
私は昔から公園の遊具が好きで、その心は変わらないまま今に至る。
だからたまに誰かと公園に行く機会があると、童心に帰って遊具に向かって駆け出してしまう。気分は小学生!
ところがどっこい、すぐに現実を思い知らされる。なんと自分のお尻が滑り台やブランコの幅からはみ出しているのだ。くぅ…。こんな日がくるなんて。
恥を忍んで子ども達の中に飛び込んだにも関わらず、恥の上塗りをして泣く泣く引き返すことを何回か重ねている。
そんな愛する遊具達も、最近はその安全性が問題視されて子ども達の前から刻々と姿を消していっている。
そうか。もう最近の子ども達はジャングルジムで頭を強打することもないし、回転遊具で吹っ飛ぶこともないし、シーソーでお尻を痛めることもなくなっているのか…と思うとちょっぴり切ない気もする。
そんな日本の公園事情も相まって、子ども達の外遊び減少や、遊び場の減少もだんだんと問題視されてきている。
私も順当にいけば結婚をして、親になったときに初めて“子どもの遊び”について考えていたかもしれない。しかし、大学時代に「おかやまプレーパーク」の存在を知ったことで、子どもの遊び場について考える機会を得ることができた。
プレーパークとは、既成の遊具などは使わず、子どもがのびのびと思いきり遊べるように禁止事項をなくし、やりたいことができるだけ自分の手で実現できる遊び場のことである。
そして、『自分の責任で自由に遊ぶ』というモットーを掲げている。常駐でプレーリーダーという大人がついているのも特徴だ。
大学時代に被災地支援活動の繋がりでおかやまプレーパークを運営する方たちと知り合いになり、実際にプレーパークなるものを何度か訪れた。
それがすごいのだ。すごい楽しいのだ。
手作りの特大ウォータースライダー・ブランコ・火おこし・基地づくり・ベーゴマ大会などなど…
聞いているだけでワクワクしそうな遊びや、季節に応じたイベントを子どもの森という公園で週5日、全ての子ども達・大人に開いているのだ。
プレーパークでは、サポーターを募集するなどして、子ども達と地域の大人や学生を結びつける役割もしていることが多い。しめしめ…と、私もサポーターの学生に交じり、"日頃外遊び不足だった自分が堂々と子ども達に交じって遊べる日がくるなんて!"と思い切り遊んだ。
外で遊ぶと思いだす。
子どもの頃、春になると狂ったように吹き飛ばしたタンポポの綿毛。夏になるとおしっこをかけられるながらも挑んだセミとり。秋になると落ち葉の絨毯にもぐりこんで吸い込んだ秋の匂い。手がかじかんで痛くて号泣しているのになぜかやめられなかった雪遊び。「楽しかったなぁ~」としみじみする。
そして驚かされるのが子ども達の“遊び力”だ。みんな思い思いに自分の遊び道具を自然の中から見つけ出して、全身で楽しんでいる。時には怪我をしたり、喧嘩をしたりもするが、そんな時はプレーリーダーの処置を受け、すぐに元気になって遊びに戻っていく。プレーパークには救急道具も常備してある。
30分くらいでヘロヘロになっていた私は、クルクルと変化する子ども達をみて「あ~、子どもって本当にすごいなぁ。」と、またもやしみじみする。
外で遊ぶと四季を感じる。四季の変化にワクワクする。
外で遊ぶと危険な目にもあう。けれど次第に危険を察知することができるようになる。
子どもは与えられた場所の中で自由に遊びを見つけ出す才能を持っている。本当に必要なのは危険な遊具の撤去ではなくて、地域の大人たちに見守られた安全な遊び場所を増やすことかもしれない。
プレーパークは全国各地で増加してきており、NPOが主体となっていたり、その地で有志の大人達が行っている場合が多い。
全国主要 冒険遊び場・プレーパーク情報
福岡にあるプレーパークの一つ「わくわくプレーパーク福津」
物騒な世の中、確かに人気の少ない公園に子どもを送り出すことには不安を覚えるかもしれない。
そんな時の選択肢の一つとして、子どもが大人に見守られながら自由に遊べるプレーパークが今以上に広がることを楽しみにしている。