
誰しも、不安でたまらなくなるときはあるもの。特に仕事は、結果が常につきまとうものだから、プレッシャーに押しつぶされそうになることだってありますよね。
今回話を聞いたさとみさんも、MENTの創業期から事業を進めてきて、2018年5月からは社長に就任し、事業をどんどん大きくしたいという気持ちがある反面、不安でいっぱいだと語る一人です。
「起業家だって、人なんだ。」
今回の取材を通して、彼女が教えてくれました。
■「こころの不調に悩む人」と「カウンセラー」が出会えない現状を変えたい
― さとみさんは、そもそもなぜ、ボーダレスに入社したんですか?
もともと私には夢があって。「臨床心理士」「心理カウンセラー」を目指していたんですよ。というのも、高校時代に親友がうつ病にかかって一緒に卒業できなかったことが悲しくて。そこから「人の心」について学びたいと思うようになって、大学も心理学系の学部に進みました。
でも大学で勉強していくうちに気が付いたのは、今の日本だと「臨床心理士」や「心理カウンセラー」だけの収入では食べていけない現状。だから私も含め、大学の同級生たちも目指した道とは異なる道に進む人がほとんどだったんですよね。だって、臨床心理士になろうと思ったら院まで進む必要があるんですよ。それなのに食べられないかもっていう現実を見たら、諦めるのも無理ないですよね。
でも、「こころの不調」を抱えている人は間違いなく増えているんです。つまり、心理カウンセラーの仕事に対するニーズはあるはずなんですよね。でも今の日本社会では、こころの不調に悩む人の「助けてほしい」と、カウンセラー「助けたい・支えたい」のマッチングができていないんです。この現状に違和感を感じ続けてはいたんです。
とはいえ、私も食べていけないという事態は避けないといけないので、就職活動をしていました。その中でたまたまWEBで見つけたのが、ビジネスで社会問題を解決するソーシャルビジネスしかしない「ボーダレス・ジャパン」だったんです。そしてすぐさま「こころの不調に悩んでいる人とカウンセラーがマッチングできていない現状」と「日本で自殺が多い現状」を変えたいという想いをボスに話す機会をもらって。そして、「じゃあその社会問題をボーダレスで解決しよう」となり、入社することになりました。
― カウンセラーとは別のアプローチから、こころの不調に悩んでいる人を支えようと動き出せたんですね!
■実現したいことが重なる奇跡!二人三脚で走り出したMENT
― MENTが始まる前は、ボーダレスグループのAMOMAでキャリアをスタートさせたんですよね?AMOMAに配属されると、自分のしたいことができないような…。
私は、事業家コースの新卒入社だったので、まずはソーシャルビジネスの現場を知る意味でもAMOMAに配属されました。もちろんこの配属は当時の自分に必要なスキルやノウハウを身に着けるためのものでした。
また同時に、入社当初用意していた「人の思考のクセを治す手助けとなる認知行動療法アプリの開発」というビジネスプランのブラッシュアップも進めていきました。だからいきなり起業でなくても、ソーシャルビジネスの現場で学び、実践しながら、自分の実現したい社会のためのプランを練り上げられる環境はきちんとありましたね。
― つまり、AMOMAで修業したんですね。そのあと、自身で事業を立ち上げるのではなく、MENTにジョインすることを決意した経緯は…?
偶然なんですけど、前社長のしょうたろうさんが、同じ「メンタルケア」分野での事業プランをボーダレスに提案していたんです。私もその時メンタルケアのビジネスプランを発表していたので、実現したい思いが重なって。だから、一緒に事業をすすめていくことになりました。
― 多くの社会起業家が集まるボーダレスにおいて、同じ志を持った人に偶然出会えるってすごいですね。
■2人だけじゃ今も走れていない!事業部を超えた愛がある
― AMOMAでソーシャルビジネスの現場を見て、SEEDでビジネスプランを立てるのに必要な思考や行動を学んで、MENTにジョイン。こう言葉にするとすごく順調な道のりにもみえますが…。
まあ、もちろん順調な道のりではないですよ。今でも。なんといっても、事業の立ち上げなんて初めて経験するわけで。MENTでは、ビジネスプランでも発表したアプリづくりをメインに取り組み始めたんですが、「アプリ作りって何がいるん?」状態で。ワイヤーフレームって何?みたいな。
でも、こんな状態の私を助けてくれたのが、サラさんでした。私がアプリを作ろうとしているのを知り、すでにパートナーさんを見つけてくれてたんですよね。どんな機能を入れたいとかいうのも、今でいうところのバックアップオフィスから提案をもらってたので。だから私は、コンセプトや機能、デザイン面に集中することができました。
― 今、割とさらっとコンセプトに集中できたと伺いましたが、ここ、一番難しくないですか?私もライティングでコンセプトしっかり練ったつもりが、意外とふわっとしていることに記事を書きはじめて気付いて、何度も後悔したことあるんですけど…。
確かに、難しかったです。でも、それもボスやサラさんをはじめ、のちのバディとなるヘレンさんに見てもらいながら進めていきました。皆さん的確かつ親身になって相談に乗ってくれるので、心強いです。
あと心強いといえば、MENT以外の会社が同じフロアにいることも大きいですね。MENTはまだまだ創業して1年の会社。正直、日々不安との戦いでした。というより今もです(笑)。
