
就職、進学、独立―。数ある進路の中から社会起業家への道を選んだ人が、毎年ボーダレス・ジャパンに集う。2018年4月に新卒で入社予定のメンバーに、この道を選んだ理由を聞いた。
11人目は、神代 悠夜さん。「人が安心して生きられる居場所をつくること」をゴールに掲げる彼女は、何がきっかけで社会問題に関心を持ち、どんな経験を経てこれから何をしたいと考えているのだろうか。
(聞き手 / ボーダレス・ジャパン 新卒採用担当:石川)
インドシナ難民2世の雇用をつくりたい
―最初に、神代さんがやりたいことについて教えてください。
神代:「居場所がない人」に居場所をつくることです。特に「難民」と呼ばれる人たちが、自分の人生をちゃんと歩めるような環境をつくりたい。具体的には、日本にいるインドシナ難民の2世に対して雇用を創出したいと思っています。
―とても具体的ですが、なぜそう思うようになったんですか?
神代:きっかけは、生まれ育った環境にあります。
私自身が、インドシナ難民の2世なんです。私の両親はベトナム出身ですが、ベトナム戦争で中国へ避難し、その後難民として日本に来ました。同じような状況で日本に逃れてきた方―インドシナ難民は約11,000人と言われています。難民は日本では在留外国人という扱いなのですが、母国では国籍を破棄したとみなされるので、日本人でも外国人でもない、無国籍のような状態です。
この状態だと、例えば日本の外に出ることも難しいですし、家を借りづらかったり、就職が難しくて収入が不安定になりがちだったりします。また、3年に1度「在留許可」を得る必要があるんですよね。私自身は日本で生まれて周りの日本人の子どもたちと同じように育ってきたのに、日本から在留許可を受けなければいけないんです。常に日本人と外国人の狭間にいて、日本には自分の居場所がないと感じていました。
私と同じような状況で、さらに生活に苦労する友人と出会ってこういう状態の人は他にもたくさんいると知ったので、難民の居場所をつくりたいと思うようになりました。
相手を思いやることの大変さと大事さを実感した経験
―学生時代はどんな風に過ごしてきたんですか?
高知の大学に進学して最初の1年は、主に2つの活動に取り組みました。
その1つが、NPO法人「四国青年NGO HOPE」の活動です。大学では国際協力の活動が盛んではなかったので、友達に誘われてこの合宿に参加しました。同世代の四国の学生が100人集まって、「国際」をテーマに3日間、文化から社会問題まで色んな話題について真剣に議論をしました。
そこで、自分の関心がある問題に対して行動を起こしている人たちに刺激を受けて、社会問題をちゃんと見つめ直したいという思いで、海外ボランティアにも参加しました。ビザの関係上、ベトナムしか行くことができないのですが、障がいを持つ子どもが暮らす孤児院で1ヶ月間のボランティアをしました。
もう1つは、貧困のない公正な社会を目指す国際NGOオックスファムのリーダーシッププログラムです。四国以外の学生とも繋がりをつくるために参加したんですが、そこには、社会問題をなくしたいという思いのもと、国際協力団体の立ち上げた人や代表を務める人たちが集まっていました。
そんな仲間との出会いや、アショカ・ジャパンのユース・ベンチャラー選出もあって、自分で国際協力団体を立ち上げたのが大学2年の秋でした。社会問題を知った人が次のアクションに繋げるヒントを得られるような団体を目指していたんですが…。
結局、私がメンバーに団体の理念や意義を伝えきれなかったことが原因で、半年で解散になってしまいました。メンバー間で目的ややりたいことがずれてしまっていて、それをまとめきれなかったんです。
大学3年の時は半年くらい、あまりアクティブではない期間がありました。そんな時にもう1度原点に戻る機会をもらって、HOPEの合宿で、企画の骨組みをつくりチームビルディングにも挑戦できる実行委員長を務めました。
実行委員はワークショップづくりから100人の学生をまとめるチーム作り、集客など何でもやります。メンバー15人は四国から集まってきているので、普段は離れて生活していて意思疎通自体も大変でした。でも、皆のモチベーションを上げながらやり切れたことは、自分にとって良い経験になったと思います。
この経験を経て、1人ひとりとコミュニケーションをとりつつ、本当の意味で相手を思いやることの大変さと重要さを実感しました。やりたいことがあって、どれほど一生懸命それを伝えたとしても、それが相手への押しつけになってしまったら気持ちは離れてしまいます。相手のためになること・相手のためにできることを考えて初めて、伝えたいことが伝えられるということを学びました。
コンサル志望から事業家へ
―自分の志が具体的になったのは、いつだったんですか?
神代:大学2年生の頃ですね。アショカのユース・ベンチャラーに応募した際に、自分のアイデンティティを見つめ直したからです。自分と同じような状況で困っている人たちのことを考えて、そこに焦点をあてるようになりました。それから、実行委員長などの経験を通じて「居場所づくり」が自分のキーワードになっていきました。
―就活の時はどうしていたんですか?
神代:最初は、コンサルティングの仕事をしたいと思っていました。顧客の状況に合わせて戦略を立てて企画に落としていくのが、自分に合いそうだと思ったんです。
また、NPOへの就職を考えたこともあったので、まずは自分がビジネスを学んでちゃんとお金を回せるようになるためにも、企業への就職を考えていました。その中でも特に、人材派遣・紹介ではなく採用コンサルという分野で、人の雇用創出や、新卒採用をクライアントと一緒に考えることをしたいと思っていました。
―自分で起業することは考えましたか?
神代:全く考えていなかったです。自分でゼロからやるのは無理だと思っていたんです。でも、自分で事業をつくれるかもしれないと思うきっかけをくれたのが、ボーダレス・ジャパンでした。
―ボーダレスのことはどうやって知ったんですか?
神代:オックスファムの先輩が紹介してくれました。
―何故、ボーダレスでやってみようと思ったんですか?
神代:鈴木さんと話して、やりたいことを実現する近道がボーダレスだと思ったからです。自分でゼロからつくれる自信はありませんでした。
でも、鈴木さんに「能力とか抜きにして考えた時に、やりたいことは何?」って言われて。やっぱり少しでも早く、この問題をなんとかしたいと思ったんですね。
ここだったら、同じような志を持つ仲間から色んな意見をもらいながら事業をつくっていけると感じたので、ボーダレスでやってみようと思いました。
―これからどんなことに取り組みたいですか?
神代:入社までは、卒業論文を軸にインドシナ難民が直面している問題を更に深堀りしたいと思っています。もちろん、雇用創出の方法もより具体的にしたいです。
いまは、地方のコミュニティの中に雇用をつくりだせる可能性があると思っています。私自身が大学4年間を高知で過ごして、この地域で暮らす人たちにたくさん助けてもらいました。日本の地方だからこそ、居場所となるような温かいコミュニティがあるのではないかと思います。
入社後は、ビジネスの力を最速でつけたいです。いま考えているソーシャルビジネスのアイデアも何度も書き直しながら、1日でも早く実現できるよう、愚直に努力していきます
―ありがとうございました。来年4月、楽しみに待っています!
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