
世界中で問題になっている海洋プラスチックごみ問題。海に漂着したごみによって、海岸が荒れてしまい多くの生き物たちが犠牲になっています。
こうした海洋プラスチックごみ問題を解決するために、再生プラスチックによる道路をつくっているのが、オランダの建設会社VolkerVesselです。
プラスチックごみの排出事情
海洋プラスチックごみ問題の現状海洋に流出するプラスチックごみは、少なくとも年間800万トン※1にも及ぶと推計されています。このプラスチックごみは、黒潮などの海流に乗って、海洋上を巡りますが、最終的に一区域に集合、蓄積します。
太平洋では、北太平洋の中央(西経135度から155度、北緯35度から42度付近)が太平洋ゴミベルトと呼ばれています。面積にして、テキサス州の2倍、日本の4倍の広さに及ぶといわれています。また、このベルト地帯は、”Plastic Soup” とも言われています。
海流の影響により、地球上にはこのようなPlastic Soupが5つ存在するといわれています。普通のプラスチックは、廃棄しても自然界では分解されにくく、その廃棄方法は世界的な問題ですね。
特徴を活かしてプラスチック道路を建設
海洋プラスチックごみ問題を解決するために、プラスチックごみを利用しようと取り組んでいるのが、今回ご紹介するVolkerVesselです。同社は、プラスチックの特徴を利用した道路を建設しています。
水や薬品に強い
現在のアスファルトを利用した道路は、都市部での寿命は大体10年程度を見ているといわれています。道路のアスファルトは、雨や交通によってどんどん削れていくため、放置されると凹凸ができてしまいます。
一方プラスチックは、天候や化学物質に対して腐食しにくい性質があります。この性質を利用した道路は、排水や強度の問題が軽減され、寿命も3倍に伸ばせるとされています。気温の変化も-40℃から80℃まで耐えられるため、実質的なメンテナンスは不要だそうです。
http://en.volkerwessels.com/en/projects/detail/plasticroadより引用
軽い
プラスチックの軽さを利用して、穴を掘って、パズル状に「プラスチック道路」をあてはめていくという形をとります。(下図参照)
これにより、作業工程も大幅に削減でき、1ヶ月かかるところを1週間に程度に縮めることも可能だとされています。
中空構造を作ることができる
普通の道路は、アスファルトの下に砂利などを詰めることで強度を高めます。
一方でプラスチック道路では、内部を空にすることによって、その中に送電線や排水管などを入れることが可能になり、走行音や路面温度の上昇を防ぐこともできるようです。
2018年に世界初のプラスチック製自転車道が設置され、現在では、駐車場、歩道などオランダのさまざまな場所に設置されています。
Cradle to cradle(ゆりかごからゆりかごまで)のものづくり
このプロジェクトは、Cradle to Cradle(ゆりかごからゆりかごまで)という考え方に則っていると言えます。
Cradle to Cradle(ゆりかごからゆりかごまで)とは、デザイナーのWilliam McDonoughと、化学者のDr. Michael Braungartによる、”Cradle to Cradle: Remaking the Way We Make Things “(North Point Press, 和訳:サステイナブルなものづくり―ゆりかごからゆりかごへ、吉村英子訳)で提唱されたとされた考え方です。
環境負荷を最小化するという考え方よりも、使い終わった後のアップサイクルの設計まで含めてデザインするべきであるという考え方です。
環境に優しいのはもちろんのこと、健康被害もなく、経済成長を阻害しない、ということです。例えば製造業では、大量生産・大量廃棄ではなく、原料や製品はすべて再生可能なものにする、といったやり方です。
ソーシャルビジネスは、大量生産・大量消費・大量廃棄に代わる次世代のビジネスとして、社会問題を解決することはもちろん、環境に負荷を与えない、ヒトの健康を害さない、などが必須条件です。まさに、Cradle to cradleであるべきだといえます。
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※1 日本財団ジャーナル「2050年の海は魚よりもごみが多くなる?今すぐできる2つのアクション」