お久しぶりです、インド事業代表のさきです。
インドの女性たちの経済的貧困問題を解決すべく、2019年7月にインドでメイド派遣サービスを立ち上げました。

インドで事業を開始して早3年、紆余曲折あり、2度目の事業転換をしました。今に至るまでの経緯と、これからのことをご報告させて頂こうと思います。

コロナ感染拡大、従業員の9割がいなくなった

2020年3月、インドでコロナ感染拡大。インド全土がロックダウンとなり、事業は進められないどころか、一歩も外に出れない日が続きました。

なんとか弊社のメンバーの雇用は守り続けることができたものの、数カ月にわたるロックダウンの影響で失業者が続出し、スラムに住む人たちは都市部にいても飢えてしまうと、村に帰省する動きがありました。

ロックダウンの終わりが見えた頃、弊社のメンバーのスラムに住む全員で一斉帰省をしたいと報告を受けました。弊社のメンバーの旦那さんや親族、近所の人は全員失業し、みんなが終わりの見えない不安を抱える中、帰省を止めることができませんでした。

これまでメイド派遣サービスのメイドさんとして育成してきたメンバーの9割が帰省し、実質事業が振り出しに戻ったような気持ちでした。

でも、みんなが仕事を失い生活が立ちいかなくなる状況を見て、そもそも安定した雇用があればこんな事態にならなかったのに、とこのときまでに多くの雇用をつくれなかったことを悔やみ、落ち込む暇もなく毎日スラムを訪問し、すぐに採用活動を開始しました。

ハウスクリーニングサービスに転換

同じお掃除の領域とはいえ、ハウスクリーニングはプロ仕様の機材や洗剤を活用したお掃除になるため、サービス、トレーニング、オペレーション、全てがゼロからの立ち上げでした。

インドのお家は大理石が多く使われており、異なる素材をどう見極め、どんな洗剤を使う?
油を使った料理が多いことからこびりついた汚れも多く、家庭によって状態も様々な汚れをどういうメカニズムで落とす?どう育成する?

読み書きができないメンバーが大半の中で、どうトレーニングをしたら安全で、クオリティの高いサービスができるか困難の連続でした。

なんとか事業を立ち上げるべく、自分もみんなと一緒に現場を回ってハンズオンでクオリティ向上、オペレーション改善の仮説検証を繰り返し、「日本クオリティのハウスクリーニング」として、口コミが増え、ご予約もどんどん増えていきました。

違和感、そして事業転換を決意

違和感が出始めたのは、インド人のお客様数がぐっと増えた頃でした。

スラム出身でカースト、社会的地位が低いことから、一部のインド人のお客様から理不尽な扱いを受けることが増えてきてしまいました。
サービスに含まれる内容以上の無理な要求をされたり、女性だからこそ男性のお客様から危険な目に遭いそうになったり。弁護士や警察に相談が必要になることもありました。

弊社のインド人マネージャーも「インドの醜い部分だ、変わらなきゃいけない」と悔しい想いをして、何度も客先から涙を流して帰ってきていました。

さらに、こびりついた汚れを落とすハウスクリーニングは、機材や洗剤の力はあれど、マンパワーで洗浄する部分も多く、女性スタッフ達にとって肉体的負担が大きく、男性スタッフの力に頼る必要が出てきました。

弊社のスラム出身の女性たちは、朝5時頃には起きて、朝食の支度、手洗いで洗濯をし、子供2~3人の面倒を見ながら、日中は仕事をしてハードスケジュール。

さらに、元々栄養が不足して体調を崩しやすい子たちが、ハウスクリーニングを毎日続けるのは体力的に難しいところが出てきました。

努力家な女性スタッフたちも、体調不良が起きる頻度が増え、繁忙期は男性スタッフ達がメインで動かなくては回らない状況で、私自身も現場に回ってフォローする日が続きました。

子供にいい教育を受けさせたいと願う女性たちのために始めた事業なのに、彼女たちにとっては、続けるのが難しい仕事になってしまっていることに気付いたとき、この事業を辞めようと決意しました。

2年半も続けてきた事業で、クオリティもようやくついてきて、口コミが広がり、ビジネスとしてはここから次のステージにいけるときでした。
お客様にお話しすると、何とかうちだけでも来てくれませんか?と多くのご相談を沢山いただきました。お掃除事業を停止して数カ月たった今でも、インド人、日本人のお客様から毎日お掃除のお問い合わせを頂いています。

皆様に必要とされるサービスをみんなで創ってこれたこと、大変な状況でも最後まで信じてついてきてくれたメンバーを誇りに思うと同時に、
みんなにとっていい機会をつくることができず、リーダーとしてみんなに申し訳ない気持ち、反省でいっぱいでした。

新たな挑戦へ

お掃除サービスでの反省と学びを活かし、スラム出身の女性たちにとってベターな選択肢を創りたいと思い、新しい事業の立ち上げに取り組んでいます。

今回の学びとして、肉体労働すぎず女性たちが働きやすい仕事であること、
また、社会的差別を受けないこと、この2つを特に軸に事業を考え、いまはパソコンを使った受託事業に取り組んでいます。

人生で一度もパソコンを触ったことがなく、読み書きもあまり得意でないメンバーもおり、思いもよらないハプニングもあり、試行錯誤の日々ですが、ゼロからの挑戦でも前向きに学ぶ女性メンバー達を見て、一刻も早くいい機会を創らねば奮い立たされています。

また新しい挑戦について、ご報告させていただきます!

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