こんにちは!ムーンウォークはできない、新米広報マン、ジャクソンです!
アフリカ大好きな変態性分を発揮して、これから「アフリカブログ」を書いていこうと思います。今回はその第一弾、「アフリカの過酷なLGBT事情」についての記事です。

□ここ数年話題の「LGBT」

ここ数年、何かと話題になっている「LGBT」。
2015年には全米で同性の結婚が認められ、日本でも東京都渋谷区で、同性カップルに「パートナーシップ証明書」が交付されるようになりました。この頃から、日本でも「LGBT」というワードを聞く機会が随分と多くなってきましたね!

※LGBT…レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)そのほか、インターセックス(I)クイア(Q)などさまざまな性のかたちがありますが、LGBTはその総称として使われています。

そう、いま世界は「LGBTわっしょーい!!多様性万歳!!」という空気に沸き立っています。そんな中、実はアフリカ大陸では全く異なる動きが起こっていたのです・・・。

□LGBTは認めない!世界に逆行するアフリカ大陸の動き

アフリカ大陸全55カ国のうち、同性間の性交渉を非合法化し、違反者には刑罰(実刑・罰金など)を科している国は現在35か国もあります。

(同性間の性交渉:紺(同性結婚を容認)、黄(放置)、オレンジ(処罰)、赤(終身刑)、エンジ(死刑)、2014年時点(出典

例えば、地図上で、赤色で標されているウガンダでは、2014年に「同性愛行為を繰り返した者には終身刑が課せられる」ことが法律で決まったばかり。

そのお隣の国、タンザニアでも終身刑が課せられます。その勢いたるや、「同性愛はわれわれの文化ではなく、けっして合法化はしない。反LGBT法を維持するためには、海外援助を失うことさえ喜んで受け入れる!」と外務大臣が世界に向かって豪語しちゃったほど。

とにかく、南部の国を除いてほとんどの国で「同性愛とかマジありえねーんだけど。」という反LGBTな空気に包まれています。

□同性愛がなぜ違反?終身刑制定までの歴史

一体なぜ、アフリカの多くの国で同性愛が違反とされているのでしょうか?終身刑が課されているタンザニアを例に見てみましょう。

タンザニアは第一次世界大戦のころ、ドイツの占領下にありました。その時代の1899年、同性愛は非合法化されています。

その後、イギリス統治下となった1945年の刑法で、「自然に反した性行為に対しては終身刑、もしくは30年以上の実刑」と明記されました。

「俺たち同性愛なんて認めないから。お前らも同性愛なんてダメ、絶対。」

と、お偉い宗主国にある日突然言いわたされたのです。運が良いのか悪いのか、この頃すでにタンザニアには、同性愛を認めていないイスラム教が根付き、キリスト教も広まりつつありました。

信仰深いタンザニアの人々は、教典を持ち出されれば何も言えません。西欧の持ってきた同性愛禁止の掟を飲み込み、現在にまで続く差別を生み出す歴史の幕開けとなってしまいました。

今でこそ、西欧諸国は LGBTに限らず人権擁護には敏感ですが、少し前までは普通に差別意識が蔓延していたんですね〜。

□実際、差別って受けてるの?

同性愛者は死刑囚?!アフリカの過酷なLGBT(性的マイノリティ)事情

さて、同性愛が法律で厳しく取り締まられていることはわかりました。そんなに厳しいのであれば、アフリカには同性愛者は全くいないのでは?!と願いたくなりますが、性は授かりもの、もちろんそんなことはありません。

実際、現地の当事者はどんな環境下におかれているのでしょうか?

「家族には死んでも言えない。」25歳ゲイのMくん

私のタンザニアのお友達にゲイのMくんがいます。

彼は、私のことを家族に紹介する時に言いました。
「両親を安心させるために君のことをガールフレンドだと紹介しても良いかな?」

不意打ちの質問に、なんと答えて良いか分からず、私はしばし沈黙してしまいました。その時の彼の神妙な面持ちは今でも忘れません。

「(自分がゲイだってことは)家族には死んでも言えないよ。」

「本当の自分」を身近な人にさらけ出すことができない苦悩は、私には計り知れません・・。

自分の経験を生かし、LGBTの人たちの生活をサポートする地下活動を続けるMくんによると、タンザニア国内の当事者の中には、もっと過酷な境遇の人もいるとのこと。

例えば、
・女装をしていて投石などの被害を受ける
・カミングアウトして働き口がなくなってしまい、売春以外に仕事がない
(性交を強要されHIVに感染する)
・カミングアウトしたことにより悪魔呼ばわりされ、親にも勘当され町を出ることを余儀なくされる
・「同性愛者」だと通報され、警察に射殺される

などなど。

彼らが「本当の自分」をさらけ出して生活するのは、かなり危険な行為なようです。

□「同性愛なんて存在しない。」

国を挙げて反LGBTを掲げているタンザニア。実際、当事者でない人はどんな思いを抱いているのでしょうか?

「もしかしたら、心の中では応援しているかも・・?!」

という淡〜い期待を抱きつつ、タンザニアで50名に街頭インタビューをしてみました。(インタビューは2015年9月に行ったものです。)

ところがどっこい、私の期待は見事に裏切られ、1名を除き全ての人が「同性愛」に断固反対してくれました!

私が「同性愛」と口にするだけで笑い出してしまったり、「公の場でそんな汚い話しないで!」と怒り出したり。みなさん私の意表を突くような、本当にさまざまな反応を返してくれました。(笑)

反対したみんなが口にしたのが、「だって神が許さないでしょう!」ということ。

イスラム教はさておき、ローマ教皇は公式に「同性愛OK!」って発表したんですけどね・・。もちろん、そんなニュースは同性愛NGな国では報道されないのです。

しかし、なんでもかんでも神のせいにして考えることを辞めてしまうのは罪なことではないでしょうか・・?

同性愛者は死刑囚?!アフリカの過酷なLGBT(性的マイノリティ)事情

以上は、私がタンザニアで見聞きしたほんの一例です。広いアフリカ大陸では、地域によって異なるさまざまな問題があると思います。

きっと今も「本当の自分」をさらけ出すことができず、苦しんでいる人たちはタンザニアだけでなく、世界中にいます。彼らが自分らしく生きることができる日は、一体いつやってくるのでしょうか?

私は微力ながらも、こうして文章にすることで遠い国の事実を伝えていけたらと思います。

▶︎Recommend

映画『Call Me Kuchu』
ウガンダの性的少数者を描いたドキュメンタリー映画です。(ジャクソンはまだ鑑賞できていません・・)

「Call Me Kuchu」公式WEBサイト

『アフリカにおける「同性愛」の法と歴史』
富永智津子先生の論文です。アフリカにおける同性愛の歴史が簡潔にまとめられています。

論文:「アフリカにおける「同性愛」の法と歴史」

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