もうすぐプレゼントシーズンがやってくる。
私は子どもの頃、誕生日カードを母親に贈ったことがある。母親への愛を叫ぶはずが、あろうことか間違えて「I never like you!!(私はあなたが決して好きではありません)」という衝撃のお祝いメッセージを載せて我が家に戦慄を走らせたことがある。しかし世の中には唯一、そんな愚かな失敗をしないプレゼントがある。自分へのプレゼントだ!

「my little box」「私の小箱」なるものを知っているだろうか。
これは、2011年にフランス・パリで発祥した乙女心わしづかみボックスだ。そして私ももれなくわしづかみにされている内の1人である。

my little boxのコンセプトは「パリから届くサプライズ」
これを定期購入すると、毎月異なるテーマのもとに素敵な小包が自分のもとに届く。中身は月によって様々で、届くまで分からない玉手箱システムだ。主にmy little boxチームがフランスで厳選した、化粧品や小物などが入っている。

このコンセプトが憎い。
「いつ届くのかな?いつ届くのかな?」と女子たちをソワソワさせるいけずなやつ。
いつもは新聞か広告しか入っていない静かな郵便受けに、片手で持てるか持てないかサイズの四角い箱が見知らぬ誰か(自分)から届く。パリ(日本)から届いたプレゼント・・・。ウットリ。

分かっている。これは自分の生活費を削って、3200円毎月カード払いをしているということ。
パリジェンヌに欠かせないというアイテム、赤いリップが全く似合わなくて1回も使っていないということ。
パリジェンヌ御用達のおしゃれスカーフなるものが、手ぬぐいみたいになってしまってタンスに眠っていること。

rouge

いい!でも、いいのだ!
現にこのmy little boxはパリで8万人のユーザーを持ち、晴れてこの日本で「my littl box japan」が立ち上がるほど女性の心をむんずり捉えてはなさない、国境をこえたサプライズプレゼントなのだ。日本でもすでに1万人のユーザーがいるとのこと。

中身は毎月多種多様で、結構なボリュームがある。少し時を遡って、5月のMy Little Boxは"きらきらと輝くSunshine"というなんとも素敵なテーマだった。
贈られてきた物のなかに、自分で手作りできるバングルキットがあった。

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この可愛いバングルキットはブリッジ募金プロジェクト (Bridge Fundraising Project)とのコラボレーション企画ということだった。
ブリッジ基金プロジェクトって何だろう?と思って調べてみると、モデルのエミ・レナータとカロリナが2014年に立ち上げたチャリティープロジェクトらしい。有名モデルやタレント・アーティスト・スタイリストなどが使わなくなった洋服・小物をネットで販売し、運営費を除いた収益の70%が人道支援・教育・女性への援助やエンパワーメントといった慈善活動に充てられるシステムになっている。

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サポーター(寄贈者)として、山本美月やヨンアなど、今をときめく有名人達が国内外問わず多くいる。なるほど自分の好きなファッションモデル達の私物が販売されているとなると、きっと色々な意味で購買意欲が湧くだろう。

【設立者であるモデルのエミ・レナータの言葉】
lady
私は貧富の差が大きいブラジルで生まれ、経済的に様々な苦労をして育ちました。 決して裕福とは言えない困難な状況で生活するなかで、私が常に強く感じていたこと。
「ブラジルだけではなく、他にも助けを必要としている人々が世界中にいるに違いない。」
ブラジルから日本に移住して、モデルとして活動できたことは、私たち家族にとって恵まれたことでした。日本でモデルのキャリアをスタートしてから10年が経ち、今までのお礼として日本へなにか恩返しできることはないかと考えました。日本で、また世界中で困っている人々を困難な生活から救うことが出来たらと思ってみんなの協力とサポートをお願いします。

「衣服のリサイクル」と「慈善活動のための資金募集」の両立。そして彼女自身の本職の繋がりを活用したブリッジ基金プロジェクトの方針は、とても考えられていて素敵だなと感じた。
人間だれしも二足の草鞋を履くことはチャレンジだと思う。「二足の草鞋を履く」の語源は、「一人の人間が二足の草鞋を同時に履くことはできないことから、同じ人が普通は両立しないような仕事を一人ですること。」
ブリッジ基金プロジェクトは、設立者の本業とチャリティを「ファッション」という共通項で結ぶことで、二足の草鞋を実現させようとしている気がする。

一人でホクホクするだけのはずが、知らず知らずのうちにこのような活動に参加しているとなるとなんだか温かい気持ちがする。押しつけでも無理やりでもなく、華やかに多くの人の生活に入り込むエシカルな活動は、私にとって学ぶところが大きい。
伝え方ってたくさんあるぞ!という希望も持つことができた。思わぬ収穫に更にホクホクしながら、来月のmy little boxが届く日を心待ちにしている。