農村部の貧困問題の解決を目指し、持続可能な農業と社会をつくる事業
BORDERLESS LINK(ボーダレスリンク)
2018年夏の2か月間、現地インターンで大活躍してくれた加藤くんよりブログが届きました。

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初めまして! 2018年8月始めから9月末までの約2か月間、ミャンマーのBorderless Linkでインターンをさせてもらっていた、加藤岳志です。ミャンマーでの濃い2か月をこのブログでご紹介したいと思います。

 

『人のためになる働き方を』大学時代の印象的な出会い <自己紹介>

僕は現在、北海道にある大学の4年生(5年目)です。北海道生まれ、実家も農家で、畑と牛に囲まれて育ってきました。(実家から最寄りのコンビニまでが車で30分という環境で暮らしていました…笑)

大学時代には
・フィリピンへの1か月間の語学留学
・ベトナム、シンガポールの日系企業への訪問プログラムへの参加
・ベルギーへの1年間の交換留学
を通して、様々な出会いを経験しました。

印象に残っているのは初めて行った海外である、フィリピンで“ストリートチルドレン”を目にしたこと、
英語学校の先生の日給が自分のアルバイトの時給と同じであることを知ったこと。

さらに、ベルギー交換留学中には、
・シリア難民の女の子から聞いた、友人を空爆で亡くした話や、ろうそくのあかりのなか勉強していた話。
・モロッコで出会ったラクダ引きの男の子から聞いた、海外で勉強をしてみたい夢はあるけど、ビザとお金の問題で難しいという話。

これら、海外を含めた多くの人との出会いによって「どうせ働くなら人のために」という考え方が強くなっていきました。

 

 

僕がBorderless Linkのインターンへの参加を希望した3つの理由

(1)ソーシャルビジネスの実際のところを知りたかった
―NGO、NPO、国際協力機構などと比べて、「インパクト」「継続性」という観点から見るとどうなのかに興味がありました。

(2)開発途上国の農業生産者が抱えている課題を知る+その解決方法を考えてみたかった
―農業がとても身近にある環境で育ってきたこともあり、将来、農業という産業の特性上うまれる課題(例えば、健康、子供の教育、女性の人権、収益の不安定さなど)を解決することに貢献したいという想いから。特に開発途上国では課題克服への壁が高いと考えました。

(3)自分の働く軸を確立したかった
―僕は就職活動を6月に終えていましたが、『これから何のために働いていくか』で悩んでいたところがあり、インターンに行くことが、それを確立させる良い機会となると思い、応募しました。
(春から働く会社が決まっているのにも関わらず、「採用目的のインターン募集ではない」と受け入れてくれたBorderlessには感謝、感謝です。)

 

 

農家へのサポートを叶えるため、知識の蓄積に取り組んだ2か月


Borderless Linkの事業は、「農家へのトータルサポートを提供する」こと。

この事業を展開していくには当然、農家へアドバイスをできるだけの知識が必要です。

そこで、Borderless Linkでは、土地を所有し作物を育てるリサーチ・ファーム(Reserch Farm)と、

農家さんから土地を借り、収穫物は全て渡す代わりに栽培方法は僕らのやり方を試させてもらうデモ・ファーム(Demo Farm)を持ち、これらの畑で、肥料の量や施肥のタイミングを変えたいくつかのパターンを試していました。

 

僕はこれらの畑や、外部への調査などを通して、農業の知識を自社に蓄積していくReserch&Development Teamに所属し、以下のように大別すると3つの仕事に取り組んでいました。

①Reserch&Demo Farmでの農作業

僕の初日の仕事は、「トウモロコシのReserch Farmの種まき」

他の社員さんと一緒に鍬を持って畑に行き、耕し、植えました。そのまま2日目は、「お米のReserch Farmの畔作り」を。「ふむふむ、やはり手作業で仕事を進めるのは体力的なきつさと畑の大きさに限界があるな」などと開発途上国の農業を文字通り実体験させてもらっていました。
…正直、「自分は2か月間毎日こういうことをやるのかな」と不安に思ってしまった2日間でした(笑)。
実際はトウモロコシもお米も1度植えてからは追肥、防除が主な仕事でそこまで頻繁に農作業を行うことはありませんでした。

 

②Reserch&Demo Farmのデータ取りと分析

Reserch&Demo Farmでそもそもどのようなデータを取っていくかを考え、データを取り、そのデータを分析していく仕事です。簡単な仕事のように聞こえますが、これは本当に頭を悩まされました。

僕らが試している畑からどのようなことを知りたくて(知ることができて)、それはどのようなデータのとり方と蓄積をすれば良いかという“予測と逆算”をする必要がありました。

