
「ソーシャルビジネスの定義」「フツウのビジネスとの違い」「社会起業家のプラットフォームを目指す理由」というテーマで、ボーダレス・ジャパン社長・田口一成が語りました。
2016年12月18日(日)ボーダレス・ジャパンの社会起業家たち9名が登壇した第1回SEED BUSINESS FORUMでのオープニングトークの内容です。
↓以下、全文書き起こし
ソーシャルビジネスとは?
オープニングトークということで会社全体のことを話したいと思います。簡単にいうと、ボーダレス・ジャパンはソーシャルビジネスしかやらない会社です。逆にいうと、ソーシャルビジネスだったらなんでもやるということです。
まずはソーシャルビジネスってなんじゃ?っていう話からです。
「ソーシャルビジネス」って最近はいろんな人が使う言葉になっていて、その定義がよくわからなくなっているので、僕らがソーシャルビジネスをどういう風に考えているのか?っていうお話をしようと思います。
ソーシャルビジネスは「社会の負」を解決するビジネスのこと、っていう人が多いです。例えば、不満です、不便です、不快です、不都合です、もうちょっとこうだったらいいなあ。こういうことを解消することが大切です、と。
まぁそれはそれでいいんだけど、それをソーシャルビジネスとかっていう大げさな言い方する必要はないと思います。
それはビジネスとしてやってくれたらいい。ソーシャルビジネスとは、あくまでも社会問題に対して行うものです。社会問題じゃないものに対して行うものは普通にビジネスをやったらよろしい、ということだと思います。
じゃ、「社会問題」って何ですか?っていうと、それはやっぱり社会の問題です。
社会の欠陥とか不合理から生まれている問題で、実際に社会で生活していく上で支障をきたすレベルの大きな問題。それを社会問題と言います。
例えば貧困問題、環境問題、食糧危機、人種差別、性差別、限界集落の問題、シリアの難民問題、そういったレベルの問題を解決しようとするところに、僕らはソーシャルビジネスマンとしての誇りをもってやっています。
一般のビジネスとの違い
さっき言った不満とか不便とか不快とかっていうのは、ある意味マーケットニーズなんですよね。そこにいる人たちがある程度生活できていて、それで「ちょっと困ったよ」って言うのはニーズでしょ、ということなんです。逆に言うと、それって儲かるんです。それはつまり、放っておいても誰かがやるってことなんです。
一方、僕らがやっている社会問題というものは、ある意味マーケットから放置されてる人たちを対象にしています。例えば貧困問題、シリアの難民問題、そこと商売しようとして誰か儲かりますか?
儲からない。だからマーケットから放置されちゃう。誰も相手しない。誰もやらない。いつまでも問題として残っている。
じゃ、これは誰がやるのか?ということです。
この社会問題の解決は、政府の問題ですか、国連の問題ですか、NPOですか?それとも支援団体が取り組むべき課題ですか?
誰がこれを解決するのか?って言ったときに、これこそが実は僕らビジネスマンの本当の仕事なんじゃないのかな?と思っているんです。さっき言ったように、対象となる人たちはマーケットから放置されている。行き過ぎた資本主義の犠牲になった人たちがいるんですね。
これを正すのは誰ですか?正しいやり方で正しく行う、僕らビジネスマンの本当の仕事はここにあるんじゃないのかなっていう風に僕は思います。
この社会問題を解決するビジネスマンを、僕らは社会起業家と呼んでいます。この社会起業家の数だけ、社会の問題っていうのは解決されると考えています。
もちろん、NPOの人とか市民団体の人とか、すごく大切な役割をしているし、一緒にやっていかないといけない。だけども、僕らビジネスという経済活動を行っていく人間として、正しいやり方、正しい目的を持ってやっている、このプレイヤーも必ず欠かせない立ち位置として存在してるんです。
そのプレイヤーの数ってのはすごく大切。社会起業家の数の分だけ、社会問題は解決される、と思っています。
だけどもさっき言ったように、これはニーズがあって始まるわけではないし、成長マーケットがあるからという理由で始めるわけでもない。けっこうきつい闘いをやらないといけない。で、この人たちがもし失敗すると、社会的損失だと思うんですね。
だから、「社会起業家たちがどうやったら成功できるのか」。ここに取り組む会社が1個くらいあってもいいんじゃないかと思って作ったのがこの会社なんです。
社会起業家のための会社でありたい、という風に僕らは思ってます。それでわかりやすく「社会起業家のプラットフォーム」と言ってます。つまり、全ては社会起業家のために設計されている会社です。
今日この後、SEEDというプログラムの話をしますけれども、僕らはずっとこのためにやってきて、社内でいろんな実験をしてきました。
10年間でいろんな事業をやってきたんですけれども、それを経て、やっぱりこの会社をもっといろんな人に使ってもらって、どんどん社会的企業を起こしていける土壌になればいいなと思ってこの会社をやっています。
結果的に今、ボーダレス・ジャパンでは世界6カ国で10個の事業をやっています。今はシリア難民の話もあって、一番多くシリア難民が避難しているトルコでも、会社を作ってシリア難民のための事業をやろうとしています。
そして売り上げとしては、今年は30億円を超える見込みです。去年の数字ですけど国内従業員で181人、海外では523人います。今はバングラデシュだけでも500人以上になっていますので、今年はもっと多くなっています。
ここまでは簡単にボーダレスのことについてお話しましたけども、ボーダレスの歴史や仕組み、そして、何よりも大切な社会起業家たちの姿を、今日これからお伝えできればなと思っています。
社会を良くしていくために、みなさんが今まで頑張って身につけてきたビジネススキルを社会のために活かしたいなってなった時に、ボーダレスという場を活用してもらえたら嬉しいな、と思っています。
今日は日曜日のお忙しい中、来てくれてありがとうございます。それでは早速、一人目としてボーダレスハウスの李社長の方から発表したいと思います。よろしくお願いします。
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