
ボーダレスグループには、社会問題の解決を目指して起業した社会起業家だけではなく、彼らとともに事業をつくるスペシャリストも集まっています。ここに来た理由は「社会貢献に携わりたい」「新しいことに挑戦したい」「自分のビジネス力を試したい」など様々。
この「シゴトファイル」では、そんなスペシャリストたちに、働き方や仕事のスタンスをインタビューしています。
第4弾となる今回は、妊産婦向けハーブティーを販売するAMOMAでマーケティングを担当する寺師悠(てらしはるか)のインタビューです。現在入社3年目の彼女に、シゴト観をじっくり聞いてきました。
―寺師さんはもともと鹿児島ご出身。福岡の大学を卒業され、東京に就職したとききましたがどのような仕事を経験されたんですか?
「東京の広告業界で2社経験しています。最初の会社では通販広告専門の広告代理店で営業をしていました。
テレビ通販を扱う会社で、クライアントから依頼があるとその商品の“売り方”から一緒に企画に入り、番組制作会社と内容を作り、商品に合った番組や局を選定、放映後の結果をもとに改善していくまでをトータルで見る仕事でした。昼夜問わず働くなかでテレビを通してだけではなく、ほかのアプローチでも“伝える”ことをやってみたいと考え、2社目のPR会社に転職しました。
おもにメディア向けに情報発信をし、取り上げてもらえるよう見せ方を考える仕事です。例えば、売りたい商品のイベントを企画し、サンプル提供をしたり。そうやって、いかにメディアに興味をもってもらえるかをいつも考えていました。」
―1社目も2社目もルートは違えど世の中に商品を「伝える」という仕事。それぞれの方向から見て「伝える」仕事のやりがいって何だと思いますか?
「たくさんの方々と関わりながら、みんなでひとつのものを作りあげるってことが醍醐味でした。
1社目ではTVに特化していたので、結果が数字でしっかり出る世界。やはり数字が良いときは嬉しかったですし、2社目でも自分の関わった案件が記事になり良い反応があると大きなやり甲斐を感じていました」
― 一方、仕事をしていく中で、クライアントごとの温度差を感じる場面も多く、『この商品を売る仕事が何のためになるんだろう』と立ち止まることもあったそう。そして、26歳の時、大きな転機が訪れます。当時、仕事をしながら応募していた“青年海外協力隊短期ボランティア”の書類選考に通ったのです。
「仕事が休みの日に、たまにイベントのボランティアに参加していました。そこで、自分が“ボランティアとして働く”ということにハードルを感じなかったことや、もともと海外旅行が好きだったこともあって、いつか海外ボランティアに参加したい、と思っていたんです。まさか本当に選考に通るなんて思ってなかったというのが本音ですが(笑)、当時ちょうど結婚して福岡に戻る、という話があったので、これを機に仕事を退職、アフリカのスーダンへ向かったんです。
1か月の短期ボランティアとして、街中の散乱したごみ問題を解決していく活動に取り組みました。なかでも印象的だったのは、聾学校のこどもたちへ“リサイクルという考え方”を知ってもらう授業をした事。古新聞を紙ねんどに加工するもので、何しろリサイクルって考え自体がない国なので、『いらないものをゴミにするんじゃなく、新しいものに変えることができるんだ!』ってこどもたちが驚いて、日本の感覚と全く違う作品ができていくんです。良い経験になりました。」
『貧しい=不幸せ』ではない
―スーダンに行ってみて、寺師さん自身の考えに変化はありましたか?
「“貧しい国”と言われているスーダンですが、生活をしてみると、『ああ、ここの人たちは幸せなんだな』と感じる場面に多く出会いました。たしかに治安も良くないし、大変なこともあるけど、ここに暮らす人々のこころが豊かで幸せな感じが伝わってきたんですよ。対して、“豊かな国”として知られる日本ではみんな、こんな幸せそうだったかな?ここに来るまでにわたしが思っていた、“普通の”幸せって何?経済的に豊かなことと幸せって、イコールじゃない?…そんなことを考えながら、日本に帰ってきました。
―そして帰国後、結婚。これからの自分のキャリアや生き方を考えたときに、この経験がもとになり、今までとは大きく変わったことがありました。
「仕事を探すうえで2つのビジョンができました。ひとつは、『スーダンなどの発展途上国とつながる仕事がしたい』ということ。そしてもうひとつが『仕事をやる目的をしっかりもちたい』ということでした。お客様にこたえるのが仕事-それはもちろんですが、自分の仕事が“何か良い社会のためにつながること”そこに、やりがいを感じながら仕事をしたいと思うようになりました。」
決め手となったのは“3年後の自分がわからない”こと?
―そうしてボーダレス・ジャパンと出会った寺師さん。ずばりボーダレス・ジャパンの第一印象ってどうでした?
