2016年10月に立ち上がったみらい畑。新規農業従事者を増やすことを目的に、宮崎県で有機野菜の栽培を続けてきましたが、思うように収穫が出来ず、事業存続の危機に陥ります。

代表の石川美里(以下、美里)は、事業存続のため有機栽培を諦めようと、ボーダレス・ジャパン代表の田口に相談。そこで田口から出た「あともう少しだと思うんだよ」という言葉に背中を押され、仲間とともに栽培し続けてきた野菜がついに販売できるように!販売に至るまでの軌跡と、真心こめて育てた野菜をご紹介します!

 

今回話を聞いたのは・・・

  みらい畑株式会社 代表取締役社長 石川美里   みらい畑株式会社 代表取締役社長 石川美里
幼少期のインドでの生活と東日本大震災の発生から「何かの役に立ちたい」という強い想いを抱くようになり、2015年に新卒でボーダレス・ジャパンに入社。よりよい未来を残すには、環境への配慮は不可欠だと考え、2016年10月、農業経験ゼロで農業事業「みらい畑」を立ち上げる。
 

広報 チャーリー   聞き手 広報 チャーリー
貧困問題の解決を志し、2016年にボーダレス・ジャパンに入社。現在はボーダレスグループの広報を担当。
 

農業経験ゼロからの
挑戦

農業経験ゼロからの挑戦
チャーリー   美里さん、朝からありがとうございます!(skype越しに軽トラのドアを閉める音が聞こえる)...もしかして出荷帰りですか?
     
美里   そうなんです。(笑) 今ちょうど戻ってきたところでした!
     
チャーリー   今回は、みらい畑が事業存続をかけてオンライン産直市場に出店したと聞き、いてもたってもいられず、特別号を配信することになりました!
美里   ありがとうございます!12月に出品をスタートしたばかりなのですが、ぜひメルマガ読者のみなさんにも知っていただけると嬉しいです。
     

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チャーリー   まずは、みらい畑についてお聞きしたいと思います。ずばり、みらい畑が解決している社会問題は何でしょうか?
     
美里   農業の担い手不足です。日本の農業就業人口は2000年には389万人でしたが、2017年には181万人にまで減少しているんです。
     
チャーリー   17年で半数以下になってるんですね。原因は、やはり農家さんの高齢化でしょうか?
     
美里   そうですね。でも一方で、新規就農する49歳以下の方は増えているって知ってました?
     

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チャーリー   知らなかったです!今後の日本の農業を支えるのに十分な人数が増えているんですか?

     
美里   いえ、減る人数と比較すると、新規就農者の数は全然足りていないのが現状です。ただ創業時にヒアリングをしていると、農業に挑戦したい想いはあるのに、経験がないことへの不安や、土地や機材への初期投資がハードルとなって諦めている人が多数いることが分かり、それがとてももったいない状況だと思ったんです。
     
チャーリー   それでソーシャルインパクト※を「みらい畑で働く新規就農者数」と置いたんですね。
(※ 社会にどれだけ影響を与えているかを測るボーダレスグループ独自の指標)
     
美里   そうです。最近も、農業大学校を卒業した大賀君が新卒で入社しました。彼もさきほどのような理由で農業を一人で始めることにハードルを感じ、未来の環境のことまで考えたみらい畑で学びたいとエントリーしてくれたんです。
     

有機栽培の壁にぶつかり、
事業撤退の危機到来

有機栽培の壁にぶつかり、事業撤退の危機到来
チャーリー   大賀君、笑顔が素敵ですね!ちなみに、「未来の環境のことまで考えた」というのはどういうことでしょうか?
     
美里   みらい畑は、環境と健康を考え、有機栽培にこだわっています。私がみらい畑を立ち上げたのは、もともと農業をしていたからではなく、「社会にとって役に立つことをしたい」という思いからでした。どうすればよりよい未来を残すことができるのかを考えた結果、環境への配慮は必要不可欠だと考え、農業事業にたどり着いたんです

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チャーリー   農業経験ゼロからの事業立ち上げだったんですね!しかも有機栽培となると、熟練農家さんでも難しいと聞きます。相当大変だったのではないでしょうか?
     
美里   もうそれはそれは...。(笑) 起業してすぐに伝統野菜の佐土原茄子を植え、夏場の40度を越える中、毎日メンバー総出で育ててました。ところが無農薬だったため、半年後に虫にやられて全滅。追い打ちをかけるように、台風でビニールハウスごと潰れてしまい、農家さんの大変さがよくわかりました。
     
チャーリー   半年かけて育てた野菜が全滅ですか...!
     

