
自分が目指しているものを目の当たりにしたとき、人はどんな感情になるだろうか。
私は山口絵里子さんの講演会「裸でも生きる」を聞き終わったあと、「悔しさ・焦り・やる気」の三つの感情が渦巻いていた。
山口絵里子さんは株式会社マザーハウスの代表権チーフデザイナーだ。
マザーハウスは「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という経営理念を掲げ、その言葉通り日本・台湾・香港と現在22店舗を展開している。
2006年にバングラデシュの特産品である「ジュート」や「革」を使用したバッグなどの革製品販売から始まり、ネパールでつくられたストール、そして今年はインドネシアで作られたジュエリーなど、ビジネスシーンをどんどん拡大していっている。デザイン性がとても高く、製品そのものが消費者の心を掴んでいる。
出典:マザーハウス
山口さんはたった一人でバングラデシュに渡り、現地の大学院を日本人で初めて卒業したのちに、バングラデシュでバッグ作りを始め、23歳でマザーハウスを設立した。自分を信じて突き進んできた女性だ。
出典:マザーハウス
出典:マザーハウス
講演会は山口さんの半生やマザーハウス設立までの険しい道のり、バングラデシュの自社工場が参加者の目に見える形で行われたスカイプ、副社長である山崎さんと山口さんの対談など、本当に盛りだくさんの内容だった。
この講演会に行こうと思ったきっかけは、社内で山口さんの話が出てきたこと・そして7年前に毎日放送の「情熱大陸」で当時の山口さんのことを見ていたので、実際にどんな人なのか、どんな気持ちでここまで歩んできたのかを自分の目で見て、耳で聞きたかったからだ。
講演会の後は、なんだか本当に悔しくて悔しくて今までの自分がとてつもなく疑問で仕方がなかった。そして文章として伝えたいことが定まらなくて悩む日が続いた。
途上国で行うビジネスを見つけたくて一人でインドに行ったのに心細くて日本に引き返したこと。国際機関で働きたいと思っていたのに言語の壁にぶつかってあきらめたこと。気持ちをうまく言葉にできないこと。
今までの情けない上辺だけの自分がグルグル頭の中を巡って、山口さんの言葉や存在がまぶしくてとても耐えられなかった。
けれどその悔しさと情けなさが、次第に焦りややる気に変わっていくのも感じていた。
何かを成し遂げている人は、努力をあきらめない人だと思う。それが言葉から、表情から、雰囲気から伝わってくる。そのオーラは周りの人を包み込んで希望を与える。その人に触れるのは刺激的だ。
そして同じ時代に目標となる存在がいるのは、生きる上でとても大切なことだと思う。目標は言い換えると生きる目的かもしれない。生きる目的なんて知らんがな!という人もいると思うが、無理矢理設定するのも一つの手だと思う。そのゴールに向かって一歩一歩進むことで、少し生きやすくなる気がする。
山口さんは講演会の最後に「口だけは嫌いで、形にしたいと思っている。どれだけの人の可能性を形にできたか?と思って死にたい。」と言っていた。
私も口だけで終わらないよう、必ず自分の生きる目的を形にしてから死にたい。