
就職、進学、独立―。数ある進路の中から社会起業家への道を選んだ人が、毎年ボーダレス・ジャパンに集う。2018年4月に新卒で入社予定のメンバーに、この道を選んだ理由を聞いた。
3人目は、石出 恵さん。「どんな環境に生まれた子どもでも、可能性に向かってチャレンジできる世界をつくりたい」と意気込む彼女は、どんな学生生活を送り、これから何をしていきたいと考えているのだろうか。
(聞き手 / ボーダレス・ジャパン 新卒採用担当:石川)
教育を届けるために貧困をなくしたい
―最初に、石出さんが成し遂げたいことについて教えてください。
石出:私は、子どもがどこに生まれてもチャレンジできる社会をつくりたいです。カンボジアに長く関わってきたので、最初にそこで始めたいと思います。
実現のためには教育が重要だと考えていますが、カンボジアは農村部と都市部で格差が大きいので、まずは農村の人々が直面している貧困問題を解決したいです。
―いつから社会問題に興味を持つようになったんですか?
石出:小学校のときですね。総合の授業で、ノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんや、パラリンピックの選手の講演がありました。そこで、社会問題に関心を持ったんです。
中学・高校時代はバスケ一色で、大好物のアイスも炭酸飲料も封印して、プロテインを飲んで体力をつけながら(笑)、毎日練習に明け暮れていました。
また、高校では青年海外協力隊についての話を聞く機会がありました。英語を使って海外で人助けができるのは良いなと思ったんです。当時、貧しい国=カンボジアと思っていたので、カンボジアのフィールドスタディや国際協力系の講義を開講している大学を選びました。
―大学では、最初から国際協力に携わっていたんですか?
石出:すぐに教育支援の国際協力NGO「CBB」に入りましたが、1年はほぼ参加しませんでした。当時の副代表に「どうやって支援したい?何を解決したい?子どもを笑顔にしたいだけなら、彼らは君がいなくても笑っている」と言われ、力をつけてからじゃないと行けない場所だと思ったんです。
大学受験予備校でアルバイト、震災ボランティアなど、身の回りでできることから取り組みました。
CBBでカンボジアに行ったのは、1年生の春休みが最初です。村で塾を開いたり、家庭訪問をしたりしました。
今でも鮮烈に覚えているのが、算数の成績が一番良かった子どもに将来の夢を聞いたときに「工場で働くこと」と返されたことです。彼女の家はゴミ拾いで生計を立てていました。日本で色んな夢を見てきた自分と違って、こんなに勉強ができるのに…とやりきれない気持ちになりました。
このころから、どんな環境に生まれた子どもでも、自分の可能性にチャレンジできる社会にしたいと強く思うようになりました。
学生代表、休学を経て得たものとは?
―2年生の秋からは、学生代表になったそうですね?
石出:はい。就任後はカンボジアの良いところを日本の人に知らせる目的で300人規模のカンボジアフェスタを主催してみたり、春休みには1ヶ月間カンボジアに渡航したり、3年の5月には日本とカンボジアを繋いでスカイプ授業を始めてみたりと、色々トライしました。
そうやって試す中でもっと長期間現地で過ごしたいという思いが強くなり、思い切って休学して、カンボジアに行くことにしました。
―休学してまでやってみたかったんですね。
石出:そうですね。やると決めたら、とことんやりたいタイプなんです(笑)
周りが就活に突入していく一方、私は4月からの渡航に備えてお金を貯めました。朝は築地の市場でアルバイト、昼は学校で授業、夕方から飲食店で働いて…。
そして去年4月から7ヶ月間、CBBカンボジア代表として村に駐在しました。先生探しや生徒集めをして学校を立ち上げ、スタッフ育成、授業の企画など、何でもやって。どうやったら持続的に、この村に教育機会を残せるかを考えて試行錯誤する中で、生徒は多い時には120人ほどになりました。
―休学期間中はどんな収穫がありましたか?
石出:自分のやりたいことを「ビジネスで実現したい」と心から思えたことが一番の収穫でした。ボランティアなのか現地就職なのかなど、自分の関わり方はそれまでの3年間では結論が出ていなかったので。
団体にはいつもお金がなくて、先生の給料のために自分のお金を切り崩すことも、いい勉強環境を整えるのを諦めることも多々ありました。また、一方的にあげているだけでは、カンボジアの人は「外国人=お金をくれる人」と認識し、主体的に何かしようとはならないんだろうなと思いました。
それなら、現地の人にも自分にも責任が生じる対等な関係でビジネスをやることが、いちばん継続できる方法なんじゃないかなと。
また、教育を子どもに届けるには、カンボジアの農村部は貧困問題をなんとかする必要があります。子どもはいくら学校に通って勉強したくても、親から言われて出稼ぎに行ったり、学校を辞めたりします。
だから、教育の大切さを伝えるより先に、根強く残る貧困問題を解決するべきではないかという結論に至りました。
7ヶ月活動したからこそ、こう思えたんだと思います。
「片手間」や「5年後」じゃなく、最速で始めるために
―帰国してから、就活はどうしたんですか?
石出:まずは何かに登録しなければと思って、友人から勧められたGoodfindに登録しました。ボーダレス・ジャパンはそこで知りました。
―どんな印象を受けましたか?
石出:やりたいことに一直線に行くならここだ!とは思いました。
一方で、社会課題を解決するビジネス・海外展開・新規事業に早くから関われる、という軸で他の企業も見ていました。商社とか、新規事業立上げを早くからできるベンチャーとか。でも、途上国の問題解決のビジネスができそうなところはあまりなくて。
そんな時にたまたまボーダレスの座談会があって、そこで社長と話したことで「カンボジアなどの途上国で働きたい」という想いが具体的なアイデアに繋がって、自分にもできそうなイメージを持てました。
社会問題には、仕事の合間の時間を使って携わる方法もあります。でも、私は「何かの片手間で関わる」とか「一旦離れて5年後に本格的に始める」くらいのスピードは嫌だったんです。
だから、自分のやりたいことを仕事にできる場所、かつ同じような志を持つ仲間がたくさんいそうなボーダレスを選びました。
―最後に、これからやりたいことについて聞かせてください。
石出:まずこの1年は、カンボジア以外の国にも行って現地の課題を更に知ることで、創りたいソーシャルビジネスのアイデアを練っていきます。
あとは、仲間を増やしたいと思っています。卒業後にも国際協力に関われるということを、特に大学生に知ってもらいたいです。
入社してからは少しでも早くカンボジアで事業を立ち上げたいです。カンボジアではすでにソーシャルビジネスが生まれています。マッサージ師を教育して職人に育てたり、カゴづくりで雇用を生んだり。ただ、今ある事業は、サービスの受け手のほとんどが日本人なので、カンボジアの人のためにカンボジアの人がやるようなビジネスができたらと考えています。
―ありがとうございました。来年4月、楽しみに待っています!
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