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美里   そうなると収入もゼロなので、赤字続き。もちろん人も雇える状態ではありませんでした。その後もなかなか思うように収穫できず、売り上げが立たない時期が3年続き、実は今年の8月に有機野菜の栽培を諦めようとしていたんです。
     
チャーリー   自分が社員を抱えた社長だったらと思うと、ものすごいプレッシャーです。でも環境のことを考えた農業は、創業時から美里さんが大事にしてきたことですよね。
美里   そうです。でも事業存続が出来なければ、話しにならない。メンバーの生活を背負っているという焦りもあり、有機栽培を諦めようと考えていました。
     

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チャーリー   苦渋の決断ですね。ボーダレス・ジャパン代表の田口にも相談したとか。
     
美里   はい。田口には、ありのままの心境を伝えました。すると返ってきたのは、『(有機栽培で収穫できるようになるまで)もうちょっとだと思うんだよね。』という言葉。「もう諦めなきゃ」と思っていた私の背中を「もう少し頑張れ」と押してくれたんです。
チャーリー   ビジネスプランを練っている時から伴走していた田口にとっても、諦めないでほしいという気持ちがあったのかもしれませんね。
     
美里   そうだと思います。私も心のどこかで背中を押してほしかったのかもしれません。
     

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チャーリー   そして今回、紅芯大根と春菊の栽培に踏み切ったんですね。
     
美里   はい。ただ実は、紅芯大根には農薬を少し使っています。どちらも収穫ゼロだと、いよいよ事業撤退になるため、苦肉の策でした。今回しっかり収益を出すことができれば、有機栽培は続けていきます。
     
チャーリー   確かに難しい決断。でも事業存続が出来なければ、そもそもの事業目的である、みらい畑で働く新規就農者を増やせないですもんね。
     
美里   そうなんです。でもメンバー5人で毎日丁寧に丁寧に栽培した結果、紅芯大根も、無農薬で栽培した春菊も、販売できる十分な量を収穫することが出来ました!
     

販路拡大に向け、
オンライン産直市場に出品開始!

販路拡大に向け、オンライン産直市場に出品開始!
チャーリー   今回、オンライン産直市場での販売に踏み切った経緯を教えてもらえますか?
     
美里   はい。実はオンライン販売の前に、宮崎県内のスーパーでも販売していました。ただみらい畑の野菜は有機栽培で手間がかかる分、どうしても店頭の同じ野菜よりも価格が高くなります。それでもみらい畑を選んでもらえる商品のよさを伝えきれず、売り上げが伸び悩んだんです。
     
チャーリー   確かに倍近くするとなると、よほどその農家さんから買いたいと思わないと手が伸びないのが正直なところです...。
     
美里   もちろん生産者の顔が見えるような工夫やアレンジレシピの紹介などもしてみたのですが、会社の通帳からは日に日にキャッシュが減っていくばかり。他の打ち手を考えていたとき、ボーダレスアカデミーで講師を務めてらっしゃる高橋博之さんの存在を知ったんです。
     

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チャーリー   高橋さんは、生産者と消費者とが完全に切り離されている現代の食物市場に問題意識をもち、「地方と都市をかきまぜる」というビジョンのもと、農家や漁師から直接旬の食材を購入できるスマホアプリ「ポケットマルシェ」を運営されていますよね。
     
美里   みらい畑もまさに、お客様に直接商品の良さを伝えたいと思っていたので、「これだ!」と思ったんです。
     
チャーリー   購入者からしても、どんな農家さんがどんな思いで作っているのかが見えますし、良好な関係が出来ている農家さんからなら、多少価格が高くても買おうかなと思いますね。
     
美里   みらい畑も12月から出品を始めたばかりですが、購入者の方が写真付きでコメントをくださるので、とてもやり甲斐を感じられる素晴らしい仕組みです。
     

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チャーリー   今はどんな野菜を出品しているんですか?
     
美里   紅芯大根と春菊です。紅芯大根は、ルビー色の実と強い甘みが特徴の大根です。とても鮮やかで、1品あるだけで食卓が華やかになりますよ!
     
チャーリー   わあ、本当に鮮やかですね!クリスマスや年末年始にもちょうどよさそうです。全国に配送していますか?
     
美里   はい!地域にもよりますが、採れたてものを2-3日でお届けしています。
     

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チャーリー   私も昨日注文したので、届くのが楽しみです!最後に、読者の皆さんに一言お願いします!
     
美里   みらい畑の事業存続をかけ、メンバー5人で毎日欠かさず畑に出て育ててきた紅芯大根と春菊を、やっとみなさんにお届けできるようになりました。味には自信があります。ぜひ一度、お試しください!
そして、みらい畑を必ず日本の農業を支える事業にしていくので、今後とも応援よろしくお願い致します!

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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