全国に店舗展開するまでになったBusiness Leather Factory(以下、BLF)。初めは営業から什器(店頭に並べる機材など)の準備、従業員の採用・教育まで全て、なんとアライアンス統括マネージャーの大塚 祐子(サラさん)1人で行ってきました。

サラさんが入社してからまだわずか1年。一体どのようにしてBLFの店舗展開を急拡大させてきたのでしょうか?現在に至るまでの道のりをお聞きしました。

サラさん

◆広告営業から店舗開発の担当に

-店舗開発と前職の広告のお仕事はまた違いますよね?苦労などはありましたか?

サラさん「基本の進め方とかは一緒なのかも。ただ、初めは業界用語がわからなくて大変だった。会社としても前例がないから誰にも聞けないし、色々な方にアドバイスをもらって進めました。」

-ボーダレスならではのやり方に驚いたこともあったとか。

サラさん「ここはなんでも自分でしないといけなくて、びっくりした。初めて佐世保で催事(期間限定ショップ)をしたときは、自分でハイエースを運転して、運んだ什器を現地で組み立てて、販売・名入れ刻印までを1人で…。"なんでも"の幅が違いすぎる(笑)」

「それから何をするにもスピードが求められ、これまでの2,3倍のスピードが必要でした。」

佐世保_商品

◆催事、二店舗同時オープン

-本当に全部一人でされてましたよね(笑)そんな中特にキツかったことはありますか?

サラさん「佐世保の次に、1人で催事を二店舗同時オープンした時はめちゃくちゃキツかった。本格的にブランディングに取り組んだ初めての店舗だったから、ブランドの方向性やロゴの決定、ショップバッグなど全てのデザインのディレクションや発注、在庫管理や販売方法、全てを1つずつ決めながら、人の採用や研修、店番までを行って…。」

logo

-あの時サラさん全然ご飯を食べられなくて、どんどん痩せていってましたよね…。

サラさん「そうそう、あの時はすごい痩せたよね(笑)心が折れそうなときもあったけど、バングラデシュの光景を思い出すとこんなことで弱音を吐けないなと思った。現地に行った時に見た工場のみんなの様子や、シェルターハウスの子どもたちのことは一生忘れない。」

「ある女の子はまだ12歳なのに子どもがいて、子どもを預けて娼婦をしなければ生きていけないことに、大きなショックを受けた。シェルターハウスではみんな明るく接してくれたけど、こんな思いをする女性や子どもたちを増やしたくないと思った。」

シェルターハウスのみんなと550

◆初めて直面したマネジメントの壁

-それから店舗メンバーも徐々に増えてきたと思いますが、マネジメント面で大変なことはありましたか?

サラさん「”心のケア”ができてなくてメンバーが辞めたことがあって。みんなは”こんなにやっている”という意識だったけど、私自身は当時誰のことも認めていなかった。なんでできないんだ?私にできてあなたにできないことってないでしょ。って思ってた。」

「気づいたら新店のオープン前から、みんな死にそうになってた。そのことに事前に気づけなかったし、思いやる心の余裕もなかった。人それぞれ得意分野もキャパも違うし、自分とは違う。新店オープンという大変な環境にみんながいてくれることが、本当にありがたいことだと感謝するようになった。みんなの気持ちに気づけないとはひどいマネージャーでした。」

オープン550

◆自己改革を繰り返して

-それからマネジメントの仕方も大きく変わったとか。

サラさん「初めのうちはお店の売上が下がったら、なんであれをやらなかったのと、みんなを責めていた。そうすると萎縮して、私が怖いからやるという空気に。次第にお店から笑顔が消えた。これじゃダメだと、やっていないことを責めるのではなく、今までやっていなかった新しいことを提案することに。それから雰囲気が変わり、笑顔が戻った。売上も伸びていった。とにかく人間としての器を大きくすることを日々心がけています。」

てんちかの工事中のお店でさわちゃんの誕生日

-変われたきっかけなどはあったのでしょうか。

サラさん「全部ボスから学んでる。前職で技術面ではたくさんのことを教わったけど、"人として大切なこと"を教えてもらうことはなかった。仕事をしていくうえでの人間力、"自分の元で働く人が、どうやって成長していくのか"を真剣に考えて事業を進めるブレない姿勢。」

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「メンバーの心のケアができなくてスタッフが辞めた時、店舗展開を加速させる前に今あるお店をもっと地固めしていきたいとボスに相談した。でもボスには、展開のスピードをゆるめてはいけないと言われた。バングラの問題を解決するためにもスピードは絶対落とせない。」

◆風化しない想い

-現地に行ったのは1年前だと思いますが、気持ちが風化することは?
「風化することはないね。ファルクさんから現地の様子や新しいメンバーの話を聞けるから。現地の話を聞くと、さらに加速しないとと思う。バングラの皆の前で"世界中にお店を作ります"と宣言したしね。」

バングラ550

-今のBLF(店舗展開の速度、組織の成長の速さなど)を見てどう思いますか?

サラさん「1年で10億くらいの売上にしないと多くの人を救えないと考えていたから、現状に対してはもっとできたんじゃないかと思う。とはいえ、一般の会社のスピードに比べたら速いと思うし、自分が入った時は、カラーもブラック、ダークブラウン、ブラックネイビーの3色だけだった。」

「自分でも売れるかな?と弱気だった。実際佐世保では売れなかったけど、それから新しい什器にしてカラーを増やしてと色々やってみた時に、すごい売れた。びっくりした。こんなに売れるようになるなんて想像できなかった(笑)メンバーが増えていることも。1人で始めた店舗展開も今では12人のチームに。家族が増えていくみたいで嬉しい。」

オープン当日の祝杯

◆これからのBLFが目指す未来

-サラさんが描くこれからのBLFの姿を教えて下さい。

サラさん「何をするにもメンバーがすごく大事だな、と思っていて、1人でも欠けていたら今のお店はない。本当にいい人達が集まってくれたから、みんながこの事業を通して成長できて、ずっと働きたいと思うような、もっともっといい環境を目指したい。」

「販売員=低賃金というのを変えたい。それが一番の課題。それから、日本は豊かだけど色々な問題を抱えている人がいる。60歳以上の人を採用したり、いろんな能力を持った人が働きやすいお店を作っていきたい。いろんな人が集まる=いろんな見方ができる。そんな人達と日々いいお店にしていきたい。」

◆サラさんの成長の秘訣

-日々成長し続けるサラさんですが、成長するために行っていることがあれば、ぜひお伺いしたいです。

サラさん「3つあって、1つ目は人の考え方や視点など、気になったものは全て試してみる。例えば "ちょうはいもむしから一度液体になってさなぎになる。まず自分の体をドロドロに溶かす。"という話を聞いて、なるほどなって。行き詰まったら、自分の殻とか考え方をドロドロに溶かして、1回リセットしてみる。」
蝶

「2つ目は週に一度本屋さんで情報収集すること、3つ目は常に新しいことにチャレンジすること。」

◆“変わることを喜べる生き方”を目指して

-これからサラさんの人生で目指していくことはありますか?

サラさん「よく聞かれるけど決めていない。どの仕事もやってもやり足りない。高みを見れば自分はまだまだ。自分に足りていない能力を日々磨いて高めていくこと。」

「唯一目指しているのは、"変わることを喜べる生き方"。いつも安定した生活に憧れを持つけど、安定を自覚した瞬間に成長は止まる。継続的安定には努力が必要だと思う。自ら変わることを恐れずに、攻めの姿勢で生きていきたい。」

その後、「自分のためだけならこんなに頑張ってないかも。」と呟いたサラさんに、社会起業家の愛情の深さと、それ故に自分に課す厳しさの両方を感じて、とても印象的でした。

そんなサラさんを作ったのは、"婚約破断"・"うつと過労"・"母の病気"…人生のさまざまな苦労。インタビューの合間に貴重なこぼれ話もお伺いしました。

気になる方は「波乱万丈!BLFアライアンス統括マネージャー:大塚祐子の半生」も合わせてお読みください。