そんな時私たちを持ち上げてくれたのが、他の会社のボーダレスメンバーでした。事業とは関係のないまったく違う第3者ならではの視点からアドバイスをくれるので、いったん冷静になれたり、ほっと落ち着けたりしました。
また、私は最近社長に就任したのですが、同じ「社長」というポジションで働く人がいることも心強いです。つい先日も、ビジネスレザーファクトリーのはなみちさんに、「社長って何すればいいの~?」と相談したばかりで…。やっぱり、プレッシャーに押しつぶされそうになることもありまして…。
社長ならではのアドバイスはもちろん、ボーダレスメンバーとして親身になって相談に乗ってくれるので、本当に精神的に支えられていますね。
― 確かに、事業を進めているメンバーには見えていないことや言いにくいことも、他の事業のメンバーになら話せそうですもんね。
はい。しかも2人だけじゃ正直、仕事に追われるというより追い越されていたから、精神面はもちろんだけど仕事面でも支えてもらっています。今は正式に依頼をして、AMOMAのメンバーに入出荷業務もお願いしていますよ。自分たちの業務もあるのに、いやな顔一つせず取り組んでくれるばかりか、入出荷のプロとして「こうしたほうがいいんじゃない?」と提案してくれることも。主体的に動いてもらっていることに、感謝しかありません。
また気軽に相談できる関係性ができたからか、いろんな人から意見を求められることも増えましたね。おかげで、今まで何事も素直に「そうなんだ」と受け入れていたところを、「ちょっと待てよ」といったん踏みとどまって深く考えるクセもつきましたし、自分の意見に自信が持てるようにもなりましたよ。
― 事業を飛び越えた協力、支えあい体制があるからこそ、今のMENTがあるんですね。
普段の仕事風景を撮影しにいったところ、椅子の部品が折れるという奇跡が発生(笑)。
■当事者だからできること。MENTをこころの不調に悩む人の「最大の理解者企業」に
― 先ほども話に出ていましたが、MENTのハーブティーってファンがいますよね。ECでの取り扱いだけなのに、お客様がオフィスに訪問してくれたこともありましたよね。
はい。ありがたいことに、お客様の声がダイレクトに届いています。
こころの不調に悩む人の中には「できるだけ薬を頼りたくない。」という人もいらっしゃいます。副作用はもちろんだけど、「薬にいつまで頼らないといけないのか」という不安が付きまとうから。また、薬を絶ったり減らしたりするのはとても大変なことで。だから、体に優しく、日々の習慣として取り組めるハーブティーは受け入れられているのかなって。
なにより、MENTはこころの不調に苦しんだ経験がある2人が始めた事業。経営者として特段何かが秀でているとかでも、賢いとかでも、要領がいいとかでもない2人がここまで一緒に走ってこれたのは「当事者意識」があったからかなあ、と。そしてその「当事者意識」がハーブティーをご利用いただいている、関心を寄せてくれているお客様にも一緒に届いているのかなあと思っています。
私たちはメンタルケアの専門家ではありませんが、医療関係者やハーバリストなどのプロフェッショナルからサポートを受けています。そんな会社が全力で「当事者意識」を持って向き合ってくれるという信頼感を感じていただけているのではないでしょうか。あくまでスタンスは「治します」ではなく「一緒に乗り越えていこう」。お客様と同じ目線で、とことん向き合う姿勢はこれからも続けていきたいです。
― 当事者だからこそ、お客様の不安に寄り添えるというのがMENTの強みなんですね。では最後に、これからのMENTの展望を教えてください。
こころの不調に悩む人たちが、だれかと一緒に進んでいける、乗り越えていけるプラットフォームをつくっていきたいです。そのために、もっと多くの人にMENTのハーブティーを知ってもらって、さらにアプリの開発を再スタートさせます。
また、これまでハーブティーのお客様窓口として「お客様の声や想い」をダイレクトに受け取ってきたからこそ、「早く届けたい」という気持ちを維持できましたし、なにより「事業を成功させる」という原動力になっています。
これからもMENTは、お客様のこころの不調をお客様と一緒に乗り越えていくというスタンスは変わりません。だからこそ、これまで以上にお客様との距離感を大切にすることで、事業をもっと大きくしていきます。そして、こころの不調に悩む人たちの「最大の理解者企業」となれるよう、頑張っていきたいです。
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メンタルケアのハーブティー販売という前例のない事業を始め、さらにこころの不調に悩む人が集えるプラットフォームを広げていこうとしているMENT。これからはアプリの開発やメディアの運営などにも挑戦していくそう。
社長に就任したばかりのさとみさんには、また新たな「わからない」が生まれるとは思いますが、きっと心強い仲間たちの支えとお客様の声があるから乗り越えられるのではとも感じました。
多くの人の力を借りながら、着実に成長を遂げているMENT。どんな事業も、1人で何もかもできる必要はないんですね。一緒に乗り越えてくれる仲間の存在がなによりも大切だと、さとみさんから教えてもらいました。
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