「決められたレールに沿って進むのではなく、みんなが目的意識をもって、自分の仕事は自分で作っているような雰囲気が自分に合っていると思いました。実は当時、もう一社、選考していただいている企業があったんです。『どちらに進もう…』と迷ったときに、もう一社のほうでは“3年後の自分”が大体想像できたんです。でも、ボーダレスに進んだ場合を考えると、全然想像できなくって(笑)やりたいこと+面白いことできるのはどっち?と考えると、ボーダレスだったんです。いつか貧困問題を抱える地域に何か事業をしたいと思っていたけど、具体的にどうするか、プランは固まっていなかったので、ソーシャルビジネスの事業を深く知ることから始めるため、AMOMAに配属が決まりました。
“普通のメンバーに戻りたいです” 本音と向き合った日
―入社後は早速、産婦人科向けのリサーチや営業活動、商品に同包する冊子などのデザインディレクション(マルチですね…!)を任せられます。入社から半年を過ぎるころには、メンバーに“AMOMAの中ボス”と呼ばれるリーダーに!
「入社してからずっと、会社のスピード感についていくのに必死。一生懸命やっていたものの、自分のことだけでいっぱいいっぱいな状態でした。だから、リーダーとしてAMOMA事業全体の成長やメンバー全員の状態を見るっていうことが当時のわたしにはまだできなくって。そしてリーダーになって6か月がたったころ『普通のメンバーに戻してください』ってお願いしたんです。」
「わたしはここで何ができるか、何を成したいか、そんな明確な目標をしっかりもちたいと考えました。そうして出てきたのが、当時まだまだ低かった“AMOMAの認知度をしっかり上げたい”という想い。
“世界中のママへ安心・安全を届ける”ミャンマーからの想いをのせた、この商品をどうお客様へ届けていくか―
それを追求する『伝える』スペシャリストを目指すって大きく方向転換しました。」
今は何する時間?育児も仕事も大切なのはメリハリ
―それからというもの、大手ベビー用品チェーンでのAMOMA商品導入など、活躍の場を広げる寺師さん。ご自身も妊娠、出産を経てAMOMAのお客様と同じ、「ママ」になりました。ママになったことで働き方にどのような変化がありましたか?
「保育園に預けているので、16時には終業して迎えにいっています。まだ1歳半と小さいので、病気の時などは調整させてもらいながら仕事できる職場なのが助かっています。夫も保育園の送迎をしてくれるほか、わたしが2泊3日の出張に行っても気持ちよく送り出してくれるので、頼もしいんです(笑)」
―AMOMAには働くママが多いですよね!両立のコツってありますか?
「わたしは仕事が好きなので、こどもが産まれるまで、“育児と仕事、どっちも同じくらい頑張りたい”と考えていました。でも実際、出産を経験して、思ったのは、“優先順位をつけなきゃ両立できないな”ってこと。
だからわたしの場合、『こどもが一番、仕事は二番』こどもがいるときに仕事はしない、その分、仕事のときは“全力で”やる、メリハリをしっかりつけることにしています。駅からオフィスまでの自転車通勤の時間で「仕事をする顔⇔ママの顔」のスイッチを切り替えてるんです(笑) こどもとの時間を大切にすることでママの気持ちがより理解でき、仕事においても“消費者視点でものごとを見れる”という良い影響があります。両立には確かに体力的なキツさはあるけど、わたしの場合、この方法で両立するのが精神的なバランスを取りやすいんですよね。
―この6月より、リーダ―時代よりもマーケティングに特化したCMO(チーフマーケティングオフィサー)となった寺師さん。これからやってみたいことは何ですか?
「2つあって、ひとつはいままでやってきた“伝える”ということをベースにWEBマーケティングをもっとしっかりやっていきたいんです。今までは前任のWEBマーケターに頼っていた部分があるので、もっとしっかり勉強してAMOMAとして独り立ちしたいんです。0から勉強しなきゃいけないことが多いですが、やるしかない!と思っています。もうひとつは、お客様の声を聴く場をもっと設けたいということ。AMOMAではママと赤ちゃんのためなら枠にとらわれずにどんなことでもみんなで考えられます。今よりもっと、ママと赤ちゃんのために私たちが何をできるか追求していきたいですね」
―ボーダレスグループではいろんな仕事が同時進行し、それはもう目まぐるしいスピード感で社会問題を解決していきます。しかしその流れの中でも彼女は、立ち止まって自問自答し、もういちど道を確かめる。それは自分の仕事の先にあるものをより深く意識しているからこそ。
AMOMAのある福岡・多の津オフィスには、夏休みや冬休みになると多くのこどもたちが一緒に出勤し賑やかになります。「もうすこし娘が大きくなったら、働く姿、見てもらいたいな」と笑う寺師さんの横顔に、この先に彼女が手掛けていく、わくわくするビジョンが見えた気がして、たのもしさを感じました。
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寺師も登壇する福岡でのイベント「ソーシャルビジネスで自分を活かす働き方」を、11月13日(火)に開催!ソーシャルビジネスに携わりたい、どんな仕事にトライできるのか知りたい方はぜひご参加ください。
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