに思い入れがありましたが、ミャンマーに限らず東南アジアや貧困農家さんのためにやりたいという熱い思いがある人も大歓迎です!
     
ケイスケ   受け身だったり教えてもらうことを前提にしていると、置いていかれてしまいそうですね(笑)。
     
ともろー   そうですね(笑)。僕が2年間かけて引き継ぐことを考えていますが、修行期間のように捉える中途半端な人ではなく、その期間中に自らぐいぐい仕事を取りにいって自分から社長になるような気概のある人が合うと思いますね。
     
ケイスケ   ミャンマーの人々の気質も参考になるかもしれません。彼らはどのような人柄ですか?

     
ともろー   もちろん一概には言えませんが、僕の会社の現地メンバーでいえば、とてもオープンで人と人との間に距離を作らない人が多いです。だから、よく僕らが使う言葉で言う、「けつの穴を見せられるか」がとても大事だと思います。言い方は少し汚いですが、でも自分の恥ずかしい部分や弱い部分を隠さずに、仲間と共有し、共に前に進むことができる人がぴったりだと思います。青春好きの人ですね!ちなみにミャンマーでは日本とは違い全裸で入浴したりすることはご法度なので、本当に見せることはありません(笑)。
     

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