10月5日、ノーベル医学・生理学賞を受賞した大村智さん(80)。

重度の場合失明することもある熱帯地方の感染症「オンコセルカ症」や、「リンパ系フィラリア症」の特効薬「イベルメクチン」の元となる「エバーメクチン」を発見し、ノーベル賞の受賞にいたりました。

オンコセルカ症は、かつてアフリカだけでも毎年5万4千人もの人が失明していた病気だそうです。大村氏の貢献により、世界保健機関(WHO)は上記のいずれの病気も2020年代に撲滅できると見込んでいます。

すごいのはその業績だけではありません。「イベルメクチン」は年間3億人が使用している特効薬ですが、大村氏はこれまで10億人以上に無償提供を行い、特許権も放棄しているのです。

そんな人徳にあふれた大村氏ならではの名言がありますので、ご紹介します。どれも本当に心に刺さる名言です。

名言1.「資金がないから研究ができないというのは言い訳」

「イベルメクチン」で得た約250億円ものロイヤルティー収入も、大村氏は大半を研究助成や病院建設に使用しています。彼には、"研究で世の中に貢献すれば、必ずまた研究費は入ってくる"という信念があります。社会に役立つ研究をし続けること、"研究を経営すること"こそが生涯の課題だと。

彼の強い信念から、揺るぎない正しさとストイックな研究姿勢が伝わってきます。大村氏のような人こそ社会起業家と呼ぶにふさわしいのかもしれません。

名言2.「成功した人は失敗を言わない。でも人より倍も3倍も失敗している。」

"絶えず失敗しないとだめなんです。成功した人は失敗のことは言わないんです。私もそうでしたが、成功の陰にはその何倍もの失敗がある。"
学生時代はスキーに明け暮れた体育系の学生だったそうで、学業も格別できるわけではなかったそう。きっと科学者として大成されるまで、並々ならぬ努力があったのでしょう。

「とにかく人のためになることを考えなさい。」おばあさんから言われ続けていた言葉、その教えと「人の役に立ちたい」という強い想いが彼の研究を支えたようです。

名言3.「この道を行くと大変だと分かっていたら、そこに向かいなさい。そうすれば楽しい人生になる」

確かに難しいことや、勇気がいることを選択した後は、なんとも言えない達成感や充実感があります。わかっていてもついつい避けたくなりますが、その積み重ねがこんなにも多くの人を救ったのだと考えると、すごく力がわいてきますね。

名言4.「私よりも微生物にノーベル賞を。」

大村氏はこれだけの業績・社会への貢献を成し遂げてもなお"微生物の力を借りてここまでやってこれました"という謙虚な姿勢を貫き通しています。

大村氏の名言は、全て彼の信念にもとづき、実行されているから心に響くのですね。本当にたくさんのことに気付かされた気がします。