
就職、進学、独立―。数ある進路の中から社会起業家への道を選んだ人が、毎年ボーダレス・ジャパンに集う。2018年に新卒で入社予定のメンバーに、この道を選んだ理由を聞いた。
4人目は、大橋 希さん。「中東地域の貧困問題を解決したい」と語る彼女は、何がきっかけで社会問題に関心を持ち、どんな経験を経てこれから何をしたいと考えているのだろうか。
(聞き手 / ボーダレス・ジャパン 新卒採用担当:石川)
社会問題との関わり方を模索した大学生活
―最初に、大橋さんが成し遂げたいことについて教えてください。
大橋:ヨルダンの貧困問題をなくしたいです。そこで暮らすヨルダンの人はもちろんですが、特に、アンマンにいるシリア難民の人たちの問題を解決したいと思っています。
シリアでは、難民キャンプにNGOが多く入っていて、毎日ギリギリではあるものの、生活はできています。一方、アンマンにいる難民は街の中で暮らしているので、NGOの支援は届きにくいですし、仕事もない状態です。
難民の方々は、生まれた時からその状態だったわけではありません。家があって仕事もあって、私たちと変わりなく暮らしていたのに、内戦の影響で国を追われた結果、貧困状態になりました。
戦争や紛争をなくすことも必要ですが、まずは今困っている人たちに、雇用創出という持続的な方法でアプローチしたいと考えるようになりました。
―大橋さんがこういう社会問題に関心をもったきっかけは、何だったんですか?
大橋:高校生の時のフランス留学ですね。フランスという国に特定のイメージはなかったんですが、現地にはたくさんの移民が暮らしていました。アフリカやアジアなど、色んな地域の移民の人と出会う中で、移民とフランス人の間にある格差を感じたんです。住んでいる地域が明らかに違ったり、治安が悪かったり。それまで日本しか知らなかった私は、衝撃を受けました。
また、ホームステイ先のホストファザーがアルジェリアの人でした。その方がイスラム教徒で断食をしていたことや、学校の授業でもイスラム教に触れて、イスラム教と中東そして社会問題に興味を持ちました。
―大学生になってからは、どんなことをしてきたんですか?
大橋:社会問題を政治で解決するという視点から、法学部で政治学を専攻していました。途上国の行政をどう立て直すかとか、そういう勉強ですね。
海外インターンの学生団体AIESECでは、日本の大学生を海外インターンに送りだすプロジェクトを担当していました。結構大きな団体で120人ほどのメンバーがいて、3年生の時は副委員長としてメンバーの採用・育成も担当しました。
その年の夏休みには1ヶ月、AIESECを通してチュニジアの海外インターンに参加しました。現地のAIESECが考えたサマープログラムで、女性の人権を考えるイベントを開催したり、教育支援をやったりしていました。
社会問題には幅広く関心があったので、学生団体の他にもソーシャルビジネスの会社での短期インターン、NGOでの環境問題のアドボカシーなどを通じて、社会問題にどんな役割で携わっていくかを模索していました。
ヨルダンで目の当たりにした風景とは?
―「中東」や「難民」にフォーカスしたきっかけは何ですか?
大橋:大学4年で留学したフランスの大学で、ヨーロッパが難民をどう受け入れていくのかなどをテーマに1年間勉強したことです。その中で実際に自分の目で見たいと思って、夏にヨルダンへ2ヶ月滞在しました。
そこで、ボランティアで難民支援に携わっている方と出会ったり、難民キャンプを訪れたり、シリアを逃れてアンマンで暮らす方々の家を訪問したりしました。
アンマンでは子どもが落ちているものを拾ってお金にしているような状態にも驚いたのですが、じっくり話を聞くと、当たり前のように亡くなった人の話が出てきて。皆、身内を亡くしているんですよね。もともとは私たちと同じように家族がいて、家があって暮らしていたのに、突然生まれ育った国を追われて貧困に陥ってしまったんです。
それを理解した時、自分をこれ以上幸せにするとかじゃなく、この人たちの支えになることをやりたいと思いました。自分がやらないで誰がやるんだろう、って。
義務感というほど堅苦しいものではなくて、単純に、なんでこんな風になってしまったんだろうという、社会問題に対する憤りみたいなものでした。
最速で最大のインパクトを追求するため、ボーダレスへ
―最初は、政治的アプローチを考えていたんですよね?
大橋:そうですね。状況を大きく変えるなら、政治だと思いました。だから、更に政治でのアプローチを学ぼうと思ってイギリスの大学院に進学したんです。大学卒業から院進学までは半年ほど時間があったので、その間に介護・医療・ヘルスケア系の企業で新規サービス立ち上げのインターンに参加しました。
大学院で学んで思ったのは、結局政治から変えるのは時間がかかるということです。規模は大きいですが、どうしてもスピードが落ちる。社会問題は深刻で、今日を生きられるかさえ分からない人がいるのに、ゆっくり進めるわけにはいきません。だから、より早く問題解決できるビジネスをやろうと決めました。
―ボーダレス・ジャパンはどうやって知ったんですか?
大橋:大学院の友人の友人が、ボーダレスのメンバーで、社名を聞いたことがあって。そのあと、ビジネスで社会問題を解決するソーシャルビジネスを調べていたときに見つけました。
―どんな印象を受けましたか?
大橋:純粋に、面白い!と思いました。ソーシャルビジネスの企業は事業領域を絞っているところが多いですが、ボーダレスは様々なジャンルの社会問題に対してビジネスを創っています。
私自身、起業はあまり考えたことはなくて、いきなり自分で始めて食べていけるほどの自信もありませんでした。でも、ボーダレスは早くから事業を立ち上げているメンバーも多くて、「あ、こういうやり方もアリなんだ」っていう発見がありました。これなら、自分がやりたいことを形にできそうだと思ったんです。
あとは、企業の勢いやスピード感も大事にしていたので、「ソーシャルインパクトを大事にしている」という社長の言葉に共感しました。
―これからはどんなことをしていきたいですか?
大橋:ヨーロッパには難民を対象とした事業がたくさんあるので、マネできるアイデアをみつけて、それを参考にビジネスアイデアをより具体的にしていきたいです。もちろん、ヨルダンにももう1度行きます。
私が注目しているものとして、ITはビジネスのスピードを上げてアプローチを広げられる可能性があると思います。これから自分でも体験しながら、ソーシャルビジネスに活かしていきたいと考えています。
―ありがとうございました。来年4月、楽しみに待っています!
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