これを、チームのミャンマー人社員さん2人と一緒に考え、データ取りを行っていきました。

2か月間では成長度合いのデータは集められましたが、収穫にまでは至らず、データの分析に関してはあまりできず、結論までは出せませんでした。

 

③農家への調査(Survey)

ベストな農法を知るために、農家さんに色々教えてもらおうというものです。

実際にその場所で農業を長年続けている農家さんから学ぶ農法も多くあると考え、複数人からそれを聞くことでその場所でベストな農法を知ることができると考え、調査を行っていました。

チームの社員さんと一緒に、何を知るためにどのような質問をどのような聞き方でするかを考え、調査し、答えをまとめ、蓄積&修正を加えていきました。

これを続けていく中で、多くの農家さんが今抱えている課題を知ることもできたのも事業にとってプラスとなりました。

僕が印象に残っているのは、Borderless Linkのミャンマー人社員さん2人の言葉です。仕事後にはよく、社員のみんなと一緒にウイスキーやビールを飲みながら、夜ごはんを食べていました。

ミャンマーに来てから1か月程経ったある夜、ミャンマー人の社員さんといつものように話をしていました。

その中で仕事と家族の話になり

「今の仕事が大変じゃないのか、家族と一緒に暮らしたくないのか」

「なぜ、日本から来た農業のこともミャンマーのこともほとんど知らない僕にそこまで優しくしてくれるのか」ということを聞いてみました。

1つ目の質問に対しては「人間には何種類かの人がいると考えている。自分のためだけに頑張れる人、家族のために頑張れる人、村のために頑張れる人、国のために頑張れる人。自分はその『誰かのために』の幅を拡げていきたい。だから仕事を頑張っている。」と語ってくれました。

僕が常々すごいと感じていた、その方の仕事に向き合う姿勢-その裏にはこのような想いがあったのだ、と知った時、僕も『これからの仕事が辛くても、こういう気持ちを忘れたくない』と強く感じました。

 

2つ目の質問には「私は借金を返しているだけだ」と別の方が答えました。

借金とはどういうことなのかと聞くと、「20年前に日本にいた時に、たくさんの人の優しさとおもてなしに触れた。これを自分が今、関われる人に自分がすることで返していきたいと思っている」と話してくれました。

とても素敵な考え方だなと感じました。僕自身も今までの人生で多くの「借金」をしてきました。だから、僕もこれからこれを返していきたい。いつかミャンマーという国やBorderlessの人にも返していきたい、と強く感じたのを覚えています。

この出来事は最もミャンマー生活で印象に残っていることです。

 

このインターンの学びから、これから特に大切にしていきたいこと。

2か月間を通して、4月からの社会人生活でも大切にしていきたいと思っていることが2つあります。

「自分で自分や他人の限界の線引きをしないこと」

一緒に仕事をしていた社員さんからとても大切だなと感じたことです。農業について全く知識がない社員さんも、自分の役割はここまでとは全く決めていませんでした。社員全員から、自分が今まで全く関わってこなかった分野にも恐れず、貪欲に知識を吸収していく姿勢を感じていました。

これまでの自分はどこかで自分の得意なことや、苦手なこと、そして役割を決めていたところがありました。

そしてそれを他人にも自分で勝手にしていたところがありました。『線引きをやめることで、見えてくる景色が違うものになる』と確信したので大切にしていきたいことだと思います。

 

「周りが前を向けるような人を目指すこと」

周りが前を向けるような人、というのは、Borderless Linkの社長の社員さんへの接し方、かける言葉などから強く感じたことです。

社長がいると、もしくは社長と話した後はみんな前向きになり、明るく仕事に取り組めていました。そしてこれが、Borderlessが目指している「社員それぞれが自走できる組織」作りにはとても大切だと思いました。

笑顔が絶えない職場では働いていて何より楽しい。そして間違いなく事業の進むスピードにも関係してくると思います。自分もいつかこういうチームビルディングをできるような人間を目指していきたいと強く感じました。

 

長々とミャンマーでの2か月間のインターンのことを書かせてもらいましたが、ほんとはもっとたくさんの出来事や出会いがありました。このインターンに参加することで確かめられた気持ちや、分かったこと、出会えた人がいます。

僕は“誰かのために”を拡げられる人になりたい、そして今まで受けてきた「借金」をしっかり返せる人間になりたい。-それを目指して頑張っていきたいです。

最後に、このような貴重な機会を提供してくれたBorderless Japanの社員の方、本当の家族のように迎えてくれたBorderless Linkの社員の皆さん、多くの素敵な出会いと気づきを与えてくれたミャンマーという国へ本当に感謝してます。