
ケバブと聞くとどういう食べ物を想像するだろうか?
多分、多くの人がこういうケバブを想像するのではなかろうか…。
私はケバブと聞いて先に思い浮かぶのはこちらのタイプのケバブだ。
ケバブはその調理法によって「ドネル・ケバブ」と「シシュ・ケバブ」の2タイプに分かれる。
なぜこんなにケバブケバブ言っているかというと、先日福岡で開催された「聞いてみたい、イラクの今、本当の姿」という講演会に行った際に、ケバブの話が出てきたからだ。
この講演会では、「イラクの人たちは今どんな生活をしているの?日本人のことをどう思っているの?過激派組織「イスラム国」の脅威は?」といったことを、8月まで2年間、国際協力機構(JICA)イラク事務所で国造りに携わった真鍋希代嗣さんが話してくださった。
真鍋さんは「シシュ・ケバブ」が美味しかったということで、毎日2回食べていたらしい。イラクでは「シシュ・ケバブ」が主流なんだ!と、イラクの人たちの生活が垣間見えてなんだか嬉しくなったのだ。
他にもイラクの人たちはお酒を飲まないこともあってかティータイムを大切にするらしく、お茶を飲みながらコミュニケーションをとったという話や、イラクにも雪が降るということで一面の雪景色の写真を見せてもらったりして、その地に生きている人の暮らしを感じることができた。
そういえば雑誌「TRANSIT」のイスラーム特集号にも「シシュ・ケバブ」が載っていたことを思い出した。(この号はイスラーム圏の情報が満載でとてもオススメ)
メディアが報じるイラクの今は悲しいものが多すぎて、これが全体の何割なのか、人々の生活はどうなっているのか、という事実が知りたかった私にとって、最近まで現地にいた人から、自分の耳で聞く話は信頼することができた。
真鍋さんが滞在していたイラク北部のアルビール近郊は比較的安定していたらしいが、それでも爆発は日常茶飯事だったらしい。爆発音が聞こえても会議がそのまま続くこともあったとのこと。真鍋さんはその地を理解するのに必要なことは身近なものに置き換えることで、イラクの人々にとってテロとは交通事故のようなものではないか、と言っていた。
イラクの人であっても、他国の勤務に従事すると命を狙われることが多く、ボディガードとして働いていた真鍋さんの知人のイラク人の家にも脅迫文が届き、親戚が殺されたという話があった。
「外国の政府や企業だけが狙われているのではない」という現実があった。
そして多くの人から寄せられる「ISは悪なのか?」という問いかけに対する真鍋さんの答えは「人間は論理的に動く。その時与えられた条件が違うだけ。」というものだった。
求心力の高いリーダー(アブ・バクル・アル・バグダディ)がいて、国家を創るという目的があったときに、与えられた条件の中で動いた結果が今のISの形なのだろうか。
もう一つ感じたこととして言っていたのが、「メディアは偏っている」といったものだった。現地には各国から多くのメディアが来ていたらしいが、「こういう画を撮ってきてほしい」と上から言われている、「視聴者が求めている画がある」ということもあったという。一緒に見せてくれた画像が印象的だった。
知らないことが多過ぎる、と感じた。
発信する側も命がけで情報を集めて精査しているはずだ。他の人の言葉を通じて得る情報をどこまで信用するかは、個人に委ねられている。情報を得る術が限られている場合は尚更だ。
無力感はついて回る毎日だけれど、今は色々な方面に携わる人の話を聞きながら「知識を持ちながら、平らに世界を見る力。」を養っていきたい。