
「明日からここで研修することになった、日系パラグアイ人のサトウ・ヤマダ・シンゴ・ミゲル。農業をやりたいらしい。皆よろしく!」全員が驚いた、社長田口からの驚愕の告知。
一体サトウくんなのかヤマダくんなのか…?そんな疑問はさておき、彼もまた大きな夢を持ってボーダレス・ジャパンにやってきたひとり。JICA日系研修員としてボーダレス・ジャパンに来たきっかけや、熱い志などを詳しく聞いてみた。
JICA日系研修員として、
ボーダレス・ジャパンに来たきっかけは?
サトウ・ヤマダ・シンゴ・ミゲル(以下、シンゴ) 「農業や経営を日本で学びたいと思い、JICAを通じて日本に行ける研修機関を探していました。農業関係の企業を選び、とにかくたくさんメールしました。 なかなか決まらず悩んでいたところ、仲良くなった日本人にボーダレス・ジャパンを紹介してもらいました。」
パラグアイの貧しい農村地域に、教育機会を作る活動をしていた日本人。彼はなんと、ボーダレス・ジャパンの副社長・鈴木の大学の後輩だったそう。パラグアイの社会問題を農業で解決したいと考えていたシンゴは、「ボーダレス・ジャパンがやっていることは、まさに自分がしたいことと一緒だと思った。」と振り返る。
パラグアイの深刻な社会問題
シンゴ「都市と農村の経済格差が、パラグアイで大きな社会問題になっています。農作物を上手く生産し売ることができないために収入が増えず、農業で生きていくのは年々難しくなっています。そういった状況に不満を持つ人々が武装集団を作り、土地を不法占拠するなど、様々な問題が発生しています。」
数多くの国が直面する格差問題。パラグアイにとってさらに根深い問題は、格差に対する人々の意識だと言う。
貧困を選ぶ文化・風習
シンゴ「長い間こういった状況が続くと、解決策は都市部に出稼ぎにでることだと、多くの農家が農業をやめてしまいます。残った人々は"私達は貧しいから援助が必要なのだ"とか、"こうやって生きていくしかない"と貧困から抜け出すことを諦めてしまっています。
何もできないことを肯定するためにこういった思考が生まれ 、他人に依存しないと生きていけないような文化が根付くことはある意味、経済的な貧困よりも、もっと深刻な問題だと思っています。」
農業国パラグアイでできること
そこでシンゴが思いついたのが、ステビア栽培による農家の収入アップだ。ステビアとは、パラグアイ原産のキク科のハーブの一種。大きな特徴は、葉に含まれる甘味成分で、AMOMAのハーブティーにも使用されている。
シンゴ「ステビアは、天然の甘味料として砂糖の代わりになる上に、カロリーがほとんど含まれていません。その他にも茎に含まれる抗酸化成分を活用して、農業用資材、畜産用の飼料や化粧品にも使えるなど、様々な用途があります。比較的少ない面積で栽培できるので、零細農家の所得向上や生活水準の改善に役立つ大きなポテンシャルを秘めています。」
農業で人々の意識と社会を変える
シンゴ「パラグアイ原産という強みをいかして、パラグアイの新たな産業として農家のモチベーションを高める。そして、誇りをもってパラグアイから世界へ売り出していくことができれば、一人ひとりの考え方も変わるのではないか、と考えています。
自分たちの状況は自分たちで改善していく。前に進む意志が今のパラグアイには必要なのです。いくら経済がよくなっても一人ひとりの意識が変わらない限り、本当の貧困からは抜け出せないのではないでしょうか。ステビア事業を通じて、そういった農業のやりがいや自己実現の文化も構築していきたいと考えています。」
シンゴ「今はソーシャルビジネスの知識は何もありません。だからボーダレス・ジャパンで本気で勉強したいです。持ち前の常識にとらわれない発想力と行動力で、関わるすべての人の 役に立っていきたいです。」
はるか遠いパラグアイから、農業ビジネスを学びにはるばる日本へやって来たシンゴ。その行動力と熱い志は、まさに社会起業家そのもの。彼のビジネスが一刻も早く形になり、パラグアイの人々の生活水準の向上に寄与するよう、ボーダレス・ジャパンは全力で応援